厚生労働省労働局長登録教習機関
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ショベルカーはあらゆる場所で作業します。
街中から、河川、山の斜面など、土石がある場所では、どこでも使えます。
どこでも使えるということは、どこにでも持っていけるということです。
一般にショベルカーはトレーラーなどに載せ、目的地まで運ばれます。しかし小型のショベルカーとなるとトラックの荷台に載せてということもあります。
ショベルカーの移動の時は注意が必要です。
特に荷台に積む時、降ろす時です。通常の積み下ろしは、道板を敷き、移動させていきます。
しかし時々(といいつつ、結構頻繁に)見かけるのが、道板を使わずに積み下ろしをしていることです。
アームを使い車体を持ち上げて、荷台に載せたり、下ろしたりするものです。
工事現場では、よく見かける光景かもしれません。
当然ながら、この方法は履帯(キャタピラ)の端とアームで車体を支えているので、不安定な体制になります。
少しバランスを崩すと、転倒してしまいます。実際にそのような事故も起こっているのです。
埼玉県和光市で、ショベルカーをトラックの荷台から降ろそうとした時に転倒し、運転者が下敷きになったという事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
パワーショベルの下敷き…男性作業員が死亡 移動中に横転 (平成28年5月7日)
7日午前8時半ごろ、和光市の資材置き場で、トラックの荷台から降ろそうとしていた重さ約3・8トンのパワーショベルが横転、作業者が下敷きになり、搬送先の病院で死亡が確認された。
朝霞署によると、パワーショベルに乗り、トラックの荷台から地面へ降ろそうとした際、横転した。資材置き場にはほかに作業員2人がいたが、別の作業をしていた。 被災者はこの日は休暇中だったが、週明けの準備作業をしていた。同署で事故原因を調べている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ショベルカー」です。
この事故は、休日出勤で週明けの準備中に起こりました。
どこからショベルカーを運んできたのでしょう。トラックの荷台に載ったショベルカーを降ろそうとした時、事故が起こりました。
作業者はショベルカーに乗り、ショベルカーを降ろそうとしていました。
このときなるべく車体が地面に近くなるよう、荷台は上がっていたと思われます。
荷台の端まで移動しおそらくアームを下げ、先端のバケットを地面に着けた状態だったのではないでしょうか。アームとバケットで支えながら、少しずつ前進し、キャタピラを地面に接地して、下りようとしていたのではないかと思われます。
車体を支えているのはアームとバケットです。とても不安定な状態であることには違いありません。
ほんの少しバランスを崩すだけでも、車体は傾き、転倒してしまいます。
このショベルカーは小型ですが、下敷きになるとひとたまりもありません。
それでは、原因を推測していきます。
ちなみに、パワーショベルというのは、コマツが使用している商品名です。
同じ機械を指すものとして、ユンボ、油圧ショベル、バックホウなどとも呼ばれます。
工事現場では、バックホウと呼ばれることが多いですね。
安衛法などの法律上では、ドラグショベルと書かれますが、これは現場では使うことはないでしょう。
このブログではショベルカーという統一しています。理由としては、これがよくニュースで使われているので、言葉が分かりやすいかなと思うからです。
事故原因の推測 |
この事故は、適切でない方法でショベルカーの荷降ろしをしていたことが原因です。
トラックからショベルカーを下ろす作業は車体を不安定にさせます。
おそらく日常的にやっていたことなのでしょうが、危険を伴う作業だと十分に理解していなかったのか、分かっていながらやっていたのではないかと思われます。
また不安定な作業ですので、1人で行うのではないほうがよかったのではないでしょうか。
このような作業を行わせないためには、安全教育で危険作業を把握させる必要があったのではと思われます。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | トラックからショベルカーの下ろし方が不適切だったこと。 |
2 | 1人で作業していたこと。 |
3 | 安全教育が行われていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
まず何より、トラックからショベルカーの下ろし方を改める必要があります。
荷台から地面まで、道板を敷きます。この上をショベルカーが移動して下りるのです。
この時トラックは、水平な場所に止めて、なるべく安定させた状態で移動させます。
道
板を使っていても、車体は傾き不安定な作業といえます。運転者には地面の上も見づらいです。そのため誘導者が誘導してやる必要があります。
何より危険作業をさせないためには、安全教育で危険作業についてしっかり教えることが大事です。
知っていてあえてやっているならば、その作業を禁止させなければなりません。
対策をまとめてみます。
1 | ショベルカーの積み下ろしは、平坦な場所で道板を使う。 |
2 | 誘導者が合図する。 |
3 | 安全教育を行う。 |
ショベルカーはどこでも持って行けて、使えますが、その運搬時には注意が必要になります。
アームで車体を持ち上げて、トラックの荷台に載せるのはよく見かけます。これは少しバランスを崩すと大事故になるので、道板を使うようにしなければなりません。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】
第161条 車両系建設機械を移送するために貨物自動車に積卸しを行う場合は転倒防止のための措置をとらなければばならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。