厚生労働省労働局長登録教習機関
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物を加工する工作機械には、刃物による切断以外にも、様々な種類があります。
その1つが回転する砥石やバフなどです。
これらの機械は、木材や金属の表面を削る、面取りする、磨くなどの仕事を行い、主に回転体に、材料を押し当てて、加工するものです。
高速回転体は、体に接触すると危険なのは分かりますよね。
もし表面がザラザラしている砥石が肌に触れると・・・
想像すると恐ろしいものです。
機械とともに仕事を行うということは、常にこういった危険と隣合わせであることを忘れてはいけません。
正しく、安全に取り扱うことが、何よりも大切なことです。
今回も前回に引き続き、工作機械の規定についてまとめていきます。
【安衛則】
(研削といしの試運転) 第118条 事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には 1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上 試運転をしなければならない。 |
研削といしとは、砥石が高速回転する機械です。
回転している部分に、材料を押し当て、削ったり磨いたりします。
この研削といし、砥石は円形で、中央部に金具やボルトで取り付けるのですが、この取り付けが緩んでいたり、角度が悪いと、運転中に外れ、飛んでいってしまいます。
砥石がすさまじい勢いで飛んできて、もし当たってしまうと、ただでは済みませんよね。
研削といしを使用する場合は、作業開始前に1分以上の試運転を行います。
砥石を取り替えた場合は、3分以上の試運転を行います。
取り替えた時に取り付け状態を確認するので、3分以上の試運転が必要なのです。
研削といしは、高速で回転するので、作業を続けていくと、取り付け部緩んでくることもあります。そういった作業中の緩みの確認のために、開始前の試運転は大切です。
運転して、いきなり作業を行なってはいけないということですね。
(研削といしの最高使用周速度をこえる使用の禁止) 第119条 事業者は、研削といしについては、その最高使用周速度を こえて使用してはならない。 |
研削といしは、最高使用周速度を超えてはいけません。
つまり、決められた回転数以内で作業しましょうということです。
車で、アクセルを踏むとどこまでもスピードが出ますよね。
しかしちょっとしたハンドルミスが事故になったりと、制御も難しくなります。
これと同じように、出力を上げると、研削といしも回転数が上がります。
回転数が上がると、パワーも増えますが、砥石が外れたりするリスクも高くなるのです。
制限回転数などは、機械ごとに定められているので、これを超えないようにしましょう。
回転数を上げるために、改造するのもダメです。
(研削といしの側面使用の禁止) 第120条 事業者は、側面を使用することを目的とする研削といし以外の 研削といしの側面を使用してはならない。 |
研削といしの砥石は、円になっており、主に周面に材料を加工します。
砥石を円形の板に見立てた場合、真横から見た部分が、周面になります。
砥石を正面から見た部分が側面になります。
研削といしは、側面を使用する目的以外のものでは、側面を使ってはいけません。
側面は面積が広く、物によっては加工しやすい場合もあります。
しかし側面に砥石コーティングされていない状態だと、ただの摩擦で削るに過ぎず、砥石を痛めたり、破損させたりします。
破損した場合、破片が飛び散り、当たる可能性も出てくるのです。
当然、側面に砥石コーティングをして使用できるものもあるので、側面を使う場合は、そういったものを使用しましょう。
(バフの覆い) 第121条 事業者は、バフ盤(布バフ、コルクバフ等を使用する バフ盤を除く。)のバフの研まに必要な部分以外の部分には、 覆いを設けなければならない。 |
バフ盤とは、布やゴム、革など比較的柔らかい素材を高速で回転させる機械です。
バフ材表面には、目の細かい研磨剤を塗り、製品や材料の表面を仕上げます。
バフ盤加工によって、製品は傷つけずに、ツルツルに磨き上げられ、ピカピカになります。
柔らかい素材とはいえ、表面は研磨剤があるため、削る力は持っています。
不用意に体の一部や、物が触れるとやはり危険なのです。
バフ盤は研磨に必要な以外の部分は、覆いを付けます。
ただし、布など触れても支障がないものについては、覆いは不要になります。
高速回転する機械は、材料の表面を削るものです。
それは同時に、もし人体の一部が触れても、削られてしまうとうことです。
取り扱いには慎重さが必要になります。
また取り扱い方法を誤ってしまうと、大事故につながりかねません。
試運転や側面の使用禁止などは、法律で定められているからだけではなく、社内のルールとしても徹底するのがよいですね。
まとめ。
【安衛則】
第118条 研削といしについては、その日の作業を開始する前には1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上試運転をしなければならない。 |
第119条 研削といしについては、その最高使用周速度をこえて使用してはならない。 |
第120条 側面を使用することを目的とする研削といし以外の研削といしの側面を使用してはならない。 |
第121条 バフ盤のバフの研まに必要な部分以外の部分には、 覆いを設けなければならない。 |