厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第82話「猫井川、コアな穴に足を取られ 」 |
馬万たち舗装班による舗装工事は順調に進んでいきました。 運び込まれた熱々のアスファルトは、どんどん敷き均され、ローラーで填圧されていったのでした。 「猫井川!端までしっかり転圧しないと、後で剥がれてしまうぞ。」 小型転圧機でローラーでは入り込めないところを転圧していた猫井川に、鼠川が言いました。 「分かっているんですけど、ブツケちゃうと、また傷がいくので。」 路盤を転圧している時に、転圧機を擁壁にぶつけ、欠けされてしまったこともあり、どうも際まで突っ込みきれない様子でした。 「だがな後で舗装がとれたら、傷どころではないくらい不細工なことになるぞ。 「いや、簡単にいいますけど。」 「牛黒だったら、壁なんて傷だらけだぞ。 「あの人ならそうでしょうけど。だからOKにはならないですって。」 「ああ-、しっかりしろ。 「わかっています。ちゃんとしますから。」 そんなやり取りをしている間にも、舗装はどんどんと進み、残りもあと1車程度になってきました。 「よし。あともう少しで全体的に敷けるな。 馬万が猫井川に聞きました。 「コアですか?あのコアって?」 聞き慣れない単語にキョトンとする猫井川。 「お前はコア抜きを知らないのか? 「ああ、たまに寺務所で見かけるアスファルトをラップで包んだのですか? 「そう、それだ。 「そうですね。特に指定はないんですけど、擁壁近くのほうがいいですか?」 「それでも構わないんだが、端の方だと厚さが違ったりするから、もっと中のほうがいいんじゃないか。 そう言って、建物と擁壁の間の通路を指し示しました。 「そこでいいと思いますよ。」 「それじゃ、抜いとくか。1箇所でいいよな?」 「何箇所抜いたらいいのかはわかりませんけど、1箇所でいいと思います。」 「敷地の広さを考えたら、1箇所で十分だろう。 馬万はそう言って指示し、コア抜き場所にチョークで円を書いたのでした。 「舗装の厚さは、5センチちょうどだな。 抜き取ったコアを持ち、靴でチョークの後をかき消すと、馬万は車に向かいました。 「その穴はあとでアスファルトを詰めるからな 。 猫井川は馬万を見送り、再度小型の転圧機でアスファルトを締め固めていきました。 ダンプが届くと、みんな慌ただしく準備を開始しました。 よそ見しながら、転圧機を動かしていた時でした。 転圧機が向かう先には擁壁があります。 「やばい、止まれ!」 猫井川の願いむなしく、転圧機は擁壁に激突したのでした。 慌てて起き上がり、転圧機を掴むとエンジンを止めたものの、後の祭り。 「慎重にしていた介がなくなったな。」 背後から鼠川の声。 「ええ。ぶつけないようにしてたんですけど。」 黒いアスファルトの上に、コンクリートの破片が虚しく散乱しているのを見て、切ない気持ちになる猫井川なのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
舗装工事もそろそろ終わりですね。
今回はアスファルトの敷均しと転圧の時のヒヤリ・ハットです。
舗装工事では、舗装(表層)の厚さを測るためにコア抜きというものをします。
コアとは敷均されて、転圧された舗装の一部をとることです。これは直径10センチ程度で穴を開けで採取します。 採取されたコアは円柱の形をしています。
コアを抜いた後は穴が空くわけですが、猫井川はそんなところに足を突っ込んでしまったようです。
よそ見していると、足元がおろそかになりますね。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | よそ見しながら、転圧機を動かしていたら、コアの穴にはまり転んだ。 |
対策 | 1.足元には注意する。 2.コアの穴周りは、わかりやすくマーキングしておく。 |
猫井川の擁壁工事もいよいよ終わりですね。
最後は、欠けた擁壁の補修が残っていますけど。