厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
仕事で日常的に機械を使用していると、突如として故障するなんて、と考える人は少ないのではないでしょうか?
昨日使えていたから、今日も使えるし、当然のことながら明日も使える。
そう思うのは自然なことです。
人と機械の関係は、人間関係のようなもので、一度築き上げられれば、そう安々と崩れるものではありません。
友人と、明日から急に疎遠になるということは、想像できませんよね。
しかし、機械への思いは、時に一方通行であったりします。
機械は正常であれば、要求に応えてくれますし、多少不具合があっても、責務を果たしてくれます。
しかし不具合のある状態であれば、時に苦言を呈すことなく、しかも躊躇なく人への危害となることもあります。
健全な状態で、適切な指示を行う場合に、最も危険の少ない機械の使用ができるのです。
さて、長々と前置きを書いたのですが、今月の安全教育の内容は、次のとおりです。
機械の使用前点検をしっかり行おう |
建設業や製造業に限らず、機械を使用する仕事はとても多いと思います。
ボイラーやクレーンなど、機械の中には、年1回や月1回というように、定期的に検査することが義務づけられているものがあります。
これらの検査では、性能のチェックを行い、不具合があれば直していきます。
車の車検のようなものですね。
しかし定期検査を受けているからといって、機械は常に正常で動くとは限りません。
日常的な使用の中で、疲労が蓄積し、場合によっては破損しているところもあります。
特に長年使っているものについては、経年劣化があるので、いつもどこか調子悪いなんて、よくあります。
それこそ、昨日は正常だったのに、今日いきなり壊れるということもありますよ。
車検を受けているのに、車が故障することなんて、珍しくないですよね。
もし使っている途中で、いきなり壊れたら。
実は安全装置が壊れていたならば。
ちょっとした整備不良が、事故につながってしまいます。
事故を防ぐためには、使う前には、点検をして、危険な状態を把握し、対処しなくてはいけません。
そのための、使用前点検です。
車の教習所でも、乗車前には、オイルやタイヤの状態などチェックしましたよね。
運送業で、車を特に使用する会社であれば、車の乗車前点検は必ずされていると思います。
身近な車でも点検をしっかりしなければならないのですから、建設作業や工場加工作業で使用する機械については、なおさら必要です。
使用前点検を義務づけられているのは、次の機械です。
1. 吊り荷重0.5t以上のクレーン(クレーン則第36条) 2. 吊り荷重0.5t以上の移動式クレーン(クレーン則代78条) 3. 吊り荷重0.5t以上のデリック(クレーン則第121条) 4. 高さ10m以上の建設用エレベーター(クレーン則第155条) 5. 重量0.25t以上の簡易リフト(クレーン則第210条) 6. ゴンドラ(ゴンドラ則第22条) 7. 動力プレス・動力シャー(安衛則第136条) 8. フォークリフト(安衛則第151条の25) 9. ショベルローダー・フォークローダー(安衛則第151条の34) 10. 車両系建設機械(安衛則第170条) 11. 不整地運搬車(安衛則第151条の57) 12. ストラドルキャリアー(安衛則第151条の41) 13. 作業床高さ2m以上の高所作業車(安衛則第194条の27) 14. 化学設備(安衛則第277条) 15. 局所排気装置(有機則第22条他) 16. 特定化学設備(特化則第34条) 17. ガンマ線照射装置(電離則第18条の8) |
馴染みのあるものもあれば、ないものもあると思います。
私の会社では、移動式クレーン、車両系建設機械の内ショベルカーなどは日常に敵に使用しますが、ゴンドラや、動力プレスなどその他のほとんどは使用しません。
カッコ内に書いた丈夫で、どんなところをチェックするのかは、規定されています。
もし実施されているところであれば、チェックリストなども作って管理されているかもしれませんね。
私の会社では、今月こんな資料を配布しました。
ショベルカーとクレーン車の点検についてです。
正直、今まで見ていると、日常的に使用前点検をするというわけではありませんでした。
もちろんチェックシートは、備えています。
しかし記入されない、またはあとでまとめてチェックを入れるという状態です。
作業している時に、いちいちチェックシートなど書いてられないというのも理解はできるんですけどね。
管理がしっかりされている会社であれば、使用前点検もきっちりされていると思いますが、結構やっていないという会社もあるのではないでしょうか?
私周辺の実感としては、特に少人数の会社では、少ないように思います。
フォローを入れておくと、きちんとされている会社もあります。
私の会社の今年の安全衛生目標の1つが、「機械の点検をしっかりする」ということなので、使用前点検も必ず行うようにと意識改革です。
夏には、全作業員で、点検の勉強会などを開き、チェックすべきポイントを確認し、実際にやってみるということもやってみました。
とはいえ、習慣の変革は、一朝一夕には成らないというのが実情のところ。
徐々に習慣に取り込んでいくべく、今月は機械の使用前点検について、重点教育しました。
機械は、正常な状態であっても、危険だったりします。
正しい使い方をしなかったり、また運転中に不用意に近づいたりすると事故になります。
もし不具合があると、その危険度は跳ね上がりますので、事故を起こさないためには、機械の正常な状態が必須になりますね。
中でも、安全装置のチェックは念入りに行なって下さい。
条件を満たした時には、確実に停止するか、警報を出すかなどを確認しましょう。
クレーンで、巻過防止装置というワイヤーを巻きすぎないための警報装置がありますが、これが故障していれば、限界を超えてワイヤーを巻上げ、結果として荷物を引っ掛けているフックを壊し、荷が落下してしまいます。
安全装置は、操作そのものに関係しないので、正常でなくとも使えますが、身を守るために大事な機能ですので、必ずチェックして下さい。
今月も、みなさまが安全に仕事されますように。