厚生労働省労働局長登録教習機関
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2メートル以上の高所で作業する時には、作業床が必要になります。
作業床とは、いわゆる作業するために歩いたり、踏ん張ったりすることができるスペースのことを言います。
作業床を設けるには、それを支える支柱や土台が必要になります。
作業床や支柱などを全てまとめた設備のことを、一般に足場と言います。
足場を組むというと、作業床を設けることを指します。
足場作業というと、作業床を設けて、高所作業を行うということを指します。
今回から、足場についての規定をまとめていきます。
ビル工事などでは、ビルに接して足場が組まれているのは見かけることも多いのではないでしょうか。
この足場作業は、地上よりも高い所でも作業する目的です。
高い場所での作業なので、最も注意しすべきことは、墜落や転落です。
この墜落や転落事故が非常に多く、今も昔も死亡事故では第1位です。
足場の規定は、何よりも墜落や転落を防止すること、そのために簡単には壊れないような構造にすることが求められます。
足場についての規定は、安衛則にまとめられていますので、少しずつ見て行きましょう。
【安衛則】
第2節 足場
第1款 材料等 (材料等) 2 事業者は、足場に使用する木材については、強度上の |
一般的によく利用される足場は地面から上へ、上へと組み上げていくタイプのものです。
吊り橋の下側で作業する場合などでは、下から組み上げるのではなく、上から組む、吊り足場というのももあります。
足場にはいくつかの種類があるとはいえ、共通するきまりがあります。
それは、使用する材料は丈夫なものを使用することです。
損傷や変形、腐食があるようなものは使用してはいけません。
これは、組み上げた足場が使用中に壊れないようにするために必要な条件なのです。
いつ壊れるのかわからない場所では作業することはできませんね。
丸太足場というものもありますが、その場合の材料も丈夫で、危なくないものを使用します。
割れや虫食いなどがあれば、そこが弱点になり、ウィークポイントになります。
木皮が付いたままだと、通路面だと引っかかったり、滑ったりしますし、通路と反対だと、結束部の緩みの原因になります。必ず、皮を剥いだものでなければなりません。
足場を組み立てる際には、まずは材料のチェックを行うのです。
鋼管を組んで足場にする場合、使う材料はしっかり選定しなければなりません。
鋼管も継手もJIS等の規格を満たしたものを使用します。
具体的な規格値とうは、条文にありますので、再掲しませんが、これらの条件を満たした材料を使用しましょう。
ただ、組む立て作業前に、これらの規格を満たした部材なのかとチェックすることは少ないでしょうね。
足場用の部材ということで購入したら、だいたいはこの規格値を満たしたものが手に入るでしょうから、気にもしないことがおおいでしょう。
鋼管なら何でも使っていいもんじゃないというくらいで。
平成27年7月法改正部分について、追記です。
(構造) 第561条 事業者は、足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。 |
材料だけでなく、足場は構造も丈夫でなければなりません。
いい加減な組み方をしてたら、危ないので、事前にどのような構造にするのかは計画を立てましょう。
足場の構造については、細かい決まりもあります。
それはまた後の条文になります。
(最大積載荷重) 第562条 事業者は、足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を 定め、かつ、これをこえて積載してはならない。 2 前項の作業床の最大積載荷重は、つり足場(ゴンドラのつり足場を 3 事業者は、第1項の最大積載荷重を労働者に周知させなければならない。 |
足場は丈夫な材料、丈夫な構造であっても、地面の上やコンクリート床とは異なるので、強度にも限界があります。
最大積載荷重、つまり足場が支えられる限界の重量以上のものを載せたりすると、崩れ落ちることもあるのです。
この最大積載荷重は、足場の材料や構造によって、異なります。
必ず足場には最大積載荷重を定め、これ以上の荷重を載せてはいけません。
下から鋼管などで組み上げる足場も、あまりに重いものを載せて崩れると大変ですが、上から吊り下げる吊り足場だと、この最大積載荷重の決まりは、とても重要です。
足場が崩れると、墜落してしまいますからね。
吊り足場を支えるのは、チェーンやワイヤーなどです。
このチェーンやワイヤーはかなり太く上部なものでなければなりません。
基準として、安全係数というものがあるのですが、ワイヤーロープで10以上、チェーンでは5以上などと定め等ています。
安全係数は、直径や切断荷重、つり方などによって変わるので、計算して算出します。
どのように計算するかは、玉掛け教育などでもあるかと思うので、そちらに譲るとして、使用前には、丈夫さを確認しなければなりませんね。
(作業床) 第563条 事業者は、足場(一側足場を除く。第3号において同じ。)に おける高さ2メートル以上の作業場所には、次に定めるところに より、作業床を設けなければならない。 1)床材は、支点間隔及び作業時の荷重に応じて計算した
