厚生労働省労働局長登録教習機関
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以前、交通安全の講習を受けた際に、JAF講師さんが最後に言われていたことがとても印象に残っていることがあります。
「『いってきます』と言った人は、『ただいま』と言う義務がある」
JAFはロードサービスですから、車が行き交う路上で仕事をされます。当然、常に交通事故の危険が伴います。実際に交通事故で亡くなる方もあり、その講師さんの同僚も、亡くなられたそうです。まだ小さな子どもも残してです。
一瞬の事故が、もう二度と家族に「ただいま」と伝えられない現実を作ったのです。
労働災害というものは、仕事をされている方なら、耳にしたことが思います。
大きな事故になると、新聞やテレビのニュースにとりあげられ、凄惨な現場が取り上げられ、目にすることもありますよね。
もしかすると、本人もしくは身近な方が労災に合われたという経験もあるのではないでしょうか。
建設現場のしごとであれば、高所から落下する、クレーンで吊った荷物が落下し下敷きになる、ショベルカーにぶつかるといった事故があるでしょう。
工場での仕事であれば、プレス機械に手が挟まれる、刃物で手足を切る、危険物が爆発するといった事故があるでしょう。
そして、どんな仕事でも車を使うならば、交通事故の危険性はあるでしょう。
仕事をしていく上で、常にではありませんが、労働災害、つまり事故や業務上の疾病などの危険状態に巻き込まれることはあり得ることです。
事故ってなくならないものなのでしょうか?
おそらく、この答えはノーです。残念ながら、なくなりません。
できる努力は、事故を減らすこと。
この努力は行政および各企業で精一杯されています。
労働災害防止の基礎となる「労働安全衛生法」は、毎年何かしらの変更があり、日々基準が強化されていっています。
建設業の仕事では、労働者が事故に合わないようにという、工法を採ったり、作業方法の工夫を行ったりしています。
製造関係機械や建設関係機械であれば、使用者や周りの人が怪我をしないように使えるようになっています。少し気にして見ると、少々過剰すぎるくらいの安全策が施されていたりしますけども。
それでも、事故ってなくならないんですよね。
私は、小さな建設系の会社で安全管理を担当しています。
小さな会社ですので、専任ではなく、様々な仕事の一環としての業務です。
安全管理というものを業務に含め、積極的に係るようになってから、今までなんと危険に無知だったかと痛感しました。
しかし事故の危険性は分かっていても、実際の業務に反映させるのはとても困難ということも痛感しています。
安全管理は、利益を生み出しません。出費にしかなりません。
事故がなかったということだけが、見返りです。
しかも安全管理をやらなかったとしても、事故が起こるわけでもありません。むしろ事故が起こる確率のほうが低いです。
となると、企業としても積極的に安全管理に費用や人を割いてやろうという気にならないですよね。特に中小企業にとっては。
また労働者にとっても、安全対策をとるのは、作業に不必要で、時には作業の邪魔にさえなったりするので、やらないということが多いです。
そのくせ、一度事故が起こると、莫大な費用を要します。治療費、被害者への保証、事故調査、事故防止のための改善などの費用だけでなく、行政処分、社会的信用の失墜。場合によっては、会社にとって致命的になったりします。
事故は企業だけのダメージではありません。
もちろん起こした本人やその家族にとっても、大きな損失になります。
亡くなってしまったり、大怪我をしたり、その損失は計り知れません。
誰しも、大怪我をしたいと思っていないはずです。
誰しも、自分の家族を悲しませたいと思わないはずです。
家を出るときに「いってきます」と言ったら、当たり前のように「ただいま」と言うものだと思っているはずです。
事故は、「ただいま」と言えない状況にするのです。
もし事故で命を失ったならば、永遠に「ただいま」を言うことができません。
そして、毎年約1000人の方が、家族に「ただいま」と言う機会を失っています。
「『いってきます』と言った人は、『ただいま』と言う義務がある」
冒頭で書いたこの言葉、私には1時間の講習内容よりも、ドシーンと響き、以来心のキャッチフレーズになっています。
安全管理は、「いってきます」といった人が「ただいま」と言わせるためのものです。そう考えた生産性の薄い安全管理の仕事が、ものすごく意義のあることように感じてくるんですよ。
このブログでは、労災防止、労働安全に関するメモをまとめていきたいなと思っています。
みなさまが、今日も無事に「ただいま」と言って帰れますように。
現場を知る貴重な体験とアイデア参考になります。
今後も勝手に御知恵を拝借させていただきます。
4月から部署安全担当になるにあたり、色々と調べていたら、こちらにたどり着きました。
『いってきますと言った人にはただいまと言う義務がある』
当たり前のことですが、非常に重たい言葉でもあるなと感じています。
色々と参考にさせていただきます。
建設会社の労働安全を担当することになり、ISOの審査や安衛法や第一種衛星管理者を取得したりと忙しない1年半が過ぎました。何かわからないことがあると、こちらのHPを拝見し納得しております。私の知り合いが亡くなったときもこちらの記事で取り上げられましたが、いまだに事故は無くなりません。まだまだ、わからないことだらけ、これからもコツコツやっていこうと思います。
現場での貴重な体験、参考になります。
わたくし、とあるところで、工事の安全衛生の担当をしております。
ちょっと先ですが、関係者に対する研修がありまして、その際に「『いってきます』と言った人は、『ただいま』と言う義務がある」という話しとこのページの一部をお話しさせていただきたいと思っておりますが、ご了解いただけますでしょうか。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
研修で使っていただいても問題ないです。
みなさんの安全衛生意識向上ために、利用していただければ幸いです。
先週木曜日、研修でこの「『いってきます』と言った人は、『ただいま』と言う義務がある」をお話させていただきました。(報告が遅れてスミマセン。)
100人はいなかったと思いますが、それなりに人数はいらっしゃったような気がします。
聞いた方が、どのように思ったかはわかりませんが、なにかのキッカケに繋がってくれたらいいなぁと思っています。
どうもありがとうございました。
研修のご報告ありがとうございます。
微力ですが、お役に立てたなら嬉しく思います。
お話いただいた内容が、皆さんの心のほんの少しでも残ったなら、この上なくうれしいです。
はじめまして。教えていただきたいことがあり、いろいろ調べていましたら、ここにたどり着きました。それで、メールいたしました。
安全衛生マネジメント協会のHPで、「ヒューマンエラーとは?」を調べたところ、以下であった。
人為的なミスのこと。
意図しない結果を生じる人間の行為で、事故原因となる作業者の過失を指すが、機械等の設計者の設計ミスなどはヒューマンエラーに含まない。
この「設計者の設計ミスなどはヒューマンエラーに含まない」が何故なのか、が理解できません。
何故なのか、教えていただけましたらありがたく存じます。
どうぞよろしくお願い致します。
初めてメールさせていただきます。
建設工事の発注者の立場にある者です。
ブログ拝見させていただき、全くその通りだと思います。
ある現場では、安全意識が希薄でいつ労災が起きるかと不安な状況です。
ブログを参考にさせていただき、安全対策管理に努めていきたいと思います。