厚生労働省労働局長登録教習機関
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建設業の現場では、数多くの作業者が働いていることが多いです。
全ての人が、同じ作業をしているわけではありません。しかし作業内容によっては、1つの作業を何人かで行うこともあります。
例えばクレーン作業です。
クレーン作業を1人で行うことは少ないと思います。(荷物の積み下ろしくらいだと、あるでしょうけど。)
クレーンのオペレーター、玉掛け者は必ずいますし、それ以外の作業者も近くにいます。
複数の作業者が関わる作業では、それぞれがてんでバラバラに行動していると、思わぬ危険を招いたりしかねません。
まだ吊り荷な玉掛けが終わっていないのにワイヤーを巻き上げたらどうなるでしょうか?
宙に吊上げられた荷物のルートに、作業者がぼんやり立っていたらどうなるでしょうか?
次にどのような行動があるのかを把握することは、危険を防ぐ事にもなるのです。
ただいつも一緒に作業していると、いちいち指示したり、話したりしなくともお互いに意思疎通できているように思います。
確かに言わなくともわかって行動できることも多々あるでしょう。
言葉にしなくとも、分かるというのは、とても素晴らしいことです。長年連れ添った夫婦みたいです。
しかし長年連れ添った夫婦でも、言葉にしないと伝わらないことはありますね。
もし全てが通じ合うならば、熟年離婚などはないのではないでしょうか。
よく知った間柄であっても、言葉に出したりして、はっきりと伝えることは大事です。
「言わなくても、わかるだろう」は、仕事でも夫婦でも、禁物なのです。
作業の時、思っていたことと違うことをやられると焦ります。場合によっては、うまく対処できなくて怪我をしたりもします。
そういったアクシデントを防ぐために大切なことは、合図をすることです。
クレーン作業であれば、合図者を1人決めて、合図させなければなりません。
1人というのもポイントです。2人以上いると、誰の合図を聞けばいいのかわからなくなり、混乱するだけなので、1人だけです。
そして合図の仕方は、全員がその意味を理解していなければなりません。
1つのジェスチャーが持つ意味は、1つでなければいけません。人によって解釈が違うと、トラブルとアクシデントを招きます。
よく工事現場には、合図の方法について掲示がありますね。
あの掲示は合図の方法を統一するために貼られているのです。注文者(元請け)は、合図を統一することが義務なのです。
合図は全員の意思統一のための要となるのです。
クレーン作業は合図者が必要です。しかしそれ以外でも、必要な作業もあるのです。
合図が必要な作業には次のような作業があります。
・(工作機械など)機械の運転を開始する場合
・車両系荷役運搬機械で、
・車両系建設機械の運転で、開口部付近や路肩など転落や転倒の恐れがある場所で、誘導者を配置する場合
・車両系建設機械での吊り作業を行う場合
・コンクリートポンプ車の作業装置を操作する場合
・くい打ち機などを操作する場合
・高所作業車を作業床以外(車体の側など)で操作する場合
・高所作業車の作業床に作業者を乗せて、移動する場合
・軌道装置(レールを走るトロッコなど)を操作する場合
・クレーン等の作業を行う場合(天井クレーンの点検時運転、移動式クレーン、デリックなども含む)
・建設用リフトの運転をする場合(簡易リフト、ゴンドラも含む)
・発破を行う場合(導火線点点火、電気発破、コンクリート破砕器含む)
・コンクリート造の工作物を解体する場合
このような作業では、一緒に作業する人たちが次に何をするのかを、十分に理解して行動しなければなりません。
合図は、次に何をするのかを示すものなのです。
合図以外のコミュニケーションも大事 |
合図は作業者に注意を促して、取るべき行動を示すものです。
合図は大切ですが、作業時の事故を防ぐためには、合図以外のコミュニケーションも大事です。
といっても、大げさなものではありません。
危険な行動をとっていたら注意するといったものです。
こういった声掛けをしっかり行うことも事故を防ぐことになります。
また元請け事業者などであれば、作業場を巡視すること、様々な掲示物などで注意を促すことも重要な安全のためのコミュニケーションといえます。
安全は1人だけが注意を払っていたら良いというものではありません。
その事業場にいる全ての人で実現、達成するものです。
合図を含めたコミュニケーションは、安全な事業場を作る上でこの上なく大切なことなのです。