厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
新聞はテレビのニュースで、時々工場が爆発したり、炎上する事故を見かけることがあります。
特に中国の天津市で起こった化学工場の大爆発では、2キロ離れた建物の窓ガラスが割れ、死者も少なくとも150名以上にもなりました。
これは、水に接触すると化学反応する物質が保管されていたにも関わらず、消火活動で放水したことが原因のようです。
製造業では、製造過程で時には危険物質を取り扱うことがあります。
その物質は、人体や環境に有害なものや、火元に近い場所で使用すると発火、爆発するといったものも少なくありません。
当然のことながら、取り扱いには慎重さを要します。
物質自体は、危険で有害であっても、他に替えるものがありません。
そのため、危険で有害なことを承知した上で、使用しているのです。
危険物質の取り扱いには、規制があります。 この規制も安衛則にまとめられています。
危険物製造や取扱時の注意 |
【安衛則】
危険物を製造したり、取り扱ったりするときの注意です。
一口に危険物と言っても、その危険さはいくつかのグループに分けられます。
そのグループは、主に「爆発物」、「発火物」、「酸化物」、「引火物」となります。
危険物の製造や取り扱いにあたっては、物質に応じた慎重な取り扱いをしなければなりません。危険物を取り扱う場合は、整理整頓して、可燃物や酸化物などを置かないようにします。
「爆発物」は、文字通り爆発する物質です。
ダイナマイトの原料になる、ニトログリセリンというのは代表ですね。
「発火物」は、近くに火がなくとも、燃えてしまう物質です。
例えばカリウムなどは、水や酸素に反応して、燃えてしまいます。つまり水中や空気中に保管できません。
そのため石油の中に保管しなければなりません。
簡単に言うと、勝手に(正確には化学反応で)燃えるものが、発火物といえますね。
「酸化物」は、酸素と反応する物質です。 酸素と反応して、酸化する物質はたくさんあります。鉄も酸化して、サビを出しますね。
しかし、ここに含まれる酸化物は、その反応の仕方が激しいのです。
非常に激しい場合は、爆発したりします。
反応のきっかけは、加熱したり、摩擦したり、衝撃を与えただけでも起こります。
中には光を当てただけで、反応するものもあります。
取り扱いには、密閉した容器を暗所に静かに保管します。
「引火物」は、ガソリンが代表といえます。
気温がマイナスでも気化して、火種があれば、燃え上がる物質です。
気化して、蒸気がある場所では、火は厳禁です。
これら物質の取り扱う場所では、整理整頓が重要です。
万が一、火災などが起こったとしても、周りに燃えるものがなければ、延焼は防げます。
また危険物質の近くに、危険を呼び込むような物は置かないようにします。
これらの物質例は、安衛令別表第1にあります。
危険物取り扱い時の指揮者の配置 |
危険物を製造したり、取り扱う場合は、作業指揮者を選任し、指揮させなければなりません。
例外は、安衛令第6条第2号、8号とあります。
安衛令第6条は、作業指揮者を必要とする作業リストになりますが、2号は溶接作業、8号は乾燥設備での作業のことです。
これらの作業でも、結局のところ、作業指揮者は必要になるわけですが、危険物取り扱いという観点では不要ということです。
さて、作業指揮者は、次のことを行います。
1.危険物を製造したり、取り扱う設備の点検。
2.温度や湿度、遮光状態、換気状態を点検。
3.その他取扱い時の注意点の点検。
それぞれ点検だけではなく、異常時には直ちに対応します。
自ら作業することも多いでしょうが、作業指揮者の役割は、作業が安全に正しく行われているかのチェックです。 作業に集中しすぎるのは、ダメですね。
危険物を製造したり、取り扱う時には、非常な注意が必要です。
一歩取り扱いを誤れば、大事故になります。
慎重さに、慎重さを重ねた取り扱いが求められますね。
まとめ。
【安衛則】
256条 危険物を製造し、又は取り扱うときは、爆発又は火災を防止するための措置をとらなければならない。 |
第257条 危険物を製造し、又は取り扱う作業を行なうときは、作業指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させなければならない。 |