厚生労働省労働局長登録教習機関
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グラインダーのディスクは、とても硬く金属も切断する事もできますが、それは加工物に接触する周囲だけです。それ以外の部分、特に側面については、非常に脆かったりします。
脆いので、使っているうちに思いもよらずひび割れしたりすることもあるのです。
ひび割れしているディスクの使用は危険です。
使用時にひびが広がり、破損してしまう可能性があります。
試運転では異常がなかったのに、使っていたら壊れたということもあるのです。
今回はグラインダーの事故についての事例を紹介し、対策を検討します。
事故の概要 |
今回は厚生労働省の労働事故事例かち参照にしています。
労働事故事例
鋼製パイプをエアーグラインダーで切断中、といしが破裂して負傷
この災害は、鋼製パイプを可搬式グラインダーで切断する作業中に発生したものである。
数百本の鋼製パイプを切断するため、可搬式グラインダーの試運転を約1分間行った上で、高さ90cmの作業台に固定したパイプの切断作業を開始した。 作業を開始して約2時間後、パイプの切断途中でといしがパイプの切断面に挟まったので、Aはグラインダーの動力を切り、といしの停止を確認した後、といしを切断面から抜き取り、といしにヒビ、割れ等の外観上の異常がないことを目視で確認した。 グラインダーを無負荷の状態で回転させて異常がないことを確認した後、パイプの切断時にグラインダーの覆いがパイプに接触するのを避けるため、覆いの側板のない方を自分の方へ向けた状態で作業を行おうとした。 この状態で再びといしを切断面に接触させたとき、といしが破裂して破片が顔面に向かって飛来し、使用していたプラスチック製の保護面を破損した。Aは、保護面の破片で負傷した。 |
NO.101117
この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「グラインダー」です。
この事故は、グラインダーで鋼製パイプ を切断中、ディスクが破損し、その破片が作業者の顔に当たって、怪我をしたというものです。
パイプを切断中、ディスクが切断面に挟まっていまいました。すぐに取出し、試運転なども行い点検したのですか、ディスクは破損があったようで、割れてしまいました。
さらに事故を大きくしたのが、作業者が安全カバーのない面を自分に向けて作業したことです。
これによって割れた破片が作業者自身を襲ったのでした。
作業者は保護面を着けていましたが、貫通してしまい、保護してくれませんでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故の直接的な原因は、パイプ切断中にディスクが挟まったことにより破損したにも関わらず、そのまま使用していたことにあります。
目には見えないものだったのかもしてれませんが、挟まった時の衝撃により、ひびが入っていて、使用しているうちにどんどんひびが大きくなっていったのでした。
また使い方にも問題がありました。ディスクは持ち手側にカバーがあります。これは粉じんや破片などから作業者を守るためのものです。この作業時は、カバーのない面を自分自身に向けていました。これはカバーが切断の邪魔になったからですが、危険です。
現にこの事故では、割れた破片が自分に向けられることになったのです。
さらに最終的に被害を大きくしたのは、保護面が弱かったことでした。作業者は保護面を着けていましたが、これは破片を防ぐほどの強度はなかったようです。そのため貫通を許してしまったのでした。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 衝撃を受けたディスクを使い続けたこと。 |
2 | カバーのない面を作業者に向けていたこと。 |
3 | 保護面の強度が弱かったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
そもそも、グラインダーではパイプ切断時に左右から挟まれてしまうため、パイプカッターなどの機械を使うのがよいです。そういう意味では、機械の選択が良くなかったといえます。
また、挟まれたりして側面に破損した恐れがあるディスクを使い続けてはいけません。異常があるかもしれないディスクは取り替えるのがいいでじょう。
誤った使い方もやってはいけません。
これもパイプカッターなどを使っていれば、無理な使い方はする必要がなかったしもしれません。
いずれにせよ、自分にディスクを向けたような使い方は控えるべきです。
もしもディスクが飛び散ったときに身を守ってくれるものは、保護具です。今回のケースでは、保護面が弱かったため、顔に破片があたってしまいました。
そのため強度のある保護面を使用すると怪我は防げたでしょう。
対策をまとめてみます。
1 | パイプをグラインダーではなく、パイプ カッターを使う。 |
2 | ヒビの入ったディスクは交換する。 |
3 | 強度のある保護面を使う。 |
グラインダーは汎用性の高い道具ですが、使い方を誤れば危険です。
必要に応じて、適切な機械を使うことも大切です。
また保護具は最後の最後に自分の実を守るためのものなので、適切なもの、強度のあるもあるものを使用しなければなりません。
通りすがりです。
すごくどうでもいいですが、こちらの記事
http://itetama.jp/blog-entry-654.html
>作業者は保護面を着けていましたが、これは破片を防ぐほどの強度はなかったようです。そのため貫通を許してしまったのでした。
とありますが、事例を見る限り貫通はしてません。破片が当たって破損した「保護面の破片」に当たり怪我をしています。
まぁこの記事は強度の問題なのでどちらでも変わりありませんが・・・・
通りすがりさんと同じ点が気になりました。このサイトは厚生労働省の労災事例サイトの表現をかみ砕いて再構成したものだと思いますが、原典では「破裂したといしの破片の直撃を避けることはできたものの、破損した保護面により負傷した」とされています。
ちなみに、砥石破裂に耐えうる保護面ってあるんでしょうかね・・・ディスクグラインダーの強烈な切断能力の源は、恐ろしく高速な回転能力にあります。これによって破壊された砥石破片の破壊力は、恐らく銃弾にも迫るものでしょう・・・つまり、銃弾にも耐えうる保護面・・・前面が防弾ガラスにでもなってるんですかね。
とてつもなく重くて使い物にならなさそうです。