厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第81話「猫井川、ホカホカ合材でアチィする 」 |
擁壁工事が無事完了し、追加で行うことになった舗装工事は、路盤工が終わりました。 敷地内は、もうすっかり砕石が敷かれ、平坦になっています。どこにも凸凹したところはありませんか。まっ平らです。 そんな中、猫井川は小型転圧機をぶつけて、欠けてしまった擁壁を見つめていました。 「ああ、そこか。 じっとたたずむ猫井川に鼠川が近づき言いました。 「ええ、そうなんですけども、どうしても気になってしまって。」 「自分がぶつけてしまったところはきになるわな。 「なるべるなら、ぶつけてほしくないですけど。」 「こればっかりは、わからないな。 馬万たちの舗装班は、準備のためまだ現場入りしていません。 2人は養生シートとテープを駆使し、乳剤やアスファルトで汚れそうな場所を覆っていきましてた。 「すまん。遅くなった。 「あ、お疲れさまです。 「それじゃ、1時間くらいしたらアスファルトが来るから、乳剤を撒いていくか。 よし、準備していけ!」 馬万がメンバーに指示をすると、みんなはテキパキと準備をはじめました。 「一応、養生はされているけれども、建物の際とかはコンパネで壁を作っておけ。 この前、縁石に付着して、なかなか落ちなかったからな。」 2人が乳剤を入れたタンクを持つと、散布し始めました。 乳剤は灰色の砕石の上に万遍なく撒かれ、どんどん黒色の面積を広げていきます。 手は足りているので、猫井川は他の準備をしつつ、その様子を眺めていました。 全体的に散布が終わった頃、アスファルトを載せたダンプが現場に到着しました。 出来立てのアスファルトはかなりの高温です。ダンプで運ばれて、しばらく時間は経っているとは言え、ホカホカと湯気を上げています。 「手が開いているなら、そこの温度計でアスファルトの温度を計っておいてくれ。」 猫井川は、すぐに黒くくすんだ温度計を手に取ると、荷台のアスファルトに突っ込みました。 「160℃ですね。」 「よし、それじゃフィニッシャーに積んでいくぞ。」 顔を近づけるとむせ返るような湯気を放つアスファルトはフィニッシャーに積まれていきました。 「敷いていくぞ!ローラーの準備はいいか?」 馬万の声にタイヤローラーに乗っている作業者も、ハンドガイドのローラーを持つ作業者も手を上げて返事しました。 全員の準備が整うと、アスファルトの敷均しが始まったのでした。 乳剤に覆われた砕石は、次にアスファルトが覆っていきます。 猫井川は路盤の時と同様に、小型の転圧機で建物や擁壁の際を転圧していきました。 ある程度敷いていくと、馬万は、 「舗装の厚さと温度を計るぞ!猫井川、準備しろ!」 と、機械の騒音に負けないくらいの大声を張り上げました。 猫井川が戻ってきました。 「よし、尺と温度計をあてて計ってくれ。 と、馬万が言い終わらない時でした。 「アチィ!」 猫井川が手を引っ込めます。 「言ってるそばから、何やってんだ。 馬万は冷ややかに言います。 「150くらいですね。」 「まあ、それだと、触ると熱いだろうな。 と、熱い猫井川と対象的な態度。 猫井川は今度はアスファルトに触らなように尺の端を持っていると、 「それじゃ測れないだろう。しっかり持て。」 今度は、熱さを避けようと過剰に離れて、叱られたのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回は、いよいよ本格的に舗装作業に入りました。
舗装するときのアスファルトは高温です。冷えれば固くなってしまうので、時間との勝負になるのです。
どれだけの温度かというと、現場に搬入した時で170℃位あります。
これを敷いて、均していき、最終的には70℃くらいで車が通ってもOKな状態になります。
100℃以上もあるのですから、触れば火傷をしますね。
猫井川は思わず触れてしまったようでした。
ほんの一瞬だったので、ひどい火傷にはならなかったようですが、赤くはなっているでしょうね。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | アスファルトの温度を計るときに、触れてしまった。 |
対策 | 1.温度を計るときは、アスファルトに手を近づけすぎない。 2.革手袋など熱に強い手袋を着ける。 |
舗装も佳境に入りました。 延長戦に入った擁壁工事ですが、そろそろ終わりですね。 本編とはあまり関係ないですが、アスファルトのあの体に悪そうな臭いは嫌いじゃないです。