厚生労働省労働局長登録教習機関
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ガスや電気、水道、下水道などはインフラ設備なので、止まってしまうと、多くの人に生活に影響が出てきます。
平素は全く問題はなくとも、施設は年々劣化していくものです。
劣化していくと、あちこち故障したり、不具合が起こってしまいます。
だからといって、施設を止めて、点検したり改修したりすることもできません。
施設の点検や改修工事は、とても気を遣うのです。
施設の点検や改修工事は、ノウハウが必要なのです。
今回はこのような施設で発生した事故について、見てみたいと思います。
下水道処理施設で起こった事故ですが、被災者は中国人の実習生になります。
被災者は死亡された事故です。
この事故の原因を推測し、対策を検討してみたいと思います。
下水処理場の汚水プールに中国人実習生が転落、死亡 底に沈んだ状態で発見
(平成27年1月9日)
9日午前0時35分ごろ、新潟市の下水処理場で「男性作業員が汚水プールに落ちた」と別の作業員が119番通報した。男性は午前2時20分ごろ、プールの底に沈んだ状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
新潟県警江南署によると、プール脇の泥に足を滑らせたような跡があり、誤って転落したとみて原因を調べている。 男性は新潟市、中国籍の技能実習生で、死因は溺死。 江南署と新潟市によると、事故は、中部下水処理場(同市中央区)の汚水プールに水位計を付ける工事中に起きた。汚水プール(縦39メートル、横10メートル、深さ3メートル)のある地下へ被災者が最初に降り、次の作業員が降りると、被災者の姿が見えなかったという。 |
この事故の型は「おぼれ」で、起因物は「設備(汚水プール)」です。
事故が起こった下水処理場は、市の約20%もの汚水を処理する大きな施設です。
ここで言う汚水というのは、下水道から流れてくるものですので、どういうものかはイメージできますよね。
下水処理場では、流れてきた汚水を浄化し、最終的に川などに放流します。
事故の起こった汚水プールも、そのような設備の1つでした。
事故は汚水プールに水位計を設置する工事の時に起こってしまいました。
水位計とは、文字通り水位を測定するための機器です。
一定の水位まで、水かさが上昇すると、溢れたりしないように、ポンプを動かして別の水槽に水を送ったりします。
水位計は電線ケーブルの先端にセンサーが付いており、水の中に沈めて使用します。
おそらく事故は、古い水位計を引き上げるか、新たな水位計を取り付けるときに足を滑らせたものでしょう。
水槽のヘリは、水で濡れていたり、泥が溜まっていたりと滑りやすい状態です。
不用意にヘリを歩いていると、水の中に落ちてしまうこともあります。
普通のプールなどであれば、すぐに脱出できるでしょうし、救出もすぐにできるでしょう。
しかし汚水プールなので、救出する側も、不用意に飛び込むことはできません。
当然躊躇してしまいます。
さらに、被災者は1人でいる時に落ちたようなので、発見までにも時間がかかってしまいました。
また、被災者は中国人の実習ということですので、コミニュケーションが十分でなかった可能性があります。
もちろん、実際のところ、しっかりコミニケーションがとれていたかもしれません。
もし十分に指示が伝わっていなかったとしたら、それも原因かもしれません。
それでは、原因を推測してみます。
1.プール側を歩いていたこと。
2.実習生1人で行動させていたこと。
3.作業指示が十分に理解させていなかったこと。
4.中国人実習生との間で、十分なコミニュケーションがとれていなかったこと。
仕事が十分に分かっていない段階の作業者を、手伝い等以外で、単独行動させないほうがよいでしょう。
何が危険かが分かっていないため、思わぬ事故を起こしてしまいます。
特に外国人と一緒に仕事する場合は、しっかりと理解させる必要があります。
分かってくれるだろう、言わなくても分かるだろう、見て覚えろなどは通用しません。
安全に仕事させるのは、事業者の義務になるのです。
対策を検討してみます。
1.転落しやすい場所、滑りやすい場所などは歩かない。
2.実習生や手伝いの作業者は単独行動させない。
3.作業指示は、明確にしっかりと伝え、不安全行動や指示に従わせるようにする。
4.日常的なコミニュケーションをしっかりとる。
外国人労働者と一緒に仕事するということは、今後増えてくるでしょう。
その時大切なのは、コミニュケーションです。
文化や考え方が異なります。
何となくでは、通用しないことはたくさんあります。
しっかりと伝え、不安全行動はとらせてはいけません。
全て事業者の義務ですし、一緒に仕事をする人たちの義務なのです。