厚生労働省労働局長登録教習機関
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機械の巻き込まれという事故と、想像するだけで、痛みを感じてしまいます。
どんな事故であっても体には痛みを感じるでしょうが、機械による事故や怪我はなんだか容赦ない感じがします。
機械に巻き込まれたり、挟まれたりするのを防止するためには安全ガードや用具などがあります。
回転したり、動いたりしている箇所からに体が触れないようにしなければなりません。
むき出しの状態のままにすると、不意の接触があります。
福岡市東区でミンチ機に巻き込まれるという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
ミンチ機の中に手首 食肉小売業者を書類送検 福岡東労基署(平成28年5月12日)
福岡東労基署は12日、ミンチ機を使った作業工程で、安全上の義務を怠った結果、従業員が手首をミンチ機に巻き込まれる労災事故を起こしたとして、福岡市東区のスーパー内にある食肉販売店代表者の男を労働安全衛生法違反容疑で福岡地検に書類送検した。
調べでは、代表者は、事故防止用の囲いなどをミンチ機に設置するのを怠り、材料を機械に投入する際に必要な用具を使用させないまま、昨年8月23日、同店の男性従業員に、原料の食肉をミンチ機に投入する仕事をさせた。その際、従業員の右手がミンチ機の投入口に巻き込まれ、手の関節から先を切断させてしまった疑い。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ミンチ機」です。
この事故はミンチ機の投入口に肉を入れていた時に、手首が巻き込まれ、切断したという事故です。
機械には、手が巻き込まれないように、囲いやカバー、投入のための用具などがありませんでした。直接手で入れていたようです。
この件で、事業者は書類送検されました。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
工作機械、食品製造機械にはとても力強く、材料を加工します。
接触すると体はひとたまりもありません。
そのため機械の可動部には、囲いや覆いが必要になるのです。
また材料を投入するときには、手を投入口に近づかせないようにするため、用具で投入する必要があります。
事故があった機械では、囲いも用具もありませんでした。
作業の仕方にも問題がありました。投入口に手を突っ込むような方法は良くないといえます。
場合によっては、材料がつまったり、挟まったりすることがあります。
こういった場合の作業手順が定められていたかも、不明です。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 機械の囲いや投入用具がなかったこと。 |
2 | 作業手順がなかったこと。 |
3 | 材料がつまった時の対処が定められていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
工作機械などには、巻き込まれないように囲いや覆いが必要です。
少なくとも稼働している箇所には必要です。
作業中は、作業に集中しているため、体の隅々まで注意は及びません。
そのため思いもよらない部分が接触することがあります。
安全に作業を進めるためには、作業手順書を作成し、それに従います。
投入口に手を入れるといった作業方法はさせてはいけません。
また材料がつまった時などは機械の電源を落としてからでないと、作業してはいけません。
対策をまとめてみます。
1 | 機械の稼動部には囲いや覆いを取り付ける。 |
2 | 作業手順書を作る。 |
3 | メンテナンスや修繕時は電源を切ってから行う。 |
機械の巻き込まれはとても痛い事故なので、接触させてはいけません。
作業効率を上げるためといって、カバーを外してはいけないのです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第130条の2食品加工用切断機又は食品加工用切削機の刃の切断又は切削に必要な部分以外の部分には、覆い、囲い等を設けなければならない。 |
第130条の3 食品加工用切断機に原材料を送給する場合に、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。 |
第130条の4 食品加工用切断機から原材料を取り出す場合に、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該機械の運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。