厚生労働省労働局長登録教習機関
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KY(危険予知)活動、トレーニングを日頃から行っていると課題が見えてきます。
まずマンネリ化すること。
日常繰り返される作業なのですから、目新しい危険など見えません。
記録を残す必要があるから、同じことを書き続けているのが実情ではないでしょうか。
毎日毎日ただKYを形だけ行っているというのも少なくないのではないでしょうか。
もう1つは、KYでよく行われている、4ラウンドKYでの盲点といえるものです。
4ラウンドKYとは、大体において、次の手順で行います。
1R 「どんな危険が潜んでいるか」
作業場にどんな危険があるかを、見つけ出します。
見つけた危険を話し合い、全員で共有します。
イラストを使うことも多いです。
2R 「これが危険のポイントだ」
発見した危険のうち、重要なものを決め、◯をつけます。
さらに、重要なものから、もっとも重要なものを決め、◎をつけます。
3R 「あなたらならどうする」
◎をつけた危険に対しての対策を話し合い、決めます。なるべく具体的な対策を決めます。
4R 「わたし達はこうする」
対策の中から、最重要なものを合意で選び、チームの重点目標とします。
対策は、全員で指差呼称します。
多少、違いはあるとはいえ、この方法を取り入れられているのではないでしょうか。
これは、製造業など1日同じ作業を行う場合なら、これでもいいでしょう。
しかし建設業は、掘削作業のあと、コンクリート打設を行うなど、時間ごとに作業内容が変化します。 こうなると、4ラウンドKYで、重点項目を1つに絞り込むことに無理がありますよね。
掘削作業とコンクリート作業では、危険ポイントが全く違うからです。
この問題を考えた時、考えたのが2時間おきKYというものでした。
ヒントは、以前受けた講習です。
講師はまさに百戦錬磨!中災防セミナーで得たものは、アイデアと勇気でした。
この講習の質疑で、上記の問題があがりました。
作業が時間帯ごとに変わるという場合の、KYの使い方です。
その時、先生が「休憩ごとにKYすればいいんだよ」と答えられたので、これだと思った次第です。
これを踏まえ、私が担当している工事では、2時間おきKYというものをやってみようとしたのでした。
2時間おきというのは、8時の作業開始時、10時の休憩明け、お昼休憩明け、3時の休憩明けにKYを行うものです。
それぞれの時間でたっぷり時間をとるわけにはいきません。
作業者にとっては、KYは負担ですし、ましてや書類に書き込むのは、手間です。
そのため、なるべく書くことを削ります。
危険ポイントと対策は、それぞれで最重要ポイントのみ出すようにしてもらいました。
さて、導入しやってもらい始めて1月。
課題も見えてきました。
意図していたことと、現実 |
この2時間おきKYは、作業者の負担を増やすことは承知しています。
それを承知のうえで、意図してたことというのは、時間帯ごとの作業で、どんな危険があるかを理解してもらいたいと思ったからです。
大きな現場では、何日も掘削作業というのもあるでしょう。
しかし、小さな現場では、午前中に穴を掘って、午後に砕石を敷均し、コンクリートを打設というのも少なくありません。 それぞれの作業に、それぞれの危険があるわけです。
今から行う作業内容をきっちり把握し、危険ポイントを確認したい。
これが目的でした。
実際にやりはじめたら、意図通りにならないものです。
課題をまとめると、こんなところです。
1.KYは朝するものという習慣から変えられない。
4回もする意味が理解されてない。
2.複数の作業と対策を書類に書くには、手間。
こちらがより安全のためにと考えても、作業者にとっては手間が増えることは嫌われるようです。
残念ながら、意図通りには進みません。
今後工夫しようと思うこと |
さて、今のところ意図通りに進みません。
課題もあります。
では、どのように課題を解決していくかです。
1つ目の問題解決。意図が理解されていないというものです。
安全教育で、目的と意図をしっかり話します。
もしかすると、理解される頃には、現場が終わっているかもしれません。
しかし、次の現場で、そういえば2時間おきKYてのをやっていたなと思い出して、使ってもらえればオッケーかなと思います。
1人よがりで進めてもダメってことですね。
きちんと理解を得て、進めないとです。
2つ目の課題。手間が増えるというものです。
これは、書類に書くより、作業場にホワイトボードを書くようにします。
KYボードというのが売っていますが、これは4ラウンドKYを記入するようになっているので、使えません。
記入するのは、2つです。
「今から行う作業」と「危険ポイント」です。
重要ポイントだけに絞って書きます。
これを作業場内の休憩所に置いておきます。
そして、休憩明けにここに作業内容と危険ポイントを書いてもらうことにします。
書類に書かなきゃいけないのは、管理者がやってもいい話ではと割り切っています。
安全活動というと、書類をたくさん作ればいいというような風潮があるように感じます。
大切なのは、実のある安全活動であって、書類作成ではないのかと。
作業者の負担を増やさず、安全意識を高めることが重要だと思うので、この改善を実施して、様子を見てみます。
また、しばらくしたら効果の程をレポートしてみたいと思います。