厚生労働省労働局長登録教習機関
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安衛令別表第7には、車両系荷役運搬機が6分類されています。
安衛令別表第7
1. 整地・運搬・積込み用機械
2. 掘削用機械
3. 基礎工事用機械
4. 締固め用機械
5. コンクリート打設用機械
6. 解体用機械
土木工事では、ほとんど仕事内容によらず使用されるものとしては、ショベルカー等があ、2の掘削用機械でしょう。
逆に3の基礎工事用となると、橋脚や建物など基礎を必要とする工事以外では、使用しません。
その他の機械も、用途に応じて使用されますが、5のコンクリート打設用機械も、コンクリートを扱う土木工事や建築工事などでは、よく使う機械です。
今回は、コンクリート打設用機械の規定について、まとめます。
コンクリート打設用機械として、別表第7第5項に挙げられているものは、コンクリートポンプ車とそれ以外に厚生労働大臣が指定するものです。
代表は、コンクリートポンプ車です。
コンクリートポンプ車とは、車体本体にポンプで圧力をかけ、ドロドロのコンクリートをパイプを通して、任意の場所に打ち込むための機械です。
遠くまでコンクリートを運ぶために、長いアームを持っており、全体的にとても大きな機械です。
コンクリートポンプ車
コンクリートポンプ車を操作は、特別教育を修了したものではなけれればなりません。
他の機械と異なり、技能講習を終了する必要はありません。
なお、コンクリート工場から、打設する現場まで運ぶのは、ミキサー車というものです。
これは後ろにくるくる回転するタンクを持った車ですが、走っている姿を見たこともあるのではないでしょうか。
これはコンクリート打設用機械には含まれません。大型車両です。
そのため、免許は自動車の大型免許になります。
コンクリート打設用機械については、安衛則にまとめられています。
【安衛則】
(作業指揮) 第171条の3 事業者は、輸送管等の組立て又は解体を行うときは、作業の方法、 手順等を定め、これらを労働者に周知させ、かつ、作業を指揮する者を 指名して、その直接の指揮の下に作業を行わせなければならない。 |
条文は2条です。
これ以外にも、定期点検等の規定は適用されるので、注意して下さい。
第172条の2と3は、コンクリートポンプ車特有に講じなければならない規定です。
コンクリートポンプ車は、パイプを通して重いコンクリートを遠くまで運びます。
そのためには高い圧力をかけて、送り出します。
重量のあるドロドロのコンクリートが、高い圧力を掛けられて移送されているのですから、吐出し口からは、水鉄砲で発射される水のように、勢いよく飛び出してきます。
そんな状態ですので、吐出口の前に人が立っていたりすると、危険なのはわかりますよね。
またコンクリートポンプ車の特徴として、車体から遠くの場所にコンクリートを打設できます。
操作者と打設現場の作業者が、お互いの姿を見ることができないということも、よくあります。
こういった特徴を踏まえ、安全に作業することが求めらて、規定があるのです。
第172条の2は作業時にとらなければならない措置についてです。
コンクリートを移送するパイプ内は、高い圧力がかかっています。
そのため容易に振れてしまいますし、接続部が緩んでいると、そこから漏れてしまうこともあります。
特に吐出口付近で、パイプが左右に動いてしまうと、周辺で作業している人たちが危険この上ありません。
こんな危険を防ぐために、パイプは確実に接続し、出口はしっかりしたもの、例えば建築物などに固定しなければなりません。
当然ですが、吐出し口の前に、作業員を立たせてはいけません。
吹き出してきたコンクリートがぶつかってしまいます。
またコンクリートポンプ車の操作者と、打設作業を行う人とは、離れていることが多く、直接合図することは困難です。
しかし打設の準備ができていないのに、操作者がコンクリートを送り出したりすると危険です。
そのため、お互いが連絡できるように電話などの連絡装置を設けます。電話など以外にも、合図者を指名し、どちらからも確認できる位置に立ち、合図を仲介させる方法もとられます。
打設作業が終わった後も、パイプ内は圧力が残っています。
この状態で不用意に、パイプの接続を外そうものなら、吹き出してきます。
接続を外す時は、必ず減圧してからですね。
パイプ内はコンクリートが通るわけですが、コンクリートは時間が経つと固まります。
当然、そのまま放置しておくとパイプの中のコンクリートも固まり、次に使えなくなります。
打設した後は、固まる前に掃除しなくてはいけません。
しかしパイプの中の掃除は難しいです。
中にはいれませんし、手が届く範囲も限られています。
水を通して洗うのですが、どうしても洗い残しもあります。
しっかり洗浄するために、洗浄ボールというスポンジ等の球を水と一緒に流します。
このボールが内壁を、ゴシゴシこすって、コンクリートを落としてくれるのです。
洗浄ボールは、パイプの中をそれなりの勢いで流れていくわけです。
当然のことながら、ずっとパイプの中というわけではなく、出口からは出てきます。
勢いづいたボールが飛び出してくるのですから、出口の前に立つ人があると、ぶつかる危険があります。
この危険を防ぐために、先端にネット等を張っておき、飛び出すのを防ぐ措置をとらなければなりません。
なぜ、わざわざ、そんなことまでするのかと思うかもしれません。
しかし、洗浄ボールにぶつかって事故になったという事例もあるんですよ。
さて、コンクリートポンプ車は、公道を走る車両が多いです。
路上を走る時は、本体ポンプでパイプが繋がっていない状態です。
走る時に長いパイプがあれば、邪魔ですからね。
パイプは、現地で組立て、作業完了時には解体します。
この組立て、解体作業時には、必要な措置をとらなければなりません。
その措置は、作業方法の決定と作業者への周知はもちろんのこと、作業指揮者を指名し、この指揮のもとで作業を行わなければなりません。
コンクリートポンプ車は、ビルなど比較的大量のコンクリートを打ち込んだり、打ち込む場所までコンクリートを運べない時などに使用します。
ダムなど、毎日大量のコンクリートを打ち込み、とてもじゃないがコンクリートポンプ車では対応できない場合は、現地にコンクリートプラントを作り、現地生産、現地消費を行うこともあります。
そこまで大量に使用する仕事は、限られますが、コンクリートを扱う仕事は非常に多いです。
コンクリートポンプ車も多くの現場で活躍しています。
コンクリートに高い圧力をかけて、遠くまで送り出す機械ですので、相当の力も持っているのです、
当然のことながら、パイプの接続部のチェックを行っていなかったり、吐出口で出てくるかを除いて確認したりすると、事故につながります。
建設機械は、大きな力で仕事をするので、些細な事が大事故になりかねません。
建設業であれば、コンクリートを扱うことは多いと思いますが、構造物をいい仕上がりにするためには、まず安全な打ち込み作業が大切ですね。
まとめ。
【安衛則】
第171条の2 事業者は、コンクリートポンプ車を用いて作業を行うときは、輸送管等の脱落及び振れの防止等の措置をとらなければならない。 |
第171条の3 事業者は、輸送管等の組立て又は解体を行うときは、作業を指揮する者を指名して、指揮の下に作業を行わせなければならない。 |