崩壊・倒壊○事故事例アーカイブ

堂本光一さん主演のミュージカル中にセット倒れ、6人けが 東京・帝国劇場

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3月に、KinKi Kidsの堂本光一さん主演のミュージカルで事故があり、大きなニュースになっていました。

この記事をアップしている段階では、まだ記憶に新しいではないでしょうか。

お芝居やミュージカル、ライブなどでは、舞台にセットはつきものです。

目の前で、ある種夢の様な世界を創りだすのですから、そのセットは巨大で、斬新なものも少なくありません。

しかしメインは舞台の上の役者さんです。
そのためセットはあくまでも背景の一部。

いったん幕が上がれば、注目されるのは役者さんの姿でしょう。

このミュージカルでも、お客さんやスタッフの目は、主演の堂本光一さんをはじめとする役者さんに集中していたことでしょう。

事故はそんな中起こりました。

今回は、この事故について原因の推測と対策を検討してみたいと思います。

堂本光一さん主演のミュージカル中にセット倒れ、6人けが 東京・帝国劇場(平成27年3月19日)

19日午後3時55分ごろ、東京都千代田区丸の内の帝国劇場で、人気デュオ「KinKi Kids」の堂本光一さん主演のミュージカル「Endless SHOCK」の公演中に舞台セットのパネルが倒れ、出演者ら男性6人がけがをした。いずれも命に別条はなく、警視庁丸の内署が詳しい原因を調べている。

同署によると、パネルは縦約7メートル、横約3メートル、重さ約800キロ。可動式で、LED照明が付いていた。舞台上には計6枚があり、このうちの2枚が倒れたという。約1800人いた客は無事だった。公演は中断され観客は避難した。

帝国劇場などによると、公演中のミュージカルは平成12年の初演以降、これまでに1200回を超えるなど人気だった。この日は15周年の記念公演で、午後1時と同6時の2回が予定されていたが、6時の回は中止になった。

最前列で観劇していたという女性は、「舞台の右手側からパネルがゆっくり倒れてきて、出演者の男性やスタッフが慌てて支えていた。途中で幕が下りてきて中の様子は分からなくなったが、『バサッ』という音が聞こえたあと、『担架を持ってこい』という怒号を耳にした」と話した。

現場は東京メトロ日比谷駅近くのオフィスビルなどが立ち並ぶ一角で、現場周辺はファンや救急車などで一時騒然となった。

産經新聞

この事故の型は「倒壊」で、起因物は「構造物(舞台セット)」です。

ショーが佳境に迫った時、巨大なLEDパネルが、出演者やスタッフの上に倒れこみ、下敷きになってしまったという事故です。

この倒れこんだパネルは、非常に巨大なもので、重さが約800キロもあったようです。
パネルは2枚倒れたのですから、かなり広範囲の人を巻き込んでしまったのでしょう。

出演者は、舞台の上で演技に集中していたでしょうから、気づく間もなく巻き込まれたか、もしくは気づいても逃げることができなかったということではないでしょうか。

怪我をされたものの、命に別状がなかったのは、不幸中の幸いだったと言わざるを得ません。

原因については、今後操作で明らかになるでしょう。
しかし本来倒れるはずのないものが、倒れたのですから、ボルトがしっかり締まっていなかったなど、固定が不十分であったと思われます。

それでは、原因を推測してみます。

1.LEDパネルを固定するボルトなどの固定物が、十分に固定されていなかったこと。
2.繰り返しの振動や移動で、ボルトが緩んだこと。
3.セットと出演者との間の距離は狭く、逃げ場所がなかったこと。
4.セットについて、点検を十分に行っていなかったこと。

直接的な原因は、パネルの固定が外れたことによります。

外れた原因は、設置の仕方が悪かったのか、ボルトなどが当初から十分に締め付けられていなかったか、また舞台が続く内に緩んだかです。

こんな短期間で、締め付けが緩むことは考えられないので、当初から危険を抱えたままだったのではないでしょうか。
つまり、いつ倒れてもおかしくない状態で、舞台の幕が上がり、続いていたのでは推測されます。

安全に期するのであれば、舞台の設置や固定状態などは、組み立て後とその日の舞台前にチェックするのが理想です。

対策を検討します。

1.セットの作りを、倒れたりしないように変更する。
2.ボルトの締め付けなどは、組み立て後に確認する。
3.毎日のリハーサル時には、舞台の状態について点検する。
4.危険時の対応について、スタッフ及び出演者が共有する。

一番は、このような事故が起こらないようなセットを組むことです。

とはいえ、年々リニューアルし、より一層の演出を創りだそうとすると、時にはリスクがあるというのは避けられないでしょう。

しかし、安全性を無視しては、全てが台無しになります。
今回のように事故があると、その日の公演が中止になりますし、下手をすると残りの公演全てが中止になることもあるのです。

このミュージカルは長年続いているので、美術スタッフも慣れている方だったのかもしれません。それが理由であるとは思いませんが、固定物のチェックが不十分だったのではと推測されます。

この舞台は、セットの一部を変更し、公演を続行となりました。
出演者、スタッフ、ファンの強い思いがこもった舞台でしょうから、続行は喜ばしいことだと思います。

ダイナミックな演出は、リスクを伴います。
しかし、ハラハラさせるものの、安全にやり切るのが、カッコいいところなのだと思います。

今回は、不幸にして事故が起こってしまいました。
しかし次回以降は、事故なく続き、堂本光一さんとこのミュージカルの記録は、さらに伸びるのだと思います。

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