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事故は慣れている作業では起こりにくく、慣れていない作業の時に起こりやすいようです。
日常的に繰り返される作業は、定常作業と呼ばれ、作業手順も注意すべきポイントも頭に入っているので、ミスが起こりにくいのです。
問題は、たまに行なう非定常作業というものです。機械の修理や点検といったものが、非定常作業に含まれます。熟練するほど毎日は行われないけども、不可欠で、急を要することも少なくありません。
非定常作業は、臨時作業なので、手順書が作成されていなかったり、作成されていても熟知されていなかったりします。そのため危険を知らぬまま飛び込み、事故に巻き込まれることも少なからずあります。
大阪のヨドコウの工場でも、非定常作業での事故が起こってしまいました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
ヨドコウ工場で44歳グループ社員が死亡 大阪・西淀川、梱包作業中 (平成27年10月19日)
19日午後2時40分ごろ、大阪市西淀川区の淀川製鋼所大阪工場で、グループ会社の男性社員(44)が物置の壁面の梱包ラインで作業中、ライン内の鉄骨機材に首を挟まれた。社員は病院に搬送されたが、死亡が確認された。
大阪府警淀川署によると、死亡した社員と一緒に作業していた別のグループ社員は「ラインが止まったので点検するために制御盤を操作したら、再起動して事故が起きた」と説明しているという。 同署は業務上過失致死容疑も視野に詳しい原因を調べている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「鉄骨機材」です。
ヨドコウは、物置などを製作している会社です。
この事故は、物置の壁を梱包するラインで起こりました。ライン内で使用する鉄骨機材(ちょっと記事からでは具体的にわからないのですけども)が止まったため、点検したところ、1人の作業者がはさまれてしまいました。
再起動で動き出したところ、はさまれたのですから、中に入り込んで点検されていたと思われます。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
普段動いている機械であっても、何かしらの原因でストップすることはあります。
ストップしたら、点検し、必要に応じて修理などを行いますが、その時のやり方には注意が必要です。
今回の事故のように、機材の中に人がいる時に、動かしてしまうと、中の人に危険が及びます。動かす時は、人が近くにいないかを確認しなければなりません。
機材の中に人がいる間は、間違ってもスイッチが入ってはいけません。そのためには電源は落として置かなければなりません。
何よりも、点検や修理の時はどうしたらいいのか、役割は何かなど、はっきりと理解して作業にあたるのが大事です。
調査では、作業手順書があったのか、守られていたのかなども調べられます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 作業手順が守られなかったこと。 |
2 | 点検作業中に動かしたこと。 |
3 | 点検作業中に電源を入れたままにしたこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
点検や修理は、故障など対応になります。ラインが止まったままでは、仕事に支障をきたすので、緊急性を要します。
各作業者が急いでいる時は、連携も取りにくい。
そのため被災者が中に入り込んでいたのに、別の作業者が機械を再起動させてしまったのです。
緊急対応が必要な時も、手順と役割の確認は欠かせません。
また点検や修理で、機械に近づいたり、中にはいったりする必要がある場合は、電源を落とさなければなりません。
そして別の誰かが誤って電源を入れてしまわないように、電源を入れないように表示をするか、監視人を立てる必要もあります。
機械を再起動させるときには、周囲に人がいないかなどを確認したうえで行います。
点検作業のための、確認や連携は、確実に行なうことが事故防止になるのです。
対策をまとめてみます。
1 | 作業手順書を作成し、作業者が使えるようにする。 |
2 | 点検時には、役割を明確にする。 |
3 | 点検中は、電源が入らないようにする。 |
ラインで異常があっても、機械の電源を落とすことには、ちゅうちょがあると思います。
仕事を止めてしまうからです。
しかし、必要な時は、電源を落とせるような体制作りは必要です。
この体制には、電源を管理する責任者が誰なのかということも明確にする必要があります。
事故が起こると、仕事は完全に止まります。中断どころではありません。
少々仕事は止まるかもしれませんが、確実な安全性を確保することは、何よりも大事なことです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第107条 機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止させなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。
機械による危険の防止 共通一般その2