はさまれ・巻き込まれ○事故事例アーカイブ

重機にひかれ男性死亡(岩手県野田村)

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工事現場で頻繁に使用する機械は、言うまでもなくショベルカーです。
ショベルカーと、移動式クレーンはあらゆる現場で必須といえます。

どの現場でも使うため、身近な機械ではありますが、慣れ過ぎるのは良くありません。
やはり大きな機械です。いうなれば動物園の熊のようなもの。相手が戯れたつもりであっても、人の体には大きなダメージということもあるのです。

熊と違いショベルカーを運転するのは人です。
しかしほんの少しの操作ミスなどで、ショベルが旋回したため、接触し吹き飛ばされるということもあるのです。

岩手県野田村で、ショベルカーにひかれるという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

重機にひかれ男性死亡 岩手の復興工事現場(平成28年5月13日)

13日午後10時10分ごろ、岩手県野田村玉川のトンネル工事現場で、土木作業員がバックしてきた重機にひかれ、病院で死亡が確認された。

久慈署によると、東日本大震災の復興道路の工事中で、土砂を運ぶ重機を運転していた同僚の50代男性が、土砂を片付ける準備をしていた被災者に気付かずバックしたとみられる。

当時、6人で作業していた。同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて詳しい状況を調べている。

産経新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「重機」です。

この事故はいわゆる東日本大震災の復興工事で起こりました。
道路工事の最中、土砂をダンプに積込み、運び出す作業の最中、作業していた作業者が、バックしてきたショベルカーにひかれました。

ショベルカーに乗っていた運転者は、近くに作業者がいることに気づかなかったようです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の原因は、バックで進むとはいえショベルカーの進行方向に作業者がいることに気づかず、進んでしまったことにあります。
合わせて、作業者もショベルカーの近くで作業していたことも原因です。

運転者、被害にあった作業者もですが、周りの作業者もショベルカーの動きに注目していなかったのかもしれません。
限られた作業範囲の中で、ショベルカーと作業者の距離が近いことも事故の原因です。

また作業区画を区分することや合図者を配置してショベルカーの動きをコントロールするなどの対策もなかったようです。

そもそも重機作業をするにあたって、ショベルカーの作業範囲や作業者の作業範囲を決める計画書などもなかったのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

ショベルカーと作業者の作業区分がわけられていなかったこと。
合図者がいなかったこと。
作業計画が作成されていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ショベルカーなどの重機作業では、作業範囲内を立入禁止としなければなりません。バリケードなどを置き、明確に区分します。
もしショベルカーに近づく必要がある場合は、グーパー運動などして、運転者にはっきり分かるようにします。

またどうしてもショベルカーと近接して作業する必要がある場合は、合図者を配置します。
合図者がショベルカーの動きを監視し、注意を促すようにします。

ショベルカーなどを扱った作業を行う場合は、事前に作業計画を作らなければなりません。作業計画でショベルカーの作業範囲、通行路などを決めておきます。当然ですが、作業者はその計画に従って作業しなければなりません。

あわせて、作業前にはKYなどを行う必要がありますね。

対策をまとめてみます。

作業区画を分ける、合図者を配置する。
作業計画を作成し、それに従う。
作業前にKYなどの安全確認を行う。

ショベルカーは身近であるため、近くにあってもついつい気を許してしまいます。
しかし接触したり、ひかれたりする危険があることは常に頭に置いておかなければなりません。

そのためには事前の計画や準備です。
計画で作業範囲を伝え、バリケードなどで区分する。こういった準備をして作業することが、事故防止になるのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第154条
車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、作業場所の地形、地質等を調査し、記録しておかなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置

第158条
車両系建設機械に労働者が接触しないよう措置をとらなければならない。
第159条
車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に合図を行なわせなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置 。その2
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