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砕石場での事故は、先日紹介したのですが、同じ月(平成26年9月)に、同様の事故があったようですので、事故事例として原因を推察し、事故防止方法などを検討してみたいと思います。
北海道南富良野町落合の採石場、落石で1人下敷き 1名死亡
(平成26年9月4日)
平成26年9月15日10時50分頃、北海道南富良野町落合の砕石会社の砕石場で、建設用大型機械を使用し、 直径 40cm ほどの水抜きの為のパイプを砕石場に設置する作業をしていたところ、 男性 2 人が突然崩れてきた土砂に埋まる事故が発生しました。 消防などにより救助活動を行いましたが、70歳代の男性社員が心肺停止の状態で見つかり、 搬送先の病院で死亡が確認されました。 一緒にいた70歳代の男性アルバイトは自力で脱出した。病院に運ばれたが、命に別条はありません。 |
(参照:読売新聞(記事リンク切れ))
事故の型は「崩壊」で、起因物は「地山、岩石」ですね。
事故現場では、70代2名で作業を行っていました。
大型重機というのは、写真等で見ると、大型のショベルカーのようです。このショベルカーで水抜き用のパイプを設置作業を行っていたということなので、掘削作業をしていものと思われます。
水抜きのための仮設工事でした。具体的にどのような水抜き穴を設置しようとしていたかというのは、情報がないため不明ではあるのですが。
土砂崩れがが起こる崖近くで作業していたことには確かだと思います。
2m以上の採石作業にあたっては、「採石のための掘削作業主任者」が必要になりますが、作業をされていた2名が作業主任者であったかはわかりません。
作業主任者は、直接指揮を行わなければならないのですが、指揮なく作業していたのでは無いかと思います。
また落石等の恐れのある場所で作業する場合には、落石のおそれのある場所は立入禁止としなければなりません。(安衛則第415条)。2名とも土砂崩れに巻き込まれたということは、立ち入り制限の措置は取っていなかった可能性が考えられます。
水抜きパイプの設置ですから、定常業務ではなかったのではと思われます。
イレギュラーな作業の場合でも、作業計画を作成し、作業手順書を作成する方がよいです。
手順書で、作業前の点検、作業の流れ、危険なポイントなどを理解して、作業すると、不測事態にもある程度対応できるようになると思います。
以上のことを踏まえ、原因を推測してみたいと思います。
1.作業前の点検で、土砂崩れのおそれがある場所を見逃していた。
2.作業主任者による直接指揮がとられていなかった。
3.土砂崩れのある場所での重機作業について、作業計画が作成されていなかった。
4.土砂崩れ帽子のための措置(土止め支保工)がとられていなかった。
4.事前にKYなど危険事項について作業者同士で確認していなかった。
土砂崩れがある危険のある場所では、土砂崩れを予防する措置が必要になります。
特に採石ではない、仮設工事の場合であれば、崖や土壁に土止め支保工などを設置するのがよいのですが、現実的な話、設置するのは難しいですね。
仮設のための仮設工事となると、手間が何倍にもなるわけですし、それにかかるコストも馬鹿になりません。
事故が起こってしまえば言い訳になりませんが、理解もできます。
今回災害にあった方はどちらも70代と高齢者ですが、高齢者の労働者がいる場合は、配慮が必要になりますね。
たとえ経験が長くベテランであったとしても、老いによる衰えは確実にあります。
本人の気が若く、配慮など不要と言われるでしょうが、周りはしっかり配慮しなければ、本人も周りも危険に晒すこともあります。
でもなかなか言うこと聞かないんですけどね。。ヘルメットも嫌がったりしますし。
今回の事故のケースではわかりませんが、採石作業では、落石から頭を守るために保護帽、つまりヘルメット着用は義務になります(安衛則第404条)。作業主任者も保護帽着用を監視しなければいけません。
これは高齢者に限らず、全ての労働者の義務なります。
保護帽などの安全保護具は、身を守る最後の砦なので、必ず着用しなければいけませんね。
危険がある場所では、最大限できる予防を行うことが、労災を防ぐことになります。
コストや人員、作業員の意識など、様々なハードルがあると思いますが、事故は起こってしまっては取り返しがつきません。
立て続けに採石現場での事故が起こっております。
大雨や台風では、砕石場や地山に水を含み崩れやすくなります。
大雨の後などはしっかり作業現場周辺をチェックするでしょうが、日常の作業前にもしっかり点検することで、事故を防いでいきたいものです。
作業前の点検は、ルーチン作業ですが、それでも危険箇所をしっかり発見する目を持たないと、怖いですね。