飛来・落下○事故事例アーカイブ

歩道に鉄パイプ落下、女性が骨折 

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都会では、日々新しい店が誕生しては、閉じていきます。

ビルの一室に、新しい店をオープンするにあたって、まず最初に行うことは店の中の内装を作ることでしょう。

飲食店なら飲食店仕様に、コンセプトに合わせたりと、内装はお店の雰囲気を作り出します。

当然のことながら、内装は自分でやらなければ、専門の業者が行います。

毎日のように、どこかの場所で内装工事は行われています。

内装工事は、主に室内で行う工事です。
しかし窓の工事などでは、屋外で作業することもあります。

ビルの中のお店であれば、道路や歩道に接していることが多いでしょう。
見方を変えると、歩道を歩いている人の、すぐ真上で工事が行われているのです。

とはいうものの、このような光景は日常のものであり、ほとんどの場合、当事者以外は気にもとめない出来事にしか過ぎません。

しかし、頭の上で仕事をしているのだと実感させる出来事も、時々起こります。

それは上から物が落ちてくること。
つまり、ビルの上階で仕事をしていて、工具や材料をうっかり落としてしまい、地上に激突するようなことです。

落下に対しては、様々な備えをすることが義務付けられていますが、完全に防ぐことは難しいでしょう。

歩いていて、上から物が落ちてきたら、避けようがありませんよね。

そのような、危険を認識させる事故が、先日起こりました。

まさに歩いていたら、上から鉄パイプが落ちてきて、ぶつかる事故です。

今回はこの事故を取り上げ、原因の推測と対策を検討してみたいと思います。

鉄パイプ落下、女性骨折か 東京・中野区の工事現場
(平成27年1月9日)

9日午後、東京都中野区中野のビルの内装工事現場で、約5メートルの高さから、長さ約4メートルの鉄パイプが落下し、通行人の20代女性の足に当たった。女性は、左足親指の骨折の疑いがあるとして、病院に搬送された。

警視庁中野署は、鉄パイプを適切に固定していなかった可能性もあるとみて、業務上過失致傷の疑いも視野に、現場責任者らから事情を聴く。

中野署によると、継ぎ手でつないだ複数の鉄パイプを高所に引き上げる作業中、接続部が外れて1本が抜け落ちたとみられる。午後3時50分ごろ119番通報があった。

現場は、中野ブロードウェイ近くの繁華街の一角。

産経新聞

この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「仮設設備」です。
鉄パイプは加害物になります。

東京の中野区の繁華街ですから、人通りも多かったものと推測されます。
その人通りが多い場所での、鉄パイプの落下です。

不運にも、落下地点にいてぶつかってしまった通行人は、足の指を骨折した可能性があるようです。
全く注意も払っていなかったでしょうから、避けようがなかったでしょう。

これが作業場であれば、KYなどで落下物に注意することと、意識させることができます。
しかし第三者、一般歩行者に対しては、それはできません。
作業を行っている事業者が、十分に対処する必要があります。

落下防止のための措置としては、道路に接した面にメッシュシートを張るというものがあります。
このシートによって、仮に道路側に物が飛んでしまったとしても、シートに遮られますし、落下しても真下なので、歩行者に当たる可能性を低くしているのです。

この事故の現場を写真で見たのですが、作業を行っていた階の窓を板で防ぎ、この板を外側から鉄パイプで支えているようでした。
板を支えている鉄パイプは何本かの支柱に、横棒を取り付けているというものでした。
この鉄パイプの取り付けが、しっかり固定されていなかったのです。

そしてメッシュシートなどの落下や飛散防止のための設備は、何もなさそうでした。

屋内の仕事ですし、外になにか飛び出すということはないだろうと思ってのことでしょう。
しかし思わぬものが事故の原因となってしまうのです。

さて、これらを踏まえて原因を推測してみます。

1.屋外に取り付けた鉄パイプの固定が緩く、外れたこと。
2.落下防止のためのシートなどがなかったこと。
3.パイプの取り付けなどの、点検を行っていなかったこと。

直接的な原因は、鉄パイプの固定が甘く、外れてしまったことでしょう。
同時に、飛来物や落下物が、歩行者にぶつからないための適切な処置をしてなかったことが、被害を出してしまったのです。

足場や型枠支保工などであれば、作業前にボルト・ナットの固定状況を確認します。
作業の都合上、一時的にボルト・ナットを外し、手すり等を取り外すこともあります。
その後、しっかり固定されていないこともあり得ますので、日常的に仮設設備を点検することは重要なのです。

それでは、対策を検討してみたいと思います。

1.鉄パイプの固定は、しっかりと行う。
2.飛来や落下を防止するためのメッシュシート等で覆う。
3.作業前には、仮設設備の点検を行う。
4.落下物のおそれがある場所には、三角コーンなどで立入禁止エリアにする。

まず、落下しないようにすることが大事です。
ボルト・ナットは確実に固定します。
もし一時的に取り外したら、確実に復旧し、確認しましょう。

そして、道路に接する部分に仮設設備を置く場合は、万が一に備え、メッシュシートを取り付ける必要があります。

また日常作業においては、仮設設備の点検を行いましょう。
緩みのチェック程度でしたら、短時間でできるので、作業前にできます。

また、落下物のおそれがある場合は、落下地点付近には人が入らないようにするとよいですね。
ただ、道路では歩行者や通行車両に影響を与えるので、道路を管理している警察と相談して、立入禁止は行わなければなりません。

都会では、多くの人が行き交う場所での仕事になります。
人が多くいる場所というのは、事故になると、第三者を巻き込んでしまう危険があるということです。
常に人に注意を払う必要があります。

作業する人も、歩行者も危険が内容にすることは、事業者の責任です。
どうしても安全対策の費用かかります。
しかし、歩行者を怪我させてしまうことを考えると、必要経費といえるのではないでしょうか。

仕事は、みんな安全にやるのが一番大切です。

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