厚生労働省労働局長登録教習機関
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職業によっては、有害なものを扱ったり、危険な作業が必要になることがあります。
建設業であれば、高所作業があり、常に墜落の危険が伴います。
有機溶剤を扱う仕事であれば、中毒の危険があります。
電気工事であれば、感電の危険があります。
溶接作業であれば、火傷や光による失明の危険があります。
介護の仕事などでは、腰痛が職業病といえるでしょう。
1日中パソコンのモニターを眺めているのであれば、目の疲れに悩まされます。
全ての仕事でとはいいいませんが、仕事と怪我、病気は切っても切り離せないものがあります。
仕事上での怪我や病気は、労働災害といいますが、この労働災害をいかに減らせるのかは、ずっと続くテーマと言えます。
労災を減らすために、様々な人が、様々な努力を行ってきました。
まず安衛法などの法律で規制するというのがあります。
そして、使用する機械が、なるべく危険がないようにすることもあります。
作業方法の工夫で、危険や有害な状況に成らないようにする方法もあります。
また教育したり、指導したり、危険標識をつけたりと、作業者に意識させたりもします。
どれも、一定の効果を上げることができる対策でしょう。
回転する刃で材料を切断する機械を扱う時、刃が剥き出しのものとカバーがあるものでは、どちらのほうが安全かは、言うまでもありませんよね。
原発の仕事でも、人が作業するのと、ロボットに作業させるのであれば、どちらが人体への影響が少ないかは、わかると思います。
しかし、それでも防ぎきれない危険や有害物もあるのです。
そのため、最後は自分の身は自分で守らなければなりません。
自分を身を守るためのものが、保護具です。
保護具は、身につけて、危険や有害物質を防ぐものです。
ただし、大きな機械に挟まれる、高いところから落ちる、大量の有機溶剤を浴びるなどの、大きな力の前では、気休めにしかなりません。
そういうものは、もっと根本的な方法で、危険回避策をとりましょう。
とはいえ、保護具は身を守るために、重要です。
保護具には次のようなものがあります。
どれかを身につけていたりするのではないでしょうか?
頭部を保護する保護帽、ヘルメット。
手に切ったり、有害物質を直接触らないようにする手袋。
目を守るメガネやゴーグル。
感電を防ぐ絶縁用防具。
高所からの落下を防ぐ安全帯。
足を守る安全靴。
放射線の透過を減らす防護服。
これらは直接的な被害から身を守るものですが、広い目で見ると、腰痛を緩和するサポーターやコルセットもある意味保護具に含まれるかもしれません。
またパソコンなどのVDT作業時にブルーライトから目を保護するメガネも保護具かもしれませんね。
このように身につけて、危険から守るものが保護具です。
そのため、身につけなければ意味がありません。
また身につけていても正しく使っていなければ、効果を発揮しません。
実際のところ、保護具を正しく使っていないというケースも少なくないのです。
保護具を身につけていたら、怪我をせずにすんだのにということも少なくありません。
しかし、多くの人は保護具を着けなければならない、着けることで事故を防ぐことができることは知っています。
それでも、着用しない人がいるのはなぜでしょうか。
理由はいくつかありそうです。
まず、着けると煩わしいというのが理由としてあります。
保護具を着用すると、行動を制限し、動きづらくなることもあります。
ヘルメット、手袋、安全靴、安全帯。
作業する場合、これらは邪魔に感じてしまいます。
しかし、これは慣れるしかありませんね。
別の理由としては、習慣も考えられます。
保護具の着用義務は、昔よりも厳しくなってきています。
以前はヘルメット無しでも構わなかったということも多かったのです。
ベテランの方には、昔の習慣を引きずっているということが見受けられます。
そして、そのベテランを見て、若い人も真似をする。
そのような継承がされているケースも、幾度と無く目にしました。
これは習慣を変えるよう全員で取り組んでいかなければなりませんね。
ベテランには意見を言いづらいかもしれません。
こういう時はトップダウンで指導することも大切です。
保護具は身に付けることが当たり前という習慣化が重要なのです。
また、保護具は正しく着用しなければなりません。
ヘルメットもかぶっているだけで、ブカブカというのでは、いざという時役に立ちません。
安全帯も着けているけど、フックをかけていないのであれば、意味がありません。
また保護マスクも、有機溶剤を使っているのに、防じんマスクを使っていては、何一つ役に立ちません。
保護具は、目的に応じた適材適所なのです。
今どのような仕事をやっていて、どのような危険があり、それに対応する保護具は何かを言うことを見極めて使います。
もし、どれが適切なのかわからない場合は、保護具アドバイザーに聞いてみるのも、一つの手ですね。
保護具アドバイザー
最後に、保護具には寿命があります。
ヘルメットであれば約3年、安全帯は約2年など、大体決まっています。
いざというときに効力を発揮しなければ、保護具の効果はありません。
頻繁に買い換えるのは、コストが掛かりますが、安全には換えられないのですから、必要経費として常に機能するようにしましょう。
保護具は、最後の最後に身を守るものです。
そういう意味では、最後の砦と言えます。
保護具のおかげで、怪我をしなくて済んだということは、気づかないものも含めて案外多いのです。
ヘルメットを使っている方であれば、その表面は傷だらけでしょう。
ほとんどの傷がいつ、どこでついたものか分からないでしょう。
それは頭部を守ってできた傷なのです。
いつ何時、何が起こるかはわかりません。
保護具の着用は、いざという時の保険なのですから、確実に着用していきたいものですね。