厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
遠心機械などは、モーターの力により高速回転を生み出す機械です。
中心に一本の軸、回転軸があり、この回転軸に容器などの回転体がくっついています。
中心の軸が高速回転することで、軸に付いている容器が回るのです。
1分間に数百回、数千回と回転を加えるのですから、各所にかかる負荷は相当なものに違いありません。
負荷が大きなものは、その分だけ疲労し、摩耗します。
動いている最中は、人など簡単に吹き飛ばしてしまうようなエネルギーの固まりです。
もし高速回転中に、回転体が壊れて、破片が辺りに散らばろうものなら。
まさに辺り構わず銃を乱射しているような状態ですね。
また回転軸が折れることがあれば、回転体が吹っ飛んでいきます。
これはまさに大砲が打ち出されるようなものです。
回転作業に関わる機械の部品は丈夫さが求められます。
つまり回転体や回転軸には、一定以上の品質のものでなければなりません。
品質を確かめるためには、検査や試験を行います。
高速回転体の品質確認には、当然のことながら回転させて確認という試験が伴います。
この試験時の注意も、安衛則では規定しています。
【安衛則】
回転体を、実際に高速回転させて、試験を行うときには、丈夫な壁や天井がある建物の中で行わなければなりません。
これは、もし試験の時に、回転体が壊れてしまった場合、破片が飛び散ったりしないようにするためです。
そのため、もし回転体を覆いをかけるなどカバーできる場合は、頑丈な建物でなくとも構いません。
ちなみに回転速度は、秒速25メートルを越えるのものが対象になります。
ゆっくり回って、もし壊れても被害が大きくならないようなものは、除外されます。
(回転軸の非破壊検査) 第150条 事業者は、高速回転体(回転軸の重量が1トンをこえ、 かつ、回転軸の周速度が毎秒120メートルをこえるものに 限る。)の回転試験を行なうときは、あらかじめ、 その回転軸について、材質、形状等に応じた種類の 非破壊検査を行ない、破壊の原因となるおそれのある 欠陥のないことを確認しなければならない。 |
回転体を支えるのは、中心の軸です。
これを回転軸といいます。
回転軸は、高速回転に耐えるだけの強度が必要です。
そのため、しっかり品質を確認しなければなりません。
しっかり確認とはいえ、出来上がった製品の内部にき裂がないかなどを見ることは難しいことです。
中を見るには、壊さなければなりません。
しかし製品を壊さずに、内部の状態を確認する方法があります。
それを非破壊検査といいます。
非破壊検査は、赤外線や電磁波、X線などを使い、内部の様子を確認することです。
内部のき裂が許されない部品は、非破壊検査が必要とされます。
高速回転体の回転軸は、非破壊検査を行い、内部も欠陥がないことを確認しなければなりません。
少しの傷が、大事故になりかねない部品ですので、細かなところも確認しなければなりません。
なお非破壊検査を必要とする、回転軸は、重量が1トンを越えて、毎秒120メートルを越える回転速度のものです。
これを見ると試験対象は相当大きく、負荷のかかるものです。
それだけ、丈夫さが求められるともいえますね。
(回転試験の実施方法) 第150条の2 事業者は、前条の高速回転体の回転試験を行うときは、 遠隔操作の方法による等その制御、測定等の作業を行う 労働者に当該高速回転体の破壊による危険を及ぼす おそれのない方法によって行わなければならない。 |
回転試験を行う際には、丈夫な建物の中で行うのはもちろんのこと、試験方法も注意が必要です。
高速回転体の回転試験は、制御や測定などは危険がない方法で行わなければなりません。
回転体の近くで操作せず、遠隔操作で行うのも、1つの手段です。
余談ですが、この回転体の試験の様子について、ふと頭に浮かんだのは、「紅の豚」のワンシーンです。
壊れた飛行艇の修理で、新たに搭載するエンジンのテストを行うシーンがありますよね。
トタン屋根の倉庫で、エンジンが爆音を上げて動いています。
動かしているエンジニアはおじさんはご機嫌ですが、屋根や壁は吹き飛び、マルコの頬肉は風で押し上げられたりしています。
回転体の試験では、こんなシーンのようなことはダメだということです。
とても丈夫さを求められる機械の一部なので、品質が求められます。
もし欠陥があれば、大きな事故になります。
製造過程で、起こり得る事故を防ぐことも大事なことと言えますね。
まとめ。
【安衛則】
第149条 高速回転体の回転試験を行なうときは、専用の堅固な建設物内又は堅固な障壁等で 隔離された場所で行なわなければならない。 |
第150条 高速回転体の回転試験を行なうときは、あらかじめ非破壊検査を行なわなければならない。 |
第150条の2 前条の高速回転体の回転試験を行うときは、高速回転体の破壊による危険を及ぼすおそれのない方法によって行わなければならない。 |