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高さ2メートル以上の高所作業では、作業床を設けなればなりません。
この作業床を設けられない場所や、作業床を取り付け作業時は、墜落事故に対して無防備になります。
このような場合の墜落対策として、命綱つまり親綱というものを張ります。
親綱は、安全帯を取り付けるための設備です。
作業床などの足場であれば、手すりなどで墜落防止設備となりますが、親綱と安全帯は墜落したときに地面まで落ちないためのものです。
墜落そのものを防ぐものではありませんが、命を守るものといえます。
屋根の上作業では、足場を組めません。そのため親綱を張り、安全帯で墜落しないようにするのです。
逆に言うと、親綱を張るまでの間は、墜落の危険にさらされているといえます。
埼玉県小鹿野市の解体工事で、親綱を張る作業中に墜落する事故がありました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
屋根から転落、作業中の男性死亡 命綱張る最中、屋根抜ける(平成28年7月11日)
11日午前9時10分ごろ、小鹿野町飯田の空き倉庫で、解体作業中だった解体工が高さ4・7メートルの屋根から地面に落下。ヘルメットを着用していたが、頭を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。
小鹿野署によると、プレハブ平屋の屋根で解体作業前に命綱を張っていたところ、ベニヤ張りの屋根が抜けて落下した。同署が原因を調べている。 |
この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「構造物」です。
この事故は、倉庫の解体作業中、屋根に親綱を張っている時に、墜落したというものです。
この屋根はベニヤ張りだったので、人の体重に耐えられるものではありません。そのため踏みつけると、簡単に踏み抜いてしまったのでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
倉庫の屋根ですので、家のような耐久力を必要とされません。
そのためスレートやベニヤでも構わないのです。
薄く耐久力がないので、そのまま人が上に乗ってしまうと割れてしまいます。
通常は、梁の上などを歩きます。
梁から一歩外れたら、簡単に踏み抜いてしまいます。そのため墜落防止に親綱は重要です。
しかし親綱を張る作業も、高所作業です。この時も墜落対策が必要になるのです。
屋根上の歩行ルートは梁のある場所にしたり、踏み板などを敷いていなければなりません。
作業方法などの取り決めがなかったことなども、事故を起こしてしまった原因になったのかもしれません。
それでは、原因を推測をまとめてみます。
1 | 屋根上の歩行ルートを決めていなかったこと。 |
2 | 踏み板を敷いていなかったこと。 |
3 | 安全教育などで、危険意識を高めていなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
踏抜きやすい屋根の上で作業する場合は、踏み板を敷くなどして、作業道を確保しなければなりません。
この踏み板の幅は30センチ以上のものです。
梁の上ならば、強度がありますが、踏み板を敷くのがよいです。
踏み板を敷く作業も危険があるので、屋根の下に安全ネットを張っておくのも、よい対策になります。
さらに作業者には安全教育やKYなどを行う必要があります。
対策をまとめてみます。
1 | 屋根の上に踏み板を敷く。 |
2 | 屋根の下に安全ネットを張る。 |
3 | 作業者に安全教育やKYを行う。 |
強度の弱い屋根での作業は、足場そのものを踏み抜く危険があります。
そのため、歩く場所の確保が重要なのです。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
第524条 スレート等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、幅が30センチメートル以上の歩み板を設ける等の措置を講じなけ ればならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。