危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

火災や爆発、火傷の原因になる高熱物の取扱い時の注意。その3

entry-419

金属はリサイクルが進んでいるため、回収された金属くずは、再度溶かされ、製品に生まれ変わります。溶かした金属に、金属くずを加える場合、水分などの不純物が含まれていると、場合によっては火災や爆発の原因になります。

そのため、金属精製のように、溶融高熱物を取り扱う場合は、水の取り扱いが何よりも大事といえます。 金属リサイクル業者も、溶融施設に送る前の分別が重要になるでしょう。

金属くずを溶かす場合の注意についても、安衛則で規定されています。

【安衛則】

(金属溶解炉に金属くずを入れる作業)
第254条
事業者は、金属の溶解炉に金属くずを入れる作業を行なうときは、
水蒸気爆発その他の爆発を防止するため、当該金属くずに水、火薬類、危険物
(令別表第1に掲げる危険物をいう。以下同じ。)、密閉された容器等が
はいっていないことを確認した後でなければ、当該作業を行なってはならない。

金属くずをリサイクするために、溶鉱炉で溶かす作業の注意です。金属くずはそれまでに何かの製品の一部でした。そのため、不純物が付着していることが多いのです。

不純物で多いのは、プラスティックやゴム等でしょう。ところが中には、溶鉱炉に入れてしまうと危険なものもあります。
その代表が、水、火薬、危険物です。水槽のような容器は、中に水が溜まったままのこともあります。水が入った容器を、気づかないまま溶鉱炉に入れてしまうと、爆発しかねません。

金属くずを溶鉱炉に入れる前には、水や爆発物、危険物が含まれていないことを確認しなければなりません。

容器になっているものは、中に何もないことを確認してから、溶鉱炉に入れましょう。

(火傷等の防止)
第255条
事業者は、溶鉱炉、溶銑炉又はガラス溶解炉その他多量の高熱物を取り扱う作業を
行なう場所については、当該高熱物の飛散、流出等による火傷
その他の危険を防止するため、適当な措置を講じなければならない。

2  事業者は、前項の場所には、火傷その他の危険を防止するため、
  適当な保護具を備えなければならない。

3 労働者は、第1項の作業を行なうときは、前項の保護具を使用しなければならない。

高熱物、高温物を取り扱う場合、水と接触させないことは大事ですが、それよりも大事なことがありますね。 それは、火傷への注意です。

高熱のものが体の触れると、火傷になります。誰でもわかることかもしれませんが、きちんと理解しておく必要があります。

溶鉱炉などの高熱を取り扱う場合は、高熱物の飛散や流出を防がなければなりません。また作業者には耐熱の保護具を使用させなければなりません。

ほんの1滴の溶融物や火花であっても、触れると服には穴が開き、皮膚を焦がします。体に触れないようにすることが大事なのです。

とはいえ、長年高熱物を取り扱っている人は、皮膚が厚く硬くなっているのか、素手で平然と触る人もいます。私の会社でも、指先の川が象の皮膚のようになって、少々の熱さには平然としています。しかし、これはベテランだからこそのものです。誰でもできるものではありませんので、きちんと保護具を使用させましょう。

高熱物を取り扱う場合は、火傷と爆発に注意しなければなりません。
冷えるからといって、水をかけたりするのは避けます。熱と水は相容れないものといえますね。

まとめ。
【安衛則】

(金属溶解炉に金属くずを入れる作業)
第254条
金属の溶解炉に金属くずを入れる作業を行なうときは、 水蒸気爆発その他の爆発を防止するため、確認しなければならない。
第255条
高温を扱う場合は、熱傷を防ぐ措置を執らなければならない。