2)つり足場の場合を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は、 イ 幅は、40センチメートル以上とすること。 3)墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、 イ わく組足場(妻面に係る部分を除く。ロにおいて同じ。) (1) 交さ筋かい及び高さ15センチメートル以上 (2) 手すりわく ロ わく組足場以外の足場 手すり等及び中桟等 4)腕木、布、はり、脚立その他作業床の支持物は、これにかかる 5)つり足場の場合を除き、床材は、転位し、又は脱落しないように 6)作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼす 2 前項第2号ハの規定は、次の各号のいずれかに該当する場合であつて、 1)はり間方向における建地と床材の両端との隙間の和が 3 第1項第3号の規定は、作業の性質上足場用墜落防止設備を 1)要求性墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備等を設け、 2)前号の措置を講ずる箇所には、関係労働者以外の 4 第1項第5号の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、 1)幅が20センチメートル以上、厚さが3.5センチメートル以上、 イ 足場板は、3以上の支持物に掛け渡すこと。 ロ 足場板の支点からの突出部の長さは、10センチメートル以上とし、 ハ 足場板を長手方向に重ねるときは、支点の上で重ね、その重ねた 2)幅が30センチメートル以上、厚さが6センチメートル以上、 5 労働者は、第3項の場合において、要求性墜落制止用器具の使用を 6 事業者は、第3項の規定により作業の必要上臨時に足場用墜落防止設備を |
足場設備は、作業床を設けるための設備と言えます。
その作業床は、ただ板を並べればいいというものではありません。
きちんと決まりがありますし、満たすべき基準もあるのです。
2メートルを超える高所に設けられる作業床は、材料や構造などの基準を満たさなければなりません。
なお1号に一側足場を除くとあります。
一側足場とは、「ひとかわあしば」と読みます。
この一側足場は、建地となる支柱部に、にブラケットを取り付け、その上に足場板を敷く足場を言います。
建地の反対側にも支柱を建て、支えとすることともありますが、足場を支えるのは片側の支柱というものです。
高い場所などでは向きませんが、住宅建築など、比較的低く、省スペースで設置できる足場です。
この条文は、一側足場は除くとありますので、ご注意下さい。
さて、床材は金属や木材が使われることが多いです。
木材の場合、種類ごとに強度が異なるので、基準強度を超えるもの使用しましょう。
作業床の幅は狭くては、仕事になりませんね。
幅広い作業床を設けるため、何枚かの木材を並べておくこともあります。
作業床の幅は、40センチ以上としましょう。2列に並べる場合、その隙間は3センチ以下とします。
ただし吊り足場の作業床は、隙間はあってはいけませんのでご注意下さい。
作業床に立って作業をしている場合に、何よりも注意すべきことは墜落することです。
そのため、墜落防止のための設備を設けなければなりません。
枠型足場や鋼管足場などで、少々必要とする設備は異なりますが、ほぼ同様です。
ただし、例外的に、どうしてもつけることができない状況の場合に限り、安全帯(要求性墜落制止用器具)などが着用できるようにすることで、これらの設備を設けないこともできます。
あくまで例外ですけどね。
以下に設けなければならない設備をまとめます。
・(わく組足場)交さ筋交い、35センチ以上50センチ以下の中さん。
15センチ以上の幅木。
・(わく組足場)手すり枠。
・(鋼管足場等)85センチ以上の手すりと中さん。
・腕木、布、はり等の支持物は、丈夫な接続部材を使用する。
・床材は、転位し、又は脱落しないよう2点以上の支持物で支える。
・墜落防止ために、10センチ以上の幅木。メッシュシートや防網など。
床材は2点以上で支持物に固定しなければなりませんが、一部の条件では除外されます。
それは床材を1箇所に固定するのではなく、移動させながら使用する場合です。
足場の組立などでは、足場組立のための作業床を設けることもあるので、そのような場合も含みます。
移動させながら使用する足場の使用条件は次のとおりです。
・幅20センチ以上、厚さ3.5センチ以上、長さ3.6メートル以上作業床を使用する場合
ただし次の通りの条件を満たします。
1.作業床は、3点以上掛ける。
2.足場の突出部の長さを一定以上とする。
3.足場の重ねた長さは、20センチ以上とする。
・幅30センチ以上、厚さ6センチ以上、長さ4メートル以上作業床を使用する場合
この場合も、上記の2と3を満たさなければなりません。
固定しない分、確実に落下せず、ガタガタしないような構造が求められるのですね。
さて、今までは部材や構造についてですが、作業者は安全帯着用を忘れてはいけません。
特に、手すりなどを設けられない場合は、必ず着用しましょう。
平成27年7月法改正部分について、追記です。
足場の部材や作業床は、人が乗ったり作業するので、強度が求められます。
安心して作業するためには、まずは足場からといいますが、文字通り強固な足場が必要になるわけですね。
まとめ。
【安衛則】
第559条 足場の材料については、著しい損傷、変形または腐食のあるものを使用してはならない。 |
第560条 鋼管足場に使用する鋼管については、十分な強度を持ったものを使用しなければならない。 |
第561条 足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。 |
第562条 足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、これをこえて積載してはならない。 |
第563条 高さ2メートル以上の作業場所には、作業床を設けなければならない。 作業床は、適当な強度や構造、設備を設けなければならない。 |