厚生労働省労働局長登録教習機関
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現場作業を見ていると、たまにとんでもない方法で作業しているのに出くわします。
おいおい、そりゃ無茶だろうというようなものです。
例えば、以前にこんな光景を見ました。
作業は、埋設配管のための掘削作業中でした。
ショベルカーで穴を掘り、深さは1.8メートルくらいまで達していました。
そして1人は穴の底で、床付けをしていました。
穴の出入りにはハシゴを使うのが通常です。
しかしこの時は、ハシゴを使っていませんでした。
あろうことか、ショベルカーのバケットに乗り、地表まで持ち上げられていたのです。
完全にアウトです。
危険なのはもちろんのこと、法的にも安衛則第162条の「車両系建設機械は運転席以外の搭乗禁止」でアウトです。
いや、確かにバケットは穴の底から地表まで土を運びます。
しかし人を運んではいけません。
現場作業を優先すると、多少はスルーできるものの、さすがにこれは注意しました。
その後は、さすがにショベルカーで人を運ぶことはありませんでした。
ところが、よくよく観察していると、危険だなと思うことも少なくありませんでした。
例えば、穴の底で床付けをしていると、その直ぐ側をバケットで掘るなどです。
本人たちはじゃれているのか、ふざけているのか、かなりアウトな作業方法でした。
これも指摘して止めさせましたが、同様のことが続々と目についたのでした。
よく見知った間柄であっても、ふざていると大怪我をします。
扱っているものはショベルカーです。運転には資格が必要な重機です。その破壊力は、車以上なものです。
ショベルカーで昇降するのは、ある意味工夫凝らしたことかもしれません。
創意工夫かもしれません。
しかしそれは思いついてもやってはいけない工夫なのは言うまでもないでしょう。
工夫は必ずしも、良い物ばかりではない |
作業上の工夫というと、以前よりも作業効率をあげ、短い時間でできるようにしたり、低コストでできるようにしたりすることが思い浮かびます。
しかし、先に上げた例のように、必ずしも良い工夫とは言えないものもあります。
ショベルカーで人を持ち上げる、クレーンで人を吊り上げるなどは、法的にもはっきりとNGがついています。 私はたまたま見かけましたが、やっている人は少ない・・・はずです。
作業効率を上げるために工夫されるものには、安全装置の取外し、無効化というものがあります。
なぜ、安全装置が無効化されるのか。
それは安全装置は作業を制限する面もあるからです。
よく作業現場で見かける安全装置の無効化としては、丸のこやグラインダーの安全カバーを固定したり、取外したりしているものです。
作業範囲を広げるためでしょうが、カバーのない刃部は常にむき出しとなるため、不意に接触した時大怪我になりかねません。
回転する刃に触れると危険とわかっているのに、カバーを無効化する人は少なくありません。
あとこんなのも聞いたことがあります。これは労働基準監督署の職員がパトロールに行った際に見かけものだそうです。
高所作業では安全帯を使用するのですが、フックの外れ止カバーを固定している作業者がいたそうです。つまりフックが常時開いたままの状態になっていたそうです。これはフックの掛け替えスムーズにするためだったそうですが、墜落時には全く意味がありませんね。
一面を見ると、安全装置の無効化は、作業効率を上げるための工夫なのかもしれません。
しかし、この工夫は代償を支払わせます。そしてその代償は、決して小さなものではありません。
思いついても、やってはいけない工夫なのです。
ショベルカーをエレベーター代わりにするのも、やってはいけない工夫です。
機械にはある程度の制限がつきます。しかしその制限はなぜあるのかを考えなくてはいけません。
また見知った中でじゃれあい、ふざけ合いたいという気持ちもあるでしょうが、それがいつ大事故になるかはわかりません。
常に品行方正であれとはいいませんが、けじめは必要ではないでしょうか。
少なくとも危険方向への工夫は、くれぐれもやってはいけないことです。