厚生労働省労働局長登録教習機関
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世の中には数限りない資格があります。仕事を行うために必要な資格も多数あります。建設業に至っては、玉掛け、車両系建設機械、土止めなど、何をやるにしても資格が必要です。作業者も長い間仕事をしていると、多数の資格を所数することになります。
なぜ資格が必要になるかというと、危険を伴う作業では、きちんした知識を必要とするからです。
ベテランになるにつれて技術と資格を持つことになりますが、新人の頃はそのいぞれも持っていません。最初は経験も知識もないのです。
資格がなくとも、教えてもらえれば、使い方は分かります。しかしそれは使うにあたって必要な知識のみで、資格取得時に学ぶ作業時に注意すべき安全に関する知識が欠けたものになります。
知識は使い方と安全に関する両方が必要です。
佐賀県武雄市でクレーン事故がありました。事故にあったのは19歳の作業者で、クレーンの資格はもっていませんでした。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
武雄労基署、労災死亡事故で書類送検(平成28年1月20日)
武雄労働基準監督署は20日、労働安全衛生法違反の疑いで、鹿島市の建築金物製造業の会社と同社の代表を佐賀地検武雄支部に書類送検した。
書類送検容疑は昨年4月21日、クレーンで移動させていたH型鋼(長さ10メートル、重さ約1トン)が倒れ、下敷きになった従業員=当時(19)=が死亡した事故で、無資格だった被災者にクレーン操作をさせ、つるしたワイヤのフックを外す業務に就かせた疑い。また、クレーン操作に必要な特別教育も行っていなかった。 |
この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「クレーン」です。
この事故は、クレーンでH形鋼を吊り移動させていたところ落下、下敷きになったのです。作業者はクレーン操作に必要な資格を持っていませんでした。
クレーン操作では、0.5トン以上のものを吊り上げる時には資格が必要になります。この資格は特別教育を修了しなければなりません。また5トン以上のものを吊り上げる時は、別の資格が必要になります。
この事故では、1トンの鋼材を吊っていたので、特別教育を受けていなければなりません。しかし被災者は無資格でした。
無資格が即事故になるものではありません。しかし事故になる大きな一因であったと思われます。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
事故の原因は、クレーン作業中にH形鋼が落下したことです。落下した原因は、H形鋼を結んでいたワイヤーなどがほどけたこと、ワイヤーがクレーンのフックから外れたことなどがあります。
どのような原因でワイヤーが外れたのかは記事からは伺えませんが、しっかりと固定されていなかったことまたは、H形鋼が周りの何かに接触したことなどが考えられそうです。
おそらくこの事業者では先輩などからクレーンの使い方や玉掛けなどのやり方を教えさせて、作業を行っていたのだと思われます。そのため特別教育は必要ないのだろうと考えたのかもしれません。
確かに、使い方は作業場で教われば学べます。しかし使用にあたって注意すべき点などまで、十分に教えられているかというと微妙なところではないでしょうか。
そのような知識が不十分な状態で使用させると、いざ危険があったときに対応できなくなります。また安全確認も不十分になります。
事業者としては、クレーン作業などの危険作業は、無資格では行わせてはいけません。使い方を現場で教えたからといって、経験もない状態で作業させてはいけないのです。
これは事業者が特に意識すべきことです。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 必要な資格を持たない作業者に、危険作業をさせたこと。 |
2 | 無資格者に作業させる体制になっていたこと。 |
3 | クレーン作業や玉掛けの安全点検ができていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
まず何よりもクレーンや玉掛けなどの危険作業は、有資格者に行わせなければなりません。まだ資格を持っていない作業者に作業をさせる場合は、ただ使い方を教えるだけでは不十分なのだと知っていなければなりません。
特別教育で教えられるのは、使い方だけではありません。作業時の安全点検、確認など、ただ作業しているだけでは、教えられないことも学ぶ機会なのです。
無資格者に作業させないのは、事業者の責任です。
特別教育を受けるのは、それなりに費用がかかります。また特別教育を受ける1
日か、2日は作業者を休ませる必要があります。
それなりに投資が必要になるのですが、安全に作業させるためには必要な投資になるのです。
対策をまとめてみます。
1 | 危険作業は特別教育を受けさせる。 |
2 | クレーンや玉掛けは、 |
3 | 無資格者には危険作業を行わせない。 |
資格が必要な作業が多く、制限が多く感じますが、それは安全に事故なく作業させるために必要なものでもあるのです。少なくとも使い方だけ教えているものではありません。
資格をもたせるのは、作業者を守り、ひいてと事業者自身を守る投資になるのです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛法】
(就業制限) 第61条 危険な作業な作業は、免許や技能講習を終了しないとつけません。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。