はさまれ・巻き込まれ○事故事例アーカイブ

ローラーの軸に挟まれ男性死亡(千葉県八千代市)

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製造業で使用する、加工機械には危険箇所がたくさんあります。特に歯車などの回転する部分、動く部分には、巻き込まれたり、挟まれたりする危険がいっぱいです。
そのため機械で動く部分には、カバーなどで人と接触しないようにしています。

このようにカバーなどで接触を防ぐ対策はされていても、事故は跡を絶ちません。

千葉県八千代市で、金属加工会社でも、機械のローラーに巻き込まれるという事故がありました。

今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

ローラーの軸に挟まれ男性死亡(平成27年10月1日)

1日午前10時15分ごろ、八千代市の金属研磨会社で、社員がステンレス板を研磨するローラーの軸に巻き込まれ、現場で死亡が確認された。八千代署は死因や詳しい事故原因を調べている。

同署によると、別の場所で作業をしていた同僚男性が異音を聞き確認したところ、左腕を巻き込まれている状態の被災者を発見した。ローラーの軸は直径10センチ。被災者はローラーの保守点検をしていたという。

千葉日報
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ローラー」です。

この事故は、金属研磨会社で起こりました。ステンレス板を研磨する機械のローラー部の保守点検をしていた作業者が、巻き込まれているのを発見されたのでした。
同僚が異常に気づき、救助したものの、被災者は亡くなってしまいました。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この事故は、機械の保守点検作業中に起こりました。
通常作業の時は、回転したり動い対している箇所にカバーや囲いがあります。しかし保守点検といった臨時の作業は、これらのカバーを取り外すことも多いです。

普段カバーされていない箇所がむき出しになるのですから、危険度は増します。

今事故も保守点検でローラー部のカバーを外したときに起こったようです。

状況からすると、一人で作業をしていたようです。そのため近くで作業していた同僚は、巻き込み事故が起こった時の異音で事故に気づいたくらいです。

また動いているローラーに巻き込まれたのですから、機械は動いていたようです。メンテナンス等では、機械に巻き込まれないように停止させておく必要があります。

機械を停止してメンテナンスするなどの作業手順が定められていなかったのかもしれません。

むき出しで動いている機械を1人で作業していた。
これだけで危険が多い作業だったのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

保守点検中に機械を停止していなかったこと。
保守点検の作業手順書を定めていなかったこと。
KYなどの危険予知を行っていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ローラーなどの回転部分を点検する場合は、機械を止めなければなりません。しかしラインを止めることがきないなどの事情で、機械を止めずに店検することもあるかもしれません。これはかなり危険な作業であることは、理解して置かなければなりません。

また保守点検などは、臨時の作業になります。慣れていない作業ではないので、しっかりとした作業手順書を定めなければなりません。そしてその作業手順書を必ず守らせなければなりません。

機械が動いたままで保守点検を行う場合は、危険が多くなるので、一人作業としないのがいいです。サポートする人、異常が合った時にすぐ対処できる監視人を置くのがよかったかもしれません。

対策をまとめてみます。

機械の保守点検は、機械を止める。
保守点検の作業手順を定め、守らせる。
異常にいち早く対処するために、複数で対処する。

機械の保守点検、メンテナンス等の非定常作業は、日常的に行われる定常作業に比べ事故が多いです。

この事故を防ぐためには、しっかりとした体制を作り、作業手順を定める事が大事です。
1人で作業させることも避けましょう。

事故が多い作業なのだと、よく理解して、実行することが大事なのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】

第107条
機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止させなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

機械による危険の防止 共通一般その2

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