○安衛法と仲良くなる車両系建設機械

高所作業車の定期点検

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高所作業車は、人を作業床に乗せて、数メートルから十数メートルの高所まで持ち上げる機械です。

機械である以上、使い続けると、壊れることもあれば、調子が悪くなることもあります。

しかし高所に人を持ち上げる機械です。
もし、作業中に故障し、アームが不意に落下したならば、上に乗っている人は危ないですよね。

そのような機械の故障を発見し、未然に防ぐために、定期点検が義務付けられています。

高所作業車は、車両系建設機械のカテゴリに含まれるので、ショベルカー等と同等の検査を行うことが義務付けられています。

高所作業車の点検については、安衛則に規定されています。

【安衛則】

(定期自主検査)
第194条の23
事業者は、高所作業車については、1年以内ごとに1回、定期に、
次の事項について自主検査を行わなければならない。
ただし、1年を超える期間使用しない高所作業車の当該使用しない
期間においては、この限りでない。

  1)圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無

  2)クラッチ、トランスミッション、プロペラシャフト、
   デファレンシャルその他動力伝達装置の異常の有無

  3)起動輪、遊動輪、上下転輪、履帯、タイヤ、
   ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無

  4)かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、
   アームその他操縦装置の異常の有無

  5)制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシュー
   その他制動装置の異常の有無

  6)ブーム、昇降装置、屈折装置、平衡装置、作業床
   その他作業装置の異常の有無

  7)油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁
  その他油圧装置の異常の有無

  8)電圧、電流その他電気系統の異常の有無

  9)車体、操作装置、安全装置、ロック装置、警報装置、
  方向指示器、灯火装置及び計器の異常の有無

2 事業者は、前項ただし書の高所作業車については、
  その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項に
  ついて自主検査を行わなければならない。

第194条の24
事業者は、高所作業車については、1月以内ごとに1回、
定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。
ただし、1月を超える期間使用しない高所作業車の当該使用しない
期間においては、この限りでない。

  1)制動装置、クラッチ及び操作装置の異常の有無

  2)作業装置及び油圧装置の異常の有無

  3)安全装置の異常の有無

2 事業者は、前項ただし書の高所作業車については、
  その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について
  自主検査を行わなければならない。

(定期自主検査の記録)
第194条の25
事業者は、前2条の自主検査を行ったときは、次の事項を記録し、
これを3年間保存しなければならない。

  1)検査年月日

  2)検査方法

  3)検査箇所

  4)検査の結果

  5)検査を実施した者の氏名

  6)検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、
  その内容

(特定自主検査)
第194条の26
高所作業車に係る特定自主検査は、第194条の23に
規定する自主検査とする。

2 第151条の24第2項の規定は、高所作業車に係る
  法第45条第二項 の厚生労働省令で定める資格を有する
  労働者について準用する。
  この場合において、第151条の24第二項第1号中「フオークリフト」と
  あるのは、「高所作業車」と読み替えるものとする。

3 事業者は、運行の用に供する高所作業車
  (道路運送車両法第48条第1項 の適用を受けるものに限る。)に
  ついて、同項 の規定に基づいて点検を行った場合には、
  当該点検を行った部分については第194条の23の自主検査を
  行うことを要しない。

4 高所作業車に係る特定自主検査を検査業者に実施させた場合に
  おける前条の規定の適用については、同条第5号中
  「検査を実施した者の氏名」とあるのは、「検査業者の名称」とする。

5 事業者は、高所作業車に係る自主検査を行ったときは、
  当該高所作業車の見やすい箇所に、特定自主検査を行った年月を
  明らかにすることができる検査標章をはり付けなければならない。

(作業開始前点検)
第194条の27
事業者は、高所作業車を用いて作業を行うときは、
その日の作業を開始する前に、制動装置、操作装置及び作業装置の
機能について点検を行わなければならない。
(補修等)
第194条の28
事業者は、第194条の23若しくは第194条の24の自主検査又は
前条の点検を行った場合において、異常を認めたときは、
直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。

ショベルカーなどの建設用機械とほぼ同じですが、個々に見て行きたいと思います。

高所作業車は、定期的点検しなければなりません。

定期点検として、まず1年以内に1回以上行う、年次点検を行います。
年次点検では、走行系などの車両としての部分もありますが、アームやブームなど高所作業車ならではの機能も重点的に点検します。

公道を走るので、年次点検は大体車検と合わせて受けることが多いのではないでしょうか。

高所作業車の年次点検は、特定自主検査に指定されています。
これはフォークリフトや建設用機械と同様の扱いです。

特定自主検査とは、有資格者によって実施することが義務付けられている検査のことです。
この資格を得るためには、厚生労働大臣指定の講習などの他、高所作業車の取り扱い業務に長年携わる実務経験も必要になります。
とてもじゃないですが、多くの事業者で行うことは困難でしょう。

そのため、資格者がいる整備工場などに検査を委託することが多いと思います。

一歩間違えれば、作業車の命に関わる機械なのですから、特定機械に準じて、入念に検査することが求められるのです。

年次点検を特定自主検査で行う他にも、定期点検はあります。
1月に1回以内の月次点検も行わなければなりません。

月次点検は、年次点検よりも点検項目は少なく走行系、制御系の他、安全装置について点検を行います。バラして内部まで見るのは不要ですが、実際に動かしてみて、不具合がないかを点検することが必要です。

さて、定期点検を行った場合、やったらやりっぱなしではいけません。
必ず記録を取り、3年間保管しましょう。

年次点検や月次点検で、定期的に機械の状態を確認します。
しかし、いざ使う時に不具合があるなんてことも、あるでしょう。
点検してから時間が経った場合などは、その心配があります。

そのため、作業前には必ず作業前点検を行います。
これは作業前に行うので、そんなに時間をかけてられません。
ほんの5分程度でできる、目視や簡単に動かしての点検になります。
この作業前に点検を行うだけでも、機械の調子をチェックになるので、疎かにしてはいけません。

点検で、何がしら異常や不具合があった場合は、どうしたらよいでしょうか?
当然ですが、修理や補修しなければいけませんね。
異常箇所を後で治そうと放っておくと、忘れてしまうのものなので、すぐに修理することが大切です。

高所作業車は、特殊な用途のための機械です。
人を高いところまで運ぶのですから、命を支えていると言っても過言ではありません。

人の命を支えているのですから、万全でなければ危険きわまりないですよね。

もし、ちょっと調子悪いけど、気にしないでといわれても、そんなのに乗れるでしょうか?
とてもじゃないですが、作業床に乗れないし、気乗りもしないですよね。

年次で特定自主検査を行い、月次点検、そして作業前の点検とを行い、常に万全の状態で使用してこそ、本来の効果を発揮します。

繰り返しますが、高所作業車を、効果的に使用するのは、安全が担保されてこそです。
そのための定期点検は、決して手を抜かないように実施し、機械を所有する限り、実施し続けなければならないのです。

まとめ。

【安衛則】

第194条の23
高所作業車については、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
第194条の24
高所作業車については、1月以内ごとに1回定期に、自主検査を行わなければならない。
第194条の25
自主検査を行ったときは、記録し、これを3年間保存しなければならない。
第194条の26
高所作業車の年次点検は、特定自主検査とする。
第194条の27
高所作業車を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、点検を行わなければならない。
第194条の28
自主検査または点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。

 

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