厚生労働省労働局長登録教習機関
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これは先日、職場を巡視していた時に発見したのです。
倉庫の2階に上がるために、脚立を使った形跡があったのですが、この脚立の使い方に問題がありました。
どんな使い方かというと、こんな感じです。
ダメなのが分かりますね。
脚立を開かずに、立てかけて使うのはダメですね。
脚立は脚立の使い方があり、はしごのような使い方をするものではありません。
何故かというと、足元がしっかり地に着いていません。
ほんのちょっとバランスを崩すだけで、足元を滑らせてしまうのです。
本来の使い方はこんな感じですね。
しっかり開き、開き止め金具を止めましょう。
ちなみにこの後、脚立を立てかけて使われないように片付け、全員に使い方について周知しました。
巡視でこんなことがありましたので、今回は移動はしごと脚立についての条文です。
移動はしごと脚立については、安衛則に規定されています。
【安衛則】
(移動はしご) 第527条 事業者は、移動はしごについては、次に定めるところに適合した ものでなければ使用してはならない。 1)丈夫な構造とすること。 2)材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。 3)幅は、30センチメートル以上とすること。 4)すべり止め装置の取付けその他転位を防止するために |
安衛則で規定さているものは、使い方ではなく、構造についてです。
構造として、何より重要な事は丈夫であることですね。
そして、壊れていたり、腐食しているものもダメです。
人が乗って、壊れてしまうようなものであれば、どうしようもありません。
その他、構造的なことでは、幅は30センチ以上の広さがなければなりません。
そして、足元には滑り止めがあり、使用中に滑ったり、倒れたりしないようにしなければなりません。
つまり、使用時に安全に使えるものとするのです。
しかし、はしご自体が丈夫であっても、使い方を誤れば、危険になります。
さらには本来の機能を発揮させることができなくなります。
使い方については、はしごの取扱説明書などに書いてあります。
説明書から、ピックアップしてみます。
・はしごの頭は接点より、60センチ以上突き出す。
・立てかける角度は75度以下にする。
縦横の比は、縦:横=4:1とする。
・伸ばして使用する場合は、留め金を必ず留める。
・滑りやすいところや、ドアの前などに設置しない。
・建物のヘリや突き出した部分に、立てかけない。
・はしごの接点より上に、体重をかけない。
・はしごに乗っている時に、横にはみ出さない。
・はしごには表と裏があるので、注意する。裏面から登らない。
・はしごを背にして、昇り降りしない。
・水平にして橋にしない。
・電柱など立てかける場所が、平面でない時は、バンド等で固定する。
などです。
どれも安全に使うのに大切なことですね。
もし取扱説明書があるのでしたら、一読しておくと、よいのではないでしょうか。
はしごに表と裏があるなどは、ただ使うだけでは気にしないかもしれません。
しかし、強度が異なるので、裏から登ると、最悪折れてしまうこともあるようなので、注意です。
それでは、続いて、脚立の条文です。
(脚立) 第528条 事業者は、脚立については、次に定めるところに適合したもの でなければ使用してはならない。 1)丈夫な構造とすること。 2)材料は、著しい損傷、腐食等がないものとすること。 3)脚と水平面との角度を75度以下とし、かつ、 4)踏み面は、作業を安全に行なうため必要な面積を |
はしごと似通っていますね。
脚立も使い方には触れておらず、構造についての規定です。
脚立も、丈夫な構造でなければなりません。
そして、壊れていたり、腐食しているものでないものを使用します。
脚立は、必ず開いて使います。
開いた時の角度は、75度以下にします。
この角度は、はしごを立てけかるときの角度と同じですね。
これ以上だと急すぎるのです。
また脚立は、階段のように昇り降りするものです。
はしごであれば、横さんは棒でも構いませんが、脚立はそれでは困ります。
横さんに立って、作業も行うので、安全に作業できる程度には、踏み面の面積が必要なのです。
はしごと同様、使う時に壊れてしまう、また落下してしまうようなものは、ダメなのです。
条文には、使い方は書かれていませんが、取扱説明書には注意事項がまとめられています。
いくつかピックアップしてみます。
・脚立を開いた時には、留め金は必ずロックする。
・はしごのように、立てかけて使用しない。
・作業床や台の上で使用しない。
