厚生労働省労働局長登録教習機関
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労災事故の記事を日々チェックしていると、工場の火災や爆発事故を見かけることが少なくありません。
毎月、数件の事故の記事を見かけます。
ここ最近でも、こんな事故があります。
西郷の工場で爆発事故 薬剤が突然爆発、作業員2人軽いやけど(福島民友新聞 平成28年6月21日) 記事リンク切
エアバッグをふくらませるガスの製造。ガス発生剤の製造作業中、混ぜ合わせていた薬剤が突然爆発。
堆肥工場 爆発で屋根が吹き飛ぶ…周辺、ガラス破損 茨城(毎日新聞 平成28年6月16日)
堆肥工場。爆発の影響で電線が断線し、筑西市と同県つくば市で一時最大約330軒が停電。
工場で爆発、4人重軽傷「ドーン、地震の前触れかと…」 愛知(産経新聞 平成28年5月30日)
自動車のブレーキ部品を製造。塗装した部品を乾かす作業をする場所で爆発があった。4人が負傷し、病院に運ばれたが、いずれも意識があるという。地元消防によると、うち1人が重傷。
これは今年の5月、6月の記事です。記事になるくらいの事故なので、被害が大きかったものです。小規模の梶などであれば、実際はもっとたくさん発生しています。
火災や爆発事故が起こる原因は、取り扱う材料や物質の取扱いで、何らかの不具合があったからでしょう。原因となった材料などは千差万別なので、対策も様々です。
原則としては、安衛則第279条から始まる火災防止の対策を行わなければなりません。
【安衛則】
第279条 危険物などがあり、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては、火気を使用してはならない。 |
一番大切なことは、燃えやすいもの爆発しやすいものは火気を近づけないことが大事です。
特に化学物質の種類によっては水分が厳禁なものがあったり、空気中に保管することが禁じられているものもあります。このような物質の取扱いも十分注意が必要です。
今年の6月1日より、化学物質の取扱いに関してリスクアセスメントが義務化という法改正が施行されました。
この法施行にともないリスクアセスメントの講習なども各地で開催されているものと思います。
このリスクアセスメントには、火災や爆発に関しての項目もあるのてす。
火災や爆発防止のためのリスクアセスメント |
化学物質のリスクアセスメントでは、640種のSDS交付対象物質取扱いについて行わなけれればなりません。
これらの物質は、体内に取り込まれると、健康を害する有毒物質です。
リスクアセスメントでは、物質の有害性と曝露状態などを元に危険性を見積もり、対策を検討しなければなりません。
つまり、有害物質との接触についての検討が中心となります。
方法等しては、定量的方法、定性的方法などがあります。
厚生労働省では、簡易なリスクアセスメント方法として、コントロール・バンディングという支援ツールなんてのも公開しています。
化学物質:リスクアセスメント – 職場のあんぜんサイト – 厚生労働省
コントロール・バンディングは、ILO(国際労働機関)が開発途上国などでも、簡単に使えるように開発した手法です。
いくつか入力していけば良いので、簡単にできます。
ただし、このコントロール・バンディングでは、より安全に安全にとした結果が出ます。つまり念を入れすぎた大げさな結果が出てきます。
例えば、エタノールでテーブルを拭くという作業なのに、局所排気装置が必要という結果が出たりするのです。
さすがに局所排気装置は大げさなので、もう少し現実的な対策を考え、採用する必要があります。
コントロール・バンディングなどでは人体への接触についての対策を検討します。
この時、火災や爆発についても検討しなればなりません。
物質の特性には揮発性が高いもの、引火性が高いものがあります。ガソリンは揮発性が高く、引火性も高いため取り扱いには細心の注意が必要ですね。今回の法改正ではガソリンも対象ですので、リスクアセスメントを行い取り扱い方法を検討する必要があります。
また物質によっては、カリウムやアルミニウム、マグネシウムなど水と激しく反応する物質もあります。このような物質の取り扱いでも、リスクアセスメントが必要です。
火災や爆発は、物質が反応して起こります。原則としては、火気などから隔離することですが、何らかの原因があって火災事故などになっています。そしてニュース記事を見る限り、その数は少なくありません。
工場が火災などになると、多大な影響がでます。操業がストップすることで従業員が困るだけでなく、周辺住民にも被害が及ぶこともあります。さらに物質によっては環境を損なうこともあります。
リスクアセスメントが義務化されました。これによって健康リスクの低減化になるでしょうが、火災や爆発のリスク低減にも役立てたいものです。