衛生管理○安衛法と仲良くなる

廃棄物の焼却施設等でのダイオキシン類の管理。

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ゴミの焼却設備等も衛生的に十分注意が必要な設備といえます。

市内のゴミを一同を集めるのですから、決してきれいなものを扱っているわけではありません。分別されているとはいえ、ごみ袋の中に何が入っているかは不明です。そして臭いもきつかったりします。

扱っているものはともかく、焼却場等の職場環境は衛生面などで十分に配慮され、作業者が健康を害さず、環境にも配慮されていることが多いです。健康と環境を保護するために最も注意しなければならないものは、ダイオキシン類でしょう。

ダイオキシン類は猛毒です。
2004年、ウクライナの大統領選で、ユシチェンコ氏という方が野党から出馬しました。選挙中、彼は突然重病に掛かり、顔が青黒く染まり、頬には痘痕だらけになっていたのでした。病気の前後の写真を比較を見ましたが、その容貌は大きく変わっていました。
この症状は、ダイオキシン中毒によるものだそうです。

ユシチェンコ氏はこの健康被害は、相手陣営がダイオキシンを盛ったと非難しました。 ユシチェンコ氏はその後、選挙に破れるものの、投票結果を巡り混乱が起こり、再選挙の結果、大統領に就任したのでした。

また有名なところでは、ベトナム戦争で枯れ葉剤として散布されたのはダイオキシンの一種でした。その影響は新生児に奇形という形で現れたのでした。日本で分離手術を受けたベトちゃんドクちゃんなどは有名かもしれません。

ダイオキシン類による健康被害の大きさを感じるエピソードといえます。

ダイオキシン類を摂取すると、健康に大きな被害がでます。そしてゴミの焼却では、ダイオキシンを発生させる可能性があるのです。

そのためダイオキシン類については、厳重に管理されています。
安衛則では、ダイオキシン類の管理についての規定があるのです。

【安衛則】

第1章の2 廃棄物の焼却施設に係る作業

(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)
第592条の2
事業者は、第36条第34号及び第35号に掲げる業務を行う作業場について、
6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類
(ダイオキシン類対策特別措置法 第2条第1項 に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の
濃度を測定しなければならない。

2 事業者は、第36条第36号に掲げる業務に係る作業を行うときは、
  当該作業を開始する前に、当該作業に係る設備の内部に付着した物に
  含まれるダイオキシン類の含有率を測定しなければならない。

安衛則第36条は、特別教育についての条文です。危険作業を行う作業者は、特別教育を受けなけれはならないことになっています。
第34号、第35号はダイオキシン類を取り扱う業務についです。

条文を引用すると、こんな内容です。

(特別教育を必要とする業務)

第36条
法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。

34 ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第1第5号に掲げる廃棄物焼却炉を有する
   廃棄物の焼却施設(第90条第5号の3を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)に
   おいてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第36号に掲げる業務を除く。)

35 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務

36 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及び
   これに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務

ゴミなどの焼却設備で、焼却灰を取り扱う作業場では、6ヶ月に1回空気中のダイオキシン類の濃度測定を行わなければなりません。

設備の解体作業の前には、設備内部に付着したダイオキシン類も測定しなければなりません。

焼却設備でばいじんや焼却灰、燃え殻を取り扱うときは、灰が空気中に舞います。この時灰を吸い込んでしまうのです。この時高濃度のダイオキシン類を吸い込んでしまうと、健康を害してしまうので、測定は重要なのです。

(付着物の除去)
第592条の3
事業者は、第36条第36号に規定する解体等の業務に係る作業を行うときは、
当該作業に係る設備の内部に付着したダイオキシン類を含む物を除去した後に
作業を行わなければならない。

焼却設備の解体などを行う場合の注意点です。設備の内部にダイオキシン類が付着していた場合、そのまま解体すると、辺りに撒き散らすことになります。撒き散らされたダイオキシン類は、周囲の人の健康を害し、環境を汚染します。

解体作業を行う前には、設備の内部に付着したダイオキシン類を取り除いてから作業します。

前条で測定の結果、必要に応じて除去するのです。

(ダイオキシン類を含む物の発散源の湿潤化)
第592条の4
事業者は、第36条第34号及び第36号に掲げる業務に係る作業に労働者を従事させるときは、
当該作業を行う作業場におけるダイオキシン類を含む物の発散源を湿潤な状態の
ものとしなければならない。
ただし、当該発散源を湿潤な状態のものとすることが
著しく困難なときは、この限りでない。

ダイオキシン類が発生している場合、これを飛び散らせないようにしてやる必要があります。
灰とともに空気中に漂うダイオキシン類への対処で効果的なものは、水です。

ダイオキシン類の発生源を湿潤な状態としなければなりません。

湿潤状態だと、灰は一緒に床に落ちます。決してきれいな水ではありませんが、集めたり処分するのは楽になります。何より空気中
に漂わないので、吸い込む危険が小さくなるのです。

ダイオキシン類は高温で焼却することで発生を抑えることが出来ますが、もし発生した場合でも、飛散拡散させないようにすることが重要といえます。

まとめ。

【安衛則】

592条の2
ダイオキシン類が発生する作業場等では6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
第592条の3
ダイオキシン類が発生する作業場等について、設備の内部に付着したダイオキシン類を含む物を除去した後に作業を行わなければならない。
第592条の4
ダイオキシン類が発生する作業場等では、ダイオキシン類を含む物の発散源を湿潤な状態のものとしなければならない。

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