・作業は、昇降面を作業対象に向けて行うことが基本。
・脚立の天板をまたいで、作業しない。
・脚立の天板の上に立たない。
・脚立を背にして登り降りしない。
脚立は、その上に登って作業できるように作られています。
しかし、どこに乗っても大丈夫かというと、そうではありません。
天板の上は不安定なので、この上に立って作業してはいけません。
またいで行うのも、いけません。
何よりダメなのは、作業床や台の上で、立てることです。
必ず固い地面の上に、しっかり開いて使いましょう。
時には、脚立をいくつか並べ、その上に板などを載せ、簡易作業床にするケースもあります。
2メートル以内のところで、足場を組むほどではない場合に、使われたりします。
このような使い方をする場合には、次の注意点を守りましょう。
1.高さは2メートル以内とする。
2.足場板は両端と中央の3点支持とする。
ただし、足場板を2枚重ねする場合は、両端の2点支持でもよい。
3.両端の脚立は、ゴムバンド等で固定する。
4.両端の突き出し、足場板の重ね部分は、20センチ以上とする。
5.両端の脚立から突き出している部分では、作業禁止。
6.脚立と脚立の間は、1.8メートル以内とする。
7.積載荷重は150キロ以下とする。
一時的な足場になるでしょうが、しっかりとた構造にしなければならないのです。
はしごや脚立は、昇降目的の他、作業床を使用するほどではない作業で使います。
必要な設備も簡単なものなので、つい油断しがちですが、はしごなどの作業も墜落・落下事故になることも多いのです。
墜落事故が起こるのは、足場などの高所作業だけではありません。
事故事例を見ていると、1.5メートルくらいの高さから落下したところ、頭を打って亡くなったというケースもあるのです。
今回は私が巡視中に、不適切な脚立の使い方を発見したのですが、このように実は危ない使い方は多いのではないでしょうか?
はしごや脚立は誰でも簡単に使える設備です。
本当に安全に使えているのか、今一度確認するのも大切なことですね。
まとめ。
【安衛則】
第527条 移動はしごは、丈夫で規定に適合したものを使用しなければならない。 |
第528条 脚立は、丈夫で規定に適合したものを使用しなければならない。 |
脚立の安全配慮を調べているときに見ました。
この脚立の使用方法に問題があると思います。
2階床の高さと脚立の高さがほぼ同じです。
最低でも2階床の高さから60cm以上突き出していないと
昇降設備として使用できないと以前労基から言われました。
はしご道としての考え方か??
労基に確認したほうがよいと思います。
コメントありがとうございます。
また、ご指摘ありがとうございます。
確かに写真の脚立の使い方は、適切ではありませんので、いつもはこのような使い方は、しておりません。
床から60センチ以上突き出る別のハシゴを使用しております。
この巡視時では、脚立の使い方としても、ダメだったので、脚立の足を広げた姿でも写真を撮りました。
何かと急いだりしている時は、近くの有り物を使つことが多いでしょうが、きちんと安全確保はしたいものです。
この巡視の後、社内では、そのような話をしました。
その後、巡視では同様の状態は見られないので、改善されたようです。
脚立を開いてはしごの代わりとして使用するのは、良いのでしょうか?
労働安全衛生規則ではそこまで規制されていないようですが。
脚立のメーカー任せなのでしょうか?脚立によっては、『開いて使う場合は留め金具を・・・』などと書かれているようですが。
社内で教育をする場合、どのように説明すればよいか、迷っています。
アドバイスをお願いします。
コメントありがとうございます。
仰るとおり、脚立をハシゴとして使用することですが、安衛則などで規制はありません。
そのためメーカーが脚立・ハシゴ兼用の商品を販売しています。
私の会社で使用している脚立で、長谷川工業のものがあったのですが、これはハシゴしても使用できるようでした。
ハシゴ代わりにしてはダメなものは、そういった注意書きがあると思うので、それを使用するのは避けたほうがよいと思います。
安全教育では、ハシゴ兼用なのかを確認して使用すること、使用の際には留め金などを確実に留めること、そしてハシゴとして正しい使用をすることなどを伝えられてはいかがでしょうか。
いつも拝見させて頂いております。
法令(安衛則)上の文言として『梯子』について確認をさせて下さい。
梯子は「接地部から60cm以上突き出しを」との文言をよく見かけるのですが、これは法令ではうたわれておりますか?どこを見ても見当たらないので定められてはいないのかな?と理解しておりますがご教授下さい。