○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、見えぬ先行きにため息す

entry-478

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第62話「猫井川、見えぬ先行きにため息す 」
猫井川が現場を離れて数日が経ちますが、まだ現場に戻れそうな気配がありません。

「もういい加減、片づけばっかり嫌だよ。なんで、まだ現場に戻れないんだろう。」

そこで、羊井に連絡したところ、

「まだ、大丈夫だ。すぐに戻ってきてもらうことになるから、それまでは片付けがんばってくれ!」

という返事。

犬尾沢に連絡しても、

「こっちは今のところ人手が足りてるから、来なくていい。
 片付けも大事な仕事だぞ。」

とつれない態度でした。

保楠田などに愚痴を言ってみたところで、

「仕方ないから、しばらくは片付けに集中してよ。」

という返事しかないのでした。

はぁ~とため息一つをついて、また倉庫にとぼとぼと向かっていくのでした。

張り合いがないとはいえ、ここ数日で片づけは進んでいっています。
道具入れは、種類ごとに棚に収納されましたし、コンパネも使い古しは処分され、足りない分は買い足されました。

1人でずいぶん片づけたものです。

次は小物の材料を仕分けて、棚に収めていくだけでした。

鉄筋用の番線や、クギといった小さな材料は、それぞれ箱があり、その中に仕分けられています。
各現場で持ち出すときは、箱の中から必要分を取り出し、不要になったら、元の箱の中に戻すというのが基本ルールです。

ところが、他の大きな道具入れなどもゴチャゴチャなのですから、小物入れなども当然のように散々な様子でした。

「はぁ、またここもゴチャゴチャだよ。なんでクギの中に番線が入ってるんだよ。
 これは、ゴミじゃないか。こんなところに入れないで、捨てろよなー」

愚痴が出てしまうのです。

「さて、1つずつやるか。」

棚から箱を取り出すと、ゴミなど不用品を取り出し、整理していくのでした。

「それにしても、ここは暗いな。
 電気はどこだっけ?」

辺りを見渡して、電気のスイッチを探すと、出入り口のところにありました。
スイッチを入れてみると、電気はついたものの、どうも暗い。

「照明が暗いのかな。手元が見えにくい。
 仕方がないけど、この状態でやるか。」

うっすらとしか見えにくい状態の中で、箱の中の小さな材料を仕分けしていくのは、なかなか大変です。

「懐中電灯でもつけようかな」

そんなことを考えながら、整理した箱を棚に戻そうとした時でした。
棚から取り出し、床に置いていた箱に足を引っかけてしまったのでした。

「あ、痛て!」

引っかかった勢いで、前のめりになり、整理した箱の中身が床に散らかってしまったのです。
中身は辺りの床にぶちまかれ、棚の下にも入り込んでしまったのでした。

「せっかく整理したのに。。。」

呆然とする猫井川。
全て拾い集めるのにどれくらいの時間がかかるのか。

猫井川の足元には、散らばる材料といつ終わるとも知れない先行きが広がっていたのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回も倉庫内の片づけで起こったヒヤリハットです。
別の記事でも書いたのですが、ここ最近いくつか工場に行く機会があり、そこで気づいたのが、暗い中で仕事をするのは怖いなということです。

工場内の天井には強力な照明がありますが、足元まで届けるには、若干照度が足りないところもあります。
もちろん、多くの工場などでは、十分に照明がとれるようにしていることでしょうが。

もし暗い中で作業をしていると、それだけで結構危険だったりします。
猫井川のように足元の障害物に気づきにくくなります。
暗い中での作業は、怪我もしやすくなるでしょう。

猫井川が悪戦苦闘している倉庫の整理整頓のされなさ具合は、照明不足ということもあるのかもしれません。

工場や倉庫の照明の明るさは、整理整頓と事故の防止のために関係が深いのかもしれません。

それでは、ヒヤリハットをまとめます。

ヒヤリハット 倉庫の暗がりの中で、足をつまづき、荷物をぶちまけた。
対策 1.照明を明るくする。
2.足元に荷物を置かない。

私自身は工場より建設現場に縁があり、どうしても建設現場での危険に気づきやすいです。
工場に行く機会があった時も、自然どこか危険なところはと探してしまい、気づいたことなのです。

多くの工場では十分に明るさなどに注意を払っているでしょうが、中には暗がりもあります。
暗い中では、見逃すものも多くなります。見逃していると怪我になりますので、照度の確認は定期的行わなければなりません。

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