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解体作業では、先端にブレーカーや大きなハサミ等のアタッチメントを取付けた重機を使用します。
これら重機を使用して、コンクリート壁を取壊したり、取り壊した破片を集めたりするのです。
コンクリートの壁もたやすく壊す機械ですから、とんでもない威力を持っています。
もしこのような機械が動いている時に、接触したり、挟まれたりすると人の体は耐えられません。
機械と人との距離感は、安全な距離でなければならないのです。
滋賀県大津市のビル解体現場で、機械に挟まれる事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
重機に挟まれ作業員死亡 大津市のビル解体現場(平成28年7月12日)
12日午前10時40分ごろ、大津市のビル解体現場で、作業員が重機に挟まれてけがをしたと別の作業員から119番があった。大津署によると、現場で死亡が確認された。
被災者は資材を袋に詰め、重機の先端部分に引っ掛ける作業をしており、先端部分に挟まれた。同署は重機を操作していたオペレーターの男性(37)に詳しい状況を聴いている。 |
この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「重機」です。
記事からでは、どんな機械を使っていたかなどが、いまいち分からないのですが、おそらく「先端部分にはさまれた」とあるので、ハサミのアタッチメント(圧搾機など)を使用していたのではないでしょうか。
鉄骨カッターなどであれば、袋(おそらく大型土のう)を引っ掛けることは難しいのではないかと思われます。
おそらく事故は、作業者が開いたハサミ部分に袋の持ち手を掛けようとした時に起こったのではないでしょうか。
作業中に誤って先端部が閉じ、はさまってしまった。
記事からは、そんな状況が推測されます。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
この事故は、重機の先端に、作業者が近づいた時に起こりました。
一番の原因は、まだ作業者が重機に袋を掛ける作業をしていたのにも関わらず、機械を動かしたことです。
はさめという合図があったのなら、合図ミスに原因があります。
もしくは、誤ってレバーに触れてしまったのかもしれません。
一緒に作業している同僚の命に関わることですから、このような操作ミスは許されません。
操作ミスもさることながら、作業方法も安全面など配慮されていたのでしょうか。
作業計画書や、作業手順などが適正であったかも調べる必要がありそうです。
さらに作業前に安全教育やKYなどで有効に働かなかったことも、事故を招く作業をしてしまった可能性があります。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 重機への合図が不適切だったこと。 |
2 | 操作ミスをしたこと。 |
3 | 作業計画、作業手順などが不適切であったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
まず作業方法を検討する必要があります。
作業者が直接、袋の取っ手を掛ける方法が適切だったのか、別の方法があったのではないかなどを検討する必要がありました。
重機オペレーターには、合図者が的確に合図をする必要があります。
そのためには誰が合図を出すのか、全員がはっきりと知っていなくてはなりません。「合図者」のヘルメットバンドや反射ベストなどを着用させると、全員がはっきり分かります。
操作ミスを防ぐためには、作業者が退避しないうちは、レバーに触らせない教育をするなどがあります。また作業服の袖を留めていないと、レバーに引っかかることがあります。
暑くとも作業服は、しっかり袖を留めましょう。
対策をまとめてみます。
1 | 作業計画や手順を定め、それに従う。 |
2 | 合図者を明確にして、はっきりと合図させる。 |
3 | 作業服を整える。 |
重機の近くで作業するとこは、解体作業に限りません。
非常に多くの作業で行われます。
人と重機の距離感は、適切に保たないといけません。
そして、重機の操作ミスは、簡単に人の命を奪うことを理解しておきましょう。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第171条の6 事業者は、解体用機械を用いて作業を行うときは、立入禁止等の措置を行わなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。