厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第70話「猫井川、砕石の山に埋もれかける」 |
猫井川は初めて任された現場では、お客様とのやりとりや、仕事を段取りを行うなど、戸惑うことも多いものの、犬尾沢や鼠川の助けを受けて、何とか進めていけました。
丁張りのやり直しはあったものの、ようやく作業の着手までこぎつけました。 「で、猫井川よ、いつから現場に入るんだ?」 鼠川が聞きました。 「元請からは、来週の水曜からなら、いつでも入っていいと言われてます。 「そうか。今はみんな忙しいから、早めに決めないとだな。」 「そんなんですよね。俺はしては、水曜からでも行きたいんですけど。」 「まあ、気は焦るけども、段取りができてないとどうしようもないわな。」 「ええ、というわけで、今のところ犬尾沢さんの返事待ちです。」 「分かった。わしは一緒に行くから、日が決まったら教えてくれ。」 「はい。今日の夕方にもう一度聞いてみます。」 夕方になり、みんな現場から事務所に帰ってくると、猫井川は犬尾沢のところに向かいました。 「お疲れ様です。犬尾沢さん、擁壁工事なんですけど、いつから行けそうでしょうか?」 犬尾沢は、自分の席のカレンダーを見ながら、 「確か水曜からなら入れるんだったんだよな。 そう冗談めかして言うと、 「いやいや、さすがにきついですよ。」 と、普段なら流せそうなことでも、焦って真に受けてしまうのでした。 「まあ、さすがに2人だときついけど、そんなにたくさん行けないからな。それは分かっておいてくれな。」 「そうですか。俺も含めですけど、みんな忙しいですもんね。」 「うん。そうだなあ。 でも、水曜はお前も無理だぞ。今行ってる現場があるからな。 「そうですね。犬尾沢さんは現場をやって、他に何個もの現場を見て大変ですね。」 「まあ、やらなきゃいけないから仕方ない。今回の現場を期に、少しずつお前にも振っていくからな。 「そうですね。そうします。」 「でも、木曜の夕方にでも、砕石を運びこんでおいたら、次の日から仕事を早く取りかかれるんじゃないか。 「そうですね。それじゃ、元請けに連絡しておきます。」 「あと、保楠田にも頼んでおくんだぞ。」 「はい。言っておきます。」 そんなこんなで、ようやく作業を開始する目処が立ったのでした。 そして木曜日。 お昼過ぎに猫井川は、保楠田に近づいていくました。 「保楠田さん、もう少ししたら砕石取りに行けそうですか?」 「そうね。3時くらいなら大丈夫じゃないかな。 「大丈夫です。3時に出ましょうか。」 3時になると、猫井川と保楠田は、現場を離れ砕石の運びこみに向かったのでした。 「猫ちゃん、砕石はどれくらい運ぶ?」 「現場はそれほど広くないので、4トン1車くらいではないでしょうか。また足さなきゃいけないでしょうけど、それはその時いれましょう。」 2人は4トンダンプになると、採石場で、砕石をもらい、現場に向かったのでした。 「保楠田さん、この当たりに下ろしましょう。」 保楠田に下ろす位置を指示すると、保楠田はOKを出し、その位置までダンプをバックで移動させて行きました。猫井川はダンプの後方に立ち、誘導役をしていました。 「オーライ、オーライ。オッケー!そこで下ろしてください。」 大きく手を上げ、ダンプをストップさせました。 しかし、その時指示を出した当の猫井川は、ダンプの後方すぐの位置にいたのでした。 砕石が下ろされ始めると、「うわわわわっ!」と言いながら、慌てて逃げました。 「あっぶねー。俺が埋もれたらしゃれにならんかった。」 そう呟くと、猫井川の様子を見ていた保楠田が、 「張り切るのもいいけど、ちゃんと周りの様子を見るのも、監督の仕事だよ。 保楠田に痛いところをつかれ、ちょっと赤くなってしまう猫井川なのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
猫井川初めての現場担当は、ようやく工事着手までこぎつけました。
工事の本格的な着工を前に、準備として砕石の運び込みを行っている時のヒヤリ・ハットです。
砕石はコンクリート構造物の基礎に使います。結構大量に使うことになるので、現場では砕石置き場を作ったりします。 10トンや4トンなどのダンプで運び込みますが、もしこの山に埋もれてしまうと、危険なのは言うまでもありません。
猫井川は、誘導に気をとられ過ぎて、自分のことを見落としてしまったのかもしれません。
最後の保楠田の言葉のままですね。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 砕石の荷降ろしを誘導していたら、埋もれそうになった。 |
対策 | 1.ダンプの誘導は安全な距離を保って行う。 2.砕石などの荷降ろしは、退避してから行う。 |
猫井川の現場もいよいよ本格着手になります。最初からちょっとヒヤッとしてしまいましたが、これから無事に進むのでしょうか。