厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第48話「猫井川に迫るショベルカーサンドイッチの危機」 |
小さな現場では、自社だけで作業を行いますが、すこし大きな現場に下請けで入ると、複数の業者と一緒に作業を行います。 犬尾沢たちが今回行う現場は、まさにそのような現場でした。 現場に入ると、犬尾沢は元請けの現場監督やもう一社の監督とミーティングに行きました。 「この現場は、見ての通り非常に狭いのは分かるな。 基礎の掘削量は多くはないけど、うちもショベルカーを使うし、配管作業でもショベルカーを使う。 全員が配管作業を行う作業員たちをチラッと見ました。 犬尾沢は続けます。 「あっちの監督とも話して、一応作業範囲は決めておくけれども、作業によっては範囲を出るから、お互いに誘導するものを置きましょうということになった。 それで今回は、猫井川に誘導を任せたい。うちのショベルカーの動きを見て、危なそうなら合図してくれ。誘導以外の時は、周りの片付けをしてくれ。 ショベルカーには保楠田さんが乗ってください。俺と鼠川さんは周りで作業、兎耳長さんはダンプに乗ってください。 猫井川は、うちのショベルカーだけでなく、あっちのも見てくれな。」 そう指示が終わると、全員が作業にとりかかりました。 「今日はあんまりやることないかな。」 そんなことを思っていると、トラックからショベルカーが降ろされ掘削する場所まで移動してきました。 ショベルカーが地面を掘り始めると、猫井川は近くに控え、周りの様子を伺うのでした。 「見てるだけってのも暇だな。 ショベルカーは穴を掘り、ダンプで土を運び出していきます。 近くでは、配管工事のためのショベルカーが作業していました。 2台のショベルカーが動いている様子を見ながら、猫井川は竹ホウキで掃いたり、片付けたりすることに、少々の息抜きを求めているのでした。 掘削作業も進み、掘る範囲も徐々に広がってきます。 ショベルカー同士の間も、少しずつ近くなってきました。 猫井川はショベルカーの動きに注意しながら、ホウキで掃いていた時でした。 保楠田が乗るショベルカーは視界にあったので、十分に距離を保っていました。 しかしもう1台のショベルカーがバックで猫井川に向かってきていたのです。 相手方の誘導者は何をしているのか。 猫井川の背後から迫る配管工事のショベルカー。 ショベルカーの音が満ちている作業場では、新たに近づくショベルカーの音はかき消されてしまうのでした。 迫るショベルカー。 その時でした、 ふと顔を上げた犬尾沢が、猫井川に近づくショベルカーに気づきました。 「猫井川危ない! 後ろ!後ろ!」 その声にハッした猫井川は後ろを振り向き、ショベルカーの存在に気づきました。 すぐに脇に避け、旗を大きく降って、配管工事のショベルカー運転者に合図します。 その合図に気づいた運転者は、すぐさまストップさせました。 「あぶないよー! ちゃんと後ろ見てよ。」 猫井川は文句を言いました。 「誘導者は何でいないの? 犬尾沢の声に、現場を離れていた誘導者が慌てて戻ってきました。 「お前もよく見ておけよ。 そう言うと、犬尾沢は自分の仕事に戻って行きました。 危うくショベルカーにひかれそうになり、肝を冷やした猫井川でした。 その後は、片付けをするときも常に頭を上げ、周囲を見渡すといった、やたらと慎重な誘導者になっていったのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリ・ハットは一歩間違えれば、大きな事故になった事故ですね。
大きな工事では、いくつもの下請け業者が作業します。 それぞれの業者がショベルカーなどの重機を、持ち込んで作業に当たるのですが、問題があります。
自分たちの作業については内容も把握できているものの、他の業者の作業までは把握できません。
作業内容が把握しあえていないと、作業範囲が重なったりして、今回の猫井川のような危険もあります。
いくつもの下請け業者が作業を行う現場では、元請けが主導して作業間の連絡調整が重要です。
どの業者が、どういった作業を、どの範囲で行うのかを把握し、隣り合って作業する業者はそのことを知っておく必要があります。
自分たちだけで作業をしていれば大丈夫な現場とは、注意するポイントが増えるのです。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめましょう。
ヒヤリハット | 隣り合って作業としているショベルカーがバックしてきて、ひかれそうになった。 |
対策 | 1.作業間の連絡調整を行い、作業範囲を定める。 2.誘導者は自社だけでなく、近接作業の様子も見ておく。 |
合図者、誘導者は手持ち無沙汰に感じてしまいます。
何か体を動かしておくほうがいいと思うかもしれませんが、監視し安全を確保するのも大事な仕事だということを覚えておく必要がありますね。