厚生労働省労働局長登録教習機関
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粉じんを発生する作業で、最も重要な対策は、発生させないことです。
そもそも発生しないようにしてやれば、これに越したことはありませんよね。
ただ残念ながら、発生を抑えるというのはいつもできるかというと、難しいです。
そのため発生はするけど、拡散を防ぐ方法というのが重要になってくるのです。
粉じんを拡散しないようにするためには、粉じんを収集する換気装置などを備える必要があるのです。
粉じん則では、発生源に対する対処も定められています。
【粉じん障害防止規則】
「特定粉じん」は石綿のことですが、「特定粉じん発生源」となると石綿以外も含みます。作業によって発生する細かな粒子を発生する作業を示すのです。
特定粉じん発生源での粉じんの発散を防止するため、発生源ごとに、それに応じた対処をしなければなりません。
対処方法は、発生源ごとに異なります。発生源ごとな対処法は、一覧表にまとめられていますが条文の表では、別表○○の作業はという書き方なので、具体的に分かりません。
具体的にどのような作業なのか書き換えると、次のとおりです。
特定粉じん発生源 | 措置 |
1)鉱物等の掘削する場所、またはずい道内で、鉱物等を動力により掘削する箇所
別表第2第1号に掲げる箇所(衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所に限る。) |
当該箇所に用いる衝撃式削岩機を湿式型とすること。 |
2)鉱物等の掘削する場所、またはずい道内で、鉱物等を動力により掘削する箇所 ずり積機等車両系建設機械により積み込み、又は積み卸す箇所 コンベヤーにより積み込み、又は積み卸す箇所 別表第2第1号、第3号及び第4号に掲げる箇所 |
湿潤な状態に保っための設備を設置すること。 |
3)鉱物等を動力により破砕し、粉砕し、又はふるいわける箇所
別表第2第2号に掲げる箇所 |
1)密閉する設備を設置すること。 2)湿潤な状態に保っための設備を設置すること。 |
4)屋内の、岩石又は鉱物を動力により裁断し、彫り、又は仕上げする箇所 屋内の、研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所 屋内の、半製品又は製品を動力により仕上げする箇所 別表第2第5号、第7号及び第13号に掲げる箇所 |
1)局所排気装置を設置すること。 2)プッシュプル型換気装置を設置すること。 3)湿潤な状態に保っための設備を設置すること。 |
5)屋内の、研磨材の吹き付けにより、研磨し、又は岩石若しくは鉱物を彫る箇所 屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所 屋内の、型ばらし装置を用いて砂型を壊し、若しくは砂落としし、又は動力により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇所 別表第2第6号、第8号及び第14号に掲げる箇所 |
1)密閉する設備を設置すること。 2)局所排気装置を設置すること。 |
6)屋内の、研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所
別表第2第7号に掲げる箇所 |
1)局所排気装置を設置すること。 2)湿潤な状態に保っための設備を設置すること。 |
7)屋内の、鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所
別表第2第8号に掲げる箇所 |
1)密閉する設備を設置すること。 2)局所排気装置を設置すること。 3)湿潤な状態に保っための設置を設置すること。 |
8)屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所 耐火レンガ又はタイルを製造する工程において、屋内の、原料を動力により成形する箇所 別表第2第9号及び第12号に掲げる箇所 |
1)局所排気装置を設置すること。 2)プッシュプル型換気装置を設置すること。 |
9)屋内の、粉状の鉱石、炭素原料又はこれらを含む物を混合し、混入し、又は散布する箇所 屋内の、原料を混合する箇所 別表第2第10号及び第11号に掲げる箇所 |
1)密閉する設備を設置すること。 2)局所排気装置を設置すること。 3)プッシュプル型換気装置を設置すること。 4)湿潤な状態に保っための設備を設置すること。 |
10)屋内の、型ばらし装置を用いて砂型を壊し、若しくは砂落としし、又は動力により砂を再生し、砂を混練し、若しくは鋳ばり等を削り取る箇所 屋内の、手持式溶射機を用いないで金属を溶射する箇所 別表第2第14号及び第15号に掲げる箇所 |
1)密閉する設備を設置すること。 2)局所排気装置を設置すること。 3)プッシュプル型換気装置を設置すること。 |
いくつか、重複している箇所(5と10など)がありますが、多少条件が異なっているので、別扱いになっています。
対策としては、可能であれば湿潤状態にして、粉じんを抑えたいというのが一番です。
屋外で鉱石採取や分別ならばこの方法も可能ですが、屋内であったり、濡らしてしまうと支障のある材料を扱うときには、使えません。
そういった場合、次にとられる対策としては、拡散しないように密閉し、そして換気装置を設けることです。 この時に使用される換気装置は、家庭や事務所にあるような換気扇ではありません。
発生源に対し、ピンポイントで吸い込むタイプのものです。
それらが、局所換気装置やプッシュプル型換気装置です。
局所換気装置とは、粉じんの発生の直ぐ側に置かれる換気装置です。
イメージとしては、発生源の直ぐ側に掃除機のノズルを当てているようなものです。粉じんが発生した瞬間に吸い込んでしまうものです。
プッシュプル型換気装置とは、室内におかれ送風機と排風機がセットになっています。
常に空気の流れを一定方向に向けておくことによって、粉じんが拡散することを防ぐのです。
これらの換気装置は、部屋全体を換気する換気扇より、吸う範囲は狭いですが、吸収力は強くなります。
発生源で粉じんが広がることを防止するためには、非常に効果があります。
ただし、それなりの設備投資も必要になるのですけれども。
(換気の実施等) 第5条 事業者は、特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、当該粉じん作業に 係る粉じんを減少させるため、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の 措置を講じなければならない。 |
特定粉じん発生源以外でも、粉じんは発生します。
ただその量が少なかったり、影響が比較的マシというだけです。
屋内では粉じんが多少なりとも発生する環境では、それを吸い込むことで健康に影響が出てくることも考えられます。
屋内で特定粉じん以外の作業を行う場合は、全体換気装置などの措置をとらなければなりません。
全体換気装置とは、室内全体の空気を排出する、いわゆる壁や天井に換気扇のことです。
全体的に排風するので、効果としては高くないのですが、粉じんが停滞して、部屋の中に漂い続けるのを防ぐ程度には活躍してくれます。
多くの粉じんが発生する場所では局所換気装置などを使用し、それ以外では全体換気装置を使用することで粉じんを吸収するのを防ぐようにする対策が必要です。
まとめ。
【粉じん障害防止規則】
第4条 特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、特定粉じん発生源に措置を講じなければならない。 |
第5条 特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、全体換気装置による換気の実施等の措置を講じなければならない。 |