○コラム

日本もアメリカも新入社員の事故に注意するのは、変わらないようです。

entry-428若年層の事故が多いことや、新入社員は事故に合いやすいといったことについて、記事を書いたことがあります。

若者の事故が多いのは、なぜか?

いずれも、国内での傾向について書いたのですが、海外でも事情は同じようです。

少し前のことになりますが、Twitterで流れてきた記事で、気になるものがありました。

21-year-old employee loses four fingers on his first day (ISHN)※英語です

アメリカのサイトの記事ですが、タイトルから察すると、21歳の作業者が、仕事初日で指4本を失ったというものです。
今回は、この記事から、新入社員の事故防止のためにはを考えてみます。

index_arrow 事故の概要

リンク先は英語ですが、簡単に事故概要をまとめてみます。

事故が起こったのは、高熱でプラスティックを押し出し、成形を行う工場です。この日初めて作業を行うことになった被災者は、成形機についたプラスティックくずなどを取り除いていました。作業を開始してから数時間、事故が起こりました。
成形機が動いている時に、手を出してしまったのです。そして火傷を負うとともに、指4本を失う事故にあってしまったのです。

この会社は、この新人に十分な安全教育を行っていませんでした。また現場で教育を行う人も、彼の行動に注意が払われていなかったのでした。

若者の事故は、悲惨な感じがします。誤解がないように、若者以外の事故も悲惨で、若者だけが悲惨ではありません。しかし、若者が事故で、体に障害を負うと、その後の長い人生をその傷を背負うことに、痛ましさを感じてしまうのです。

片手の指のほとんどをなくすことで、不便もあるでしょう。今まで当たり前のようにできていた、掴むという行為も困難になります。会社からの賠償があるでしょうが、お金では換算できない、損失になるはずです。

そのことを考えると、危険を伴う作業なのに、十分に教育や作業の監視を行っていなかった事業者の責任は重いでしょう。大きなペナルティが掛けられたのでした。

機械使用時の危険について、日本であっても、海外であっても何ら変わりなく、同じ様な事故が起こってしまうのです。

そういえば、昔ダウンタウンの松本さんがラジオで、これに似た話をされていました。
高校卒業後、吉本に入った松本さんが、ゲームセンターにいたとき、高校の同級生と出会ったそうです。 「今どうしてるの?」と聞いたところ、同級生は「今は無職」と答え、バンと手をゲーム卓に置きました。その手には指がなくなっていたそうです。松本さんはその手を見て「気ぃつけや」と答えたそうで。

プレス機など、工場機械で指を失う事故の危険は、いつもあるのです。

index_arrow 新入社員の事故を防ぐには

若者や新人の事故の原因は、「無知」と「経験不足」が大きな割合を占めます。
危険についても、知らないことは、対応なんてできないというのが、実情でしょう。

この事故でも、動いている機械に手を出したら危ないくらいは分かっていたかもしれません。
しかし数時間作業を行ってきて、多少慣れてきて、まだ動いているのに手を出すといったチャレンジをしたのかもしれません。事業者や教育係は、これを注意しなければなりません。

新入社員をじっくりと研修ということは、大きな企業でないと難しいでしょう。中小など、ほとんどの会社では、仕事をさせながら教育していくはずです。いわゆるOJTというものです。

OJTでは、実際に作業をさせるので、体で仕事を覚えていきます。実践なので、早く一人前になっていくでしょう。
新人を実践に投入する場合、何よりも注意しなければならないのは、安全です。新人を危険な目にあわせてはいけません。

作業方法とともに、何が危険で、安全に作業する方法を教え込みましょう。
保護具の着用は徹底させます。
危険になるルール違反は見逃してはいけません。
危険を伴う、作業方法の変更も強化してはいけません。

新人は、作業を知りません。経験もありません。目で見て簡単そうに見えることも、実際に作業を行うと難しいことはあります。知識と経験は少しずつ身につけさせるものなのです。

教育係は、自分の作業はあるでしょうが、目を離さないようにします。そしてルールを教えこむのです。
事業者によっては、1人の新人に、1人の教育係をつけるといった、バディ制度とっているところもあります。この制度の場合、教育係の責任が明確になるとともに、新人も疑問があったら、誰に尋ねればいいのか迷わないのがいいですね。

教育係以外の人の役割も重要です。新人に保護具を着用させているのに、他の作業者が着用せずに作業していたら、説得力がありませんよね。この教育内容と実際の現場のギャップは、教育上よくありません。言ってることと、やってることが違うという印象は、不信感を招きます。
教育は、事業者や教育係だけがやるものではなく、全員で行うものなのです。

新人教育は、目をかけ、言葉をかけることが重要です。この教育を疎かにすると、取り返しのつかないことになります。 アメリカでの事故ですが、日本でも珍しくない事故と言えるでしょう。

新しく入った人の安全を確保することは、何より仲間を守ることといえるのではないでしょうか。

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