厚生労働省労働局長登録教習機関
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今シーズンの冬は暖冬で、各地で雪が少ないようです。
確かに例年に比べたら、現場にいても耐えられる寒さです。雪も少なく、いつもであれば何度かどさっと積もる日があるのですが、今シーズンは1日、2日程度です。スキー場では、あまりの雪の少なさに困り、雪乞いをしたとか。
しかし暖冬かと思っていると、一方では何十年に一度の寒波が来て、普段雪が降ることはない九州や沖縄、台湾でも降ったりもします。台湾では寒波で死者が多数出たとか。
全くもって、気候がわけわかりません。
さて、暖冬とはいうものの、雪が降るときは降りますし、積もります。
屋根に積もった雪を、そのままにしておくと重さで家が壊れてしまいます。
また屋外の仕事では、まず雪をどかさないことには、仕事になりません。
しかしこういった除雪作業は、滑りやすい雪の中で行なうため、危険もあるのです。
先日、西日本を中心に襲った寒波の時、日本海側の鳥取や島根で、除雪作業中に事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
鳥取、島根 除雪作業で屋根から落ちたり、下敷きに (平成28年1月27日)
27日午前11時20分ごろ、島根県浜田市の資材置き場で、雪かきをしていたところ、突然、屋根が崩れ、倒れてきた柱などの下敷きになりました。被災者は救助されて病院に搬送されましたが、まもなく死亡しました。警察は、建物が雪の重みに耐えられずに崩れたとみて調べています。
また、正午ごろ、鳥取県日南町で、建設作業員ら3人が建設中の牛舎の屋根に上り、雪を下ろしていたところ、3メートルほど下に落ちて雪に埋もれました。このうち、1人は自力で脱出した2人に雪から引っ張り出されて救助されましたが、搬送先の病院で死亡しました。 |
1つ目の事故の型は「崩壊・倒壊」で、起因物は「雪」です。
2つ目の事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「建物(雪)」です。
1つ目の島根で起こった事故は、積もった雪の重みに建物が崩れ、雪かきをしていた作業者を下敷きにした事故です。
2つ目の鳥取で起こった事故は、建設中の建物の上で雪かきしていたところ、屋根から落ち、1人が死亡した事故です。
いずれも雪が原因で起こった事故です。
少々の雪であれば、放っておくと溶けてくれます。しかし大量の雪は放置することはできません。重さで家は押し潰されてしまいますし、通行がままなりません。
しかし雪の特性、重さや滑りやすさといったものは、大きな事故を招くこともあるのです。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
1つ目の事故の原因は、屋根に積もった雪の重みです。タイミングが悪いですまされないのですが、資材置場の近くで雪かきをしている時に、建物が崩れてしまったのでした。
どのような建物だったかは分かりませんが、単に雨を防ぐような簡易なものであれば、人が乗って雪下ろしができなかったのかもしれません。トタンやスレートの屋根では、人が乗ることはできません。
雪かきしないままで放置すれば、確実に重さで押し潰され、かといって近づいて雪かきをすると倒壊に巻き込まれるおそれもある。予知はできるけど、防ぐのは難しい事故であったと思われます。
2つ目の事故については、原因は明白です。雪の積もった屋根で作業していたところ足を滑らせた、もしくは雪崩に巻き込まれたのではないでしょうか。屋根の多くは、雨や雪を流すために傾斜がつけられているものがほとんどです。そのため天候に関係なく、そもそも滑りやすい形を指定ます。
この滑りやすさは、雪が積もるとさらに増します。建設作業中の牛舎での事故だったようなので、作業前の準備だった思われますが、墜落防止対策がとられていなかったことが、事故につながったのかもしれません。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 雪の重みに建物が耐えられなかったこと。 |
2 | 屋根の雪下ろしで、墜落対策がされていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
1つ目の建物の倒壊事故の防止は難しいです。
最も確実なのは、倒壊に巻き込まれないように、雪が大量に積もっていたならば距離をとることです。しかしこの方法は、屋根が押し潰され、壊れることを仕方なしとしてしまうことにもなりかねません。
雪が大量に積もろうとも、建物の崩壊を防ぎたいのが人情です。
なるべくなら、危険を承知でも雪かきしたいものです。屋根の雪をいち早く下ろすと倒壊の危険は下がりますが、これはかなり危険でもあります。屋根を補強し、倒壊しないという方法も考えられますが、これは雪が降るまえにやっておく必要があります。
確実に危険を回避する方法が思い当たらないのですが、危険な状況になっても、なるべく回避する方法はありそうです。
まず1人で作業しないこと。複数の人で作業することにより、広い範囲の危険を察知できます。 しかしこれは、自宅敷地内だと、複数でやれないことも少なくありません。
次に倒壊のおそれのある建物に近づくことが避けられない場合は、倒壊時に備え、避難路を確保しておくのもよいのではないでしょうか。
雪が積もっている道では足が取られ走りにくいので、避難通路分は先に雪かきし、走りやすくしておきます。
こうして妙な音がするなど危険を感じたらすぐに走って逃げる準備をしておくのも、1つの手段ではないでしょうか。
ただし、これは確実性のある対策ではありません。事故の時とにかく逃げるだけの方法、十分注意が必要です。
2つ目の屋根の雪下ろしの時の墜落・転落事故は、よく起こる事故のようです。屋根に登る必要があるとはいえ、危険を放置するわけにはいきません。
最も有効な対策は、墜落防止のために命綱を付けることです。作業に先立ち屋根に親綱を張ります。そしてこの親綱に安全帯を掛けるのです。親綱と安全帯がセットになって命綱になります。どちらか一方だとでは、役に立ちません。
また作業時の注意としては、屋根の端に近づき過ぎないようにします。雪が積もりどこが端なのか、分かりづらいこともあるでしょうが、その場合は地上にいる人とも連携し、端に近づかないようにする必要があります。
対策をまとめてみます。
1 | 1人で作業しない。 |
2 | 避難路を確保する。 |
3 | 屋根などでは、親綱と安全帯を使用する。 |
暖冬とはいうものの、春までにまた雪が降ることも考えられます。雪かきが必要になることもあるでしょうが、十分に注意が必要なのです。作業前の準備などと気を抜かないようにしなくてはですね。
雪かきの時の事故について、このようなサイトがあります
安全安心情報「なぜ多い?大雪による死亡事故」 除雪のコツ教えます「除雪の危ないシーン」
これらも参考にして、雪かきの時は安全を確保して作業したいものです。