厚生労働省労働局長登録教習機関
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クレーンを設置しても、状況により使わなくなることもあります。
仕事の規模が縮小したり、内容が変わり、クレーンを必要と亡くなることもあります。またクレーンが古くなってしまい、新しい設備にすることもあります。
クレーンを完全に使わないようにする、撤去することを、廃止と言います。
一時的に使わなくなることを、休止といいます。
休止は、将来また使うこと可能性も残しています。
休止しているクレーンを、また使いはじめることを、使用再開と言います。
休止、廃止、使用再開にあたっては、それぞれ届出が必要になります。
クレーンは製造から廃止までの全ての期間において管理されます。
その都度に応じて、届出や検査を必要とします。
今回は、クレーンの休止、廃止等に関する条文をまとめます。
クレーンの休止報告 |
【クレーン等安全規則】
(休止の報告) 第48条 クレーンを設置している者がクレーンの使用を 休止しようとする場合において、その休止しようとする 期間がクレーン検査証の有効期間を経過した後に わたるときは、当該クレーン検査証の有効期間中に その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。 |
休止というのは、クレーンを一時的に使わなくすることです。
これは事業者が、仕事の内容を見て、判断することです。
しかし、事業者が「しばらく使わない」と決定して終わり、では済まないのがクレーンという機械なのです。
クレーンを設置した時には、落成検査があり、その後は2年以内ごとに性能検査を受けます。 これらの検査で、検査証の有効期限が設定されるのですが、休止となると次の性能検査を受けないということになります。
当然、休止期間中にクレーンの有効期限は過ぎてしまいます。
労働基準監督署としては、何の報告もなければ、性能検査も受けずに、クレーンを使っているのかと疑いを向けてしまうのです。
使わなくなったクレーンは、きちんと報告しなければなりません。
クレーンを有効期限を越えて使用を休止する場合は、労働基準監督署長に休止届を提出しなければなりません。
休止届を出して、性能検査を受けなくても良くなるのです。
使用再開検査 |
休止をしたけれども、また使う必要ができたから、クレーンを使用したいということもあります。
これを使用再開といいます。
今まで定期的に検査をされてきたクレーンなのですから、いきなり使いはじめることはできません。
なぜなら、性能検査を1回以上飛ばしているからです。
使用を再開するためには、少なくとも性能検査に相当する検査が必要です。
休止したクレーンを使用する場合には、労働基準監督署長の使用再開検査を受けなければなりません。
検査内容は、しばらく動いていなかったのですから、各部をしっかり確認します。 落成検査や変更検査と同様となります。
使用再開検査にあたっては、申請書を提出します。
書類は、こちらを参考にしてください。
労働安全衛生法様式集
クレーンに関する書式は、ページ中程にあります。
使用再開検査の時の措置 |
(使用再開検査を受ける場合の措置) 第50条 第7条の規定は、使用再開検査を受ける場合について準用する。 |
使用再開検査は、落成検査と同じ措置を取ります。 これは変更検査でも同じでした。
具体的には、荷重検査の重りを準備し、玉掛け用具を準備するなどです。
また検査の時に、ボルトなどを外し、内部をチェックすることもありうるというものです。
クレーン則の第7条については、こちらに書いています。
使用再開検査後は検査証の裏書する |
(検査証の裏書) 第51条 所轄労働基準監督署長は、使用再開検査に合格した クレーンについて、当該クレーン検査証に検査期日 及び検査結果について裏書を行なうものとする。 |
これも、変更検査を受けた時と同じです。 クレーンの使用再開検査を受けた場合、検査証には裏書がされます。
使用再開検査に合格したクレーンは、検査証の裏に検査期日、検査結果などを裏書されます。
この裏書された検査証を受けて、クレーンは休止から目覚めることになります。
クレーン廃止時には、検査証を変換する |
(検査証の返還) 第52条 クレーンを設置している者が当該クレーンについて、 その使用を廃止したとき、又はつり上げ荷重を3トン未満 (スタッカー式クレーンにあっては、1トン未満)に 変更したときは、その者は、遅滞なく、クレーン検査証を 所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。 |
クレーンが役割を終えるときの手続きです。
もう使わない、撤去することを、廃止といいます。
廃止にあたっても、労働基準監督署長に届出を行わなければなりません。
クレーンを廃止する場合は、労働基準監督署長に検査証を返還しなければなりません。
クレーンの検査証は、いわば検査許可です。
検査証を失えば、もう使うことができません。
ただし、検査証を必要としないクレーンもあります。
それは、吊り上げ荷重が3トン未満のクレーンです。 これらのクレーンは、特定機械ではないので、落成検査等がありません。 そのため検査証もないのです。
クレーンの構造変更をして、吊上げ荷重が3トン以上のクレーンでを、3トン未満にする場合も検査証を返還します。
もう特定機械ではなくなることを、労働基準監督署長に報告しなければならないのです。
検査証を返還したクレーンは、性能検査等の検査は必要ありません。
しかし、3トン未満のクレーンであっても、定期自主検査は必要になるので、管理は必要です。
クレーンは、廃止に至るまで、徹底的に管理されます。 なぜ、ここまで厳しいのかというと、重大な事故を引き起こす機械だからです。 ほんの少しの不具合が、大事故になり、多くの人命に関わります。
そのため、最後の最後、使わなくなるまで気が抜けないのです。
クレーンを使用する事業者には、重大な責任があります。
頻繁に行わなければならない検査ですが、それが作業者の命を守り、他の設備を守ることになることを肝に銘じる必要がありますね。
条文の要約 |
【クレーン等安全規則】
第48条 クレーンの使用を休止しようとする場合において、クレーン検査証の有効期間を経過した後にわたるときは、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 |
第49条 使用を休止したクレーンを再び使用しようとする者は、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。 |
第50条 第7条の規定は、使用再開検査を受ける場合について準用する。 |
第51条 労働基準監督署長は、使用再開検査に合格したクレーンについて、クレーン検査証に検査期日及び検査結果について裏書を行なうものとする。 |
第52条 クレーンを設置している者が当該クレーンについて、その使用を廃止したとき、又はつり上げ荷重を3トン未満に変更したときは、遅滞なく、クレーン検査証を所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。 |