厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第94話「猫井川、暴れる丸のこに翻弄さる」 |
猫井川は図面を提出し、その後何度かの修正指示があったものの、ひとまず準備は終わりました。 後は、現場に入るタイミングを見計らうのみです。 さて、今日は材料の準備でもするかと考えていたら、鼠川が話しかけてきました。 「現場入りの準備をするのか? 「そうですね。またすぐ杭打ちとかしますもんね。」 「そうだ。新しいもの持って行くが、ある程度使いまわさないと、もったいないしな。」 「わかりました。今からやってきます。」 こうして猫井川は、サンギの加工に向かったのでした。 材料置き場に行くと、使用済みのサンギや杭が山積みされています。 「大体1メートルくらいで切りそろえようかな。」 山積みのサンギを前にして、猫井川はそう考えました。 まずは、使えそうなサンギを引っ張りだすことからはじめました。 選別していくと、大体20本くらい拾い出せました。 「これくらいあれば、十分だろう。」 そう独り言をこぼすと、加工に入りました。 拾いだしたサンギを並べると、比較的つぶれていない端から長さを測り、1メートルのところに墨を打っていきます。 またクギが刺さったままのものは加工の時危ないので、見つけるたびに抜いていきました。 「もう、また刺さってる。なんで現場で抜かないかな。」 曲がったクギを見つける度、猫井川の愚痴も溢れるのでした。 墨出しもクギ抜きも一通り終わると、次は切断です。 車から卓上丸のこ盤と電工ドラムを降ろしてきました。 ドラムのプラグを近くのコンセントに挿しこみ、丸のこ盤の近くまで延ばしてきました。 こうして切断の準備は整いました。 サンギを1本取ると、丸のこ盤にセットし、スイッチを入れました。 ギュイーンと大きな音を立て回転し始めると、猫井川はゆっくり歯を降ろし、サンギに当てました。 1本を切り終えると取外し、次のサンギをセットし切る。 半分くらい切り終えた時です。 サンギの表面に歯が当たった瞬間、回転が止まったのでした。 「あれ?どうしたんだろ?」 そう思い、丸のこ盤をあちこち見たのですが、おかしなところはありません。 プラグを挿した時グラグラしていたのですが、どうやらそれが外れたようなのでした。 「ああ、これじゃダメだ。」 電工ドラムに近づき、プラグを挿しこんだ時でした。 突然、ギュイーンと丸のこが回転し始めたのでした。 勝手に回り、サンギを押し切っていきます。しかし抑えられていないからか、サンギはバタバタと大暴れてしています。 思いもよらないことなので、あせる猫井川。 すると丸のこは回転を止め、サンギも暴れるのを止めました。 「焦った~」 猫井川は、冷や汗を拭きながら、丸のこ盤に近づきました。 サンギは大暴れしたので、切り口がぐちゃぐちゃになっています。 「これはもう少し切り詰めたほうがいいな。 あちこちに飛び散った切りくずが、先ほどの惨状を物語ります。 猫井川は、丸のこ盤に近づくとすぐにスイッチをオフにして、サンギの切る位置を調整し直します。 そして、再度プラグを入れる前には、自然と指差し呼称して、さっきの失敗を繰り返さないようにしているのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリ・ハットは一人作業の時のものですね。
事故は一人作業の時に起こることは少なくありません。
監視の目がないと、気が緩むのでしょうか。
そして一人なので、事故があった時発見が遅れるということがあります。
同じ作業はしていなくとも、なるべくなら近くに誰かがいる状態で作業するのが望ましいですね。
さて丸のこ盤ですが、スイッチをロックしたまま、電源プラグを挿しこんだ経験を持つ人はいるのではないでしょうか?
私は先日、ドライヤーのスイッチを入
れたまま、プラグを挿しこみ、少しびっくりしたことがありますが、丸のこ盤はそれ以上の驚きでしょう。
猫井川が使用していたものは卓上型でしたかが、携帯丸のこならば、もし歯が床などに接していたら、暴れまわったかもしれません。
そうなると結構怖い自体です。
卓上型でも、丸のこ自体が暴れまわることはありませんが、サンギなどが暴れたり、場合によっては飛んで行ったりすることもあります。
丸のこ盤の電源を取る前は、必ずスイッチが切れていることを確認しましょう。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 丸のこ盤のスイッチを入れたまま、電源を入れたら、丸のこ盤が暴れた。 |
対策 | 1.電源をいれる前には、必ずスイッチのロックを外す。 2.作業時以外は、歯には何も接触させない。 |
材料などを手で押えずに丸のこが接触すると、安定せず材料が暴れてしまいます。
この時のこ歯を折ったり、曲げたりする原因にもなりますので、電源を入れるときは、スイッチの確認をしましょう。