危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

危険物取り扱い時の注意

entry-407

新聞はテレビのニュースで、時々工場が爆発したり、炎上する事故を見かけることがあります。

特に中国の天津市で起こった化学工場の大爆発では、2キロ離れた建物の窓ガラスが割れ、死者も少なくとも150名以上にもなりました。
これは、水に接触すると化学反応する物質が保管されていたにも関わらず、消火活動で放水したことが原因のようです。

製造業では、製造過程で時には危険物質を取り扱うことがあります。
その物質は、人体や環境に有害なものや、火元に近い場所で使用すると発火、爆発するといったものも少なくありません。

当然のことながら、取り扱いには慎重さを要します。
物質自体は、危険で有害であっても、他に替えるものがありません。
そのため、危険で有害なことを承知した上で、使用しているのです。

危険物質の取り扱いには、規制があります。 この規制も安衛則にまとめられています。

index_arrow 危険物製造や取扱時の注意

【安衛則】

第2節 危険物等の取扱い等

(危険物を製造する場合等の措置)
第256条
事業者は、危険物を製造し、又は取り扱うときは、爆発又は火災を防止するため、
次に定めるところによらなければならない。

  1)爆発性の物(令別表第1第1号に掲げる爆発性の物をいう。)については、
   みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、
   加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと。

  2)発火性の物(令別表第1第2号に掲げる発火性の物をいう。)については、
   それぞれの種類に応じ、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに
   接近させ、酸化をうながす物若しくは水に接触させ、加熱し、又は衝撃を与えないこと。

  3)酸化性の物(令別表第1第3号に掲げる酸化性の物をいう。以下同じ。)については、
   みだりに、その分解がうながされるおそれのある物に接触させ、加熱し、摩擦し、
   又は衝撃を与えないこと。

  4)引火性の物(令別表第1第4号に掲げる引火性の物をいう。以下同じ。)については、
   みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、
   若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないこと。

  5)危険物を製造し、又は取り扱う設備のある場所を常に整理整とんし、
    及びその場所に、みだりに、可燃性の物又は酸化性の物を置かないこと。

2  労働者は、前項の場合には、同項各号に定めるところによらなければならない。

危険物を製造したり、取り扱ったりするときの注意です。

一口に危険物と言っても、その危険さはいくつかのグループに分けられます。
そのグループは、主に「爆発物」、「発火物」、「酸化物」、「引火物」となります。

危険物の製造や取り扱いにあたっては、物質に応じた慎重な取り扱いをしなければなりません。危険物を取り扱う場合は、整理整頓して、可燃物や酸化物などを置かないようにします。

「爆発物」は、文字通り爆発する物質です。
ダイナマイトの原料になる、ニトログリセリンというのは代表ですね。

「発火物」は、近くに火がなくとも、燃えてしまう物質です。
例えばカリウムなどは、水や酸素に反応して、燃えてしまいます。つまり水中や空気中に保管できません。
そのため石油の中に保管しなければなりません。
簡単に言うと、勝手に(正確には化学反応で)燃えるものが、発火物といえますね。

「酸化物」は、酸素と反応する物質です。 酸素と反応して、酸化する物質はたくさんあります。鉄も酸化して、サビを出しますね。
しかし、ここに含まれる酸化物は、その反応の仕方が激しいのです。
非常に激しい場合は、爆発したりします。
反応のきっかけは、加熱したり、摩擦したり、衝撃を与えただけでも起こります。
中には光を当てただけで、反応するものもあります。

取り扱いには、密閉した容器を暗所に静かに保管します。

「引火物」は、ガソリンが代表といえます。
気温がマイナスでも気化して、火種があれば、燃え上がる物質です。
気化して、蒸気がある場所では、火は厳禁です。

これら物質の取り扱う場所では、整理整頓が重要です。
万が一、火災などが起こったとしても、周りに燃えるものがなければ、延焼は防げます。
また危険物質の近くに、危険を呼び込むような物は置かないようにします。

これらの物質例は、安衛令別表第1にあります。

index_arrow 危険物取り扱い時の指揮者の配置
(作業指揮者)
第257条
事業者は、危険物を製造し、又は取り扱う作業(令第6条第2号又は第8号 に掲げる作業を除く。)を
行なうときは、当該作業の指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させるとともに、
次の事項を行なわせなければならない。

  1)危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備について、
    随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。

  2)危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備がある場所における温度、
   湿度、遮光及び換気の状態等について随時点検し、異常を認めたときは、
   直ちに、必要な措置をとること。

  3)前各号に掲げるもののほか、危険物の取扱いの状況について、随時点検し、
   異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。

  4)前各号の規定によりとった措置について、記録しておくこと。

危険物を製造したり、取り扱う場合は、作業指揮者を選任し、指揮させなければなりません。

例外は、安衛令第6条第2号、8号とあります。
安衛令第6条は、作業指揮者を必要とする作業リストになりますが、2号は溶接作業、8号は乾燥設備での作業のことです。
これらの作業でも、結局のところ、作業指揮者は必要になるわけですが、危険物取り扱いという観点では不要ということです。

さて、作業指揮者は、次のことを行います。
1.危険物を製造したり、取り扱う設備の点検。
2.温度や湿度、遮光状態、換気状態を点検。
3.その他取扱い時の注意点の点検。

それぞれ点検だけではなく、異常時には直ちに対応します。

自ら作業することも多いでしょうが、作業指揮者の役割は、作業が安全に正しく行われているかのチェックです。 作業に集中しすぎるのは、ダメですね。

危険物を製造したり、取り扱う時には、非常な注意が必要です。
一歩取り扱いを誤れば、大事故になります。

慎重さに、慎重さを重ねた取り扱いが求められますね。

まとめ。

【安衛則】

256条
危険物を製造し、又は取り扱うときは、爆発又は火災を防止するための措置をとらなければならない。
第257条
危険物を製造し、又は取り扱う作業を行なうときは、作業指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させなければならない。