危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

火災や爆発、火傷の原因になる高熱物の取扱い時の注意。その2

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溶けた金属は、数千℃にもなる高熱です。もしその1滴でも体に触れようものなら、かなり熱い思いをするだけでなく、ひどい火傷になってしまいます。
ターミネーターでも溶かしてしまう程の高熱なのですから、どれほどのものかは想像ができるでしょう。

溶けた金属などは、法律上、溶融高熱物と呼ばれます。最もイメージしやすいのが、溶鉱炉ですね。つまり赤々と煮え、溶けた金属のことです。

溶融高熱物を取り扱うための設備には、水との接触を防ぐ構造でなければなりませんでした。 構造だけでなく、取り扱う場合にも、注意が必要になります。

溶融高熱物を取扱い上の注意も、安衛則に規定されています。

【安衛則】

(溶融高熱物を取り扱う作業)
第251条
事業者は、溶融高熱物を取り扱う作業(高熱の鉱さいを水で処理する作業
及び高熱の鉱さいを廃棄する作業を除く。)を行なうときは、
水蒸気爆発を防止するため、第249条のピット、前条の建築物の床面その他
当該溶融高熱物を取り扱う設備について、これらに水が滞留し、
又はこれらが水により湿潤していないことを確認した後でなければ、
当該作業を行なってはならない。

溶融高熱物を取り扱う場合も、水と接することを防がなければなりません。 作業中の水蒸気爆発を防ぐためです。

作業前には、床や設備周辺に水が溜まっていたり、濡れたり、湿ったりしていないことを確認してからでないと、作業してはいけません。

もし水が溜まっていたり、濡れていたならば、これを取り除き、乾かしてから作業しましょう。どこからから水漏れがあるようならば、漏れている箇所を突き止め、完全に止水しなければなりません。

作業中も水の侵入には注意し、防がなければなりません。

(高熱の鉱さいの水処理等)
第252条
事業者は、水蒸気爆発を防止するため、高熱の鉱さいを水で処理し、
又は廃棄する場所については、次の措置を講じなければならない。
ただし、水砕処理を行なうときは、この限りでない。

  1)高熱の鉱さいを水で処理し、又は廃棄する場所は、排水が良いところとすること。

  2)高熱の鉱さいを廃棄する場所には、その場所である旨の表示をすること。

鉱さいというのは、炉で製鉄している過程でできる不純物のことです。別名スラグとも呼ばれます。また金屎とも呼ばれたりするので、製鉄には不要品といえますね。鉄としては使えないので、まとめてコンクリートの骨材や道路の材料などに再利用されます。

鉱さいを炉の中にほったらかしにしておくと、中で固まってしまいます。こまめに排出します。 鉱さいも炉から出たばっかりでは、高熱を持ちます。水処理して廃棄するのですが、取り扱いを間違えると、水蒸気爆発を起こしてしまいます。

鉱さいを水処理して廃棄する場合は、水蒸気爆発を起こさないようにしなければなりません。 水処理は排水のよいところで行い、処理する場所は明示しなければなりません。

水処理と行っても、高熱のものをいきなり水に放り込んではいけません。陶器などの焼き物を時間を掛けて冷やすように、時間を掛け液体から固体に変わってから、水で冷やし、汚れを落とします。

鉱さいも炉から出たものですから、取り扱いは慎重に行います。

なお水砕処理とは、高熱の鉱さいに高圧の水を噴射し、粉々にして、骨材やセメント材の再利用に回すことです。

第253条
事業者は、高熱の鉱さいを水で処理し、又は廃棄する作業を行なうときは、
水蒸気爆発を防止するため、前条の場所に水が滞留していないことを
確認した後でなければ、当該作業を行なってはならない。
ただし、水砕処理を行なうときは、この限りでない。

鉱さいを水処理し、廃棄する場合も、高温状態のものが水に接すると、水蒸気爆発を起こします。 そのため、十分冷えるまでは、溶融高熱物と同じ扱いを行います。

溶融高熱物を取り扱うのと同様に、作業前には、床や設備周辺に水が溜まっていたり、濡れたり、湿ったりしていないことを確認してからでないと、作業してはいけません。

高熱物は、水と接するのを避ける。これが原則です。

まとめ。
【安衛則】

第251条
溶融高熱物を取り扱う作業を行なうときは、作業前に点検等を行わなければならない。、
(高熱の鉱さいの水処理等)
第252条
高熱の鉱さいを水で処理し、又は廃棄する場所については、必要な措置をとらなければならない。
第253条
高熱の鉱さいを水で処理し、又は廃棄する作業を行なうときは、水の滞留を除去してからでなければ行ってはならない。