厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第103話「猫井川、ダンプのガタガタに翻弄され」 |
工事はまずは基礎工ということで、地盤改良を行っていきます。 その前に基礎地盤まで下げる必要があるので、まずは掘削です。 掘削は、保楠田がショベルカーに乗り行うことになりました。 ショベルカーは端からどんどん掘っていきます。 猫井川は、深さを確認しながら指示をするのでした。 「もう50掘って。」 指示に従い、保楠田はショベルカーのバケットを少し地面に差し込み、ソロリソロリと表面を削るのでした。 掘削を終えた場所では、猫井川が鼠川はトンボやジョレンで床均しをしていくのでした。 ショベルカーが掘り出した土は、ダンプで場外に運び出されていきます。 ショベルカーは10回程度土を載せると、荷台にいっぱいになります。 仮置き場は、そう遠くない場所にあるのでしたが、1台のダンプで行き来するので、なかなかスムーズに進まないのでした。 「1台では進まないですね。」 「そうだな。この広さだからな。せめてもう2〜3台のダンプがないとだな。」 「そうですよね。 「兎耳長も1人でやるのは疲れてしまうからな。 「ええ、俺の方でも聞いてみますけど、鼠川さんどこか知りません?」 「そうだな、いくつか知っているところを聞いてみるよ。」 2人がそんな話をしていたところ、兎耳長のダンプが場内に戻ってきました。 ダンプはまた土を積み込むと、また運び出していくのでした。 午前中の作業を終えると、兎耳長もダンプを降り、休憩所に来ました。 「ちょっと疲れたよ。」 兎耳長が開口一番、そう言いました。 「ずっとダンプに乗っていますからね。」 猫井川が言います。 「午後から交代します?」 「出来たら、そうして欲しいかも。」 「では、鼠川さん行けます?」 「いや、わしもきついな。」 「そうですか。じゃあ俺がやりましょうか。 「ああ、分かった。」 こうして、午後から役割を替えたのでした。 午後になると、猫井川はダンプに乗り込むと土砂を運び始めたのでした。 舗装されていない道走り、仮置き場まで運搬します。 そして午前中いっぱい兎耳長が運び込んだ土の山の近くに、土を下ろしました。 「ああ、これはこっちにも1台ショベルカーが必要だな。」 猫井川はそんな思いをしつつ、また引き戻っていくのでした。 こうして何度も往復をするのでした。 ダンプが幾度となく通った道は、深い轍になっています。 轍との段差にタイヤがとられ、車体はガタガタするのでした。 「うー、兎耳長さんがきついといった理由が分かる。」 ちょっと気持ち悪くなる猫井川でした。 午後いっぱいダンプの運転をした猫井川は、よろよろと運転席から降りてきました。 「どうした?」 鼠川が聞きます。 「ちょっと仮置き場の進入路がガタガタだったので、揺られすぎて少し気持ち悪いですね。」 「そんなものか。そんな状態だったら、鉄板を敷いたほうがいいんじゃないか?」 「そうですね。地盤がかなり緩いので、鉄板は必要かと思うので、野虎さんに相談してみます。」 思いもよらぬ土砂の運搬の問題が起こり、ややフラフラする頭で翻弄されてしまった猫井川なのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回のヒヤリハットは、ダンプでの土砂運搬です。
ショベルカーなどで掘削した土砂は、ダンプに積み込むと、場外に運び出されることが多いです。
ダンプは、道路以外では、非整地の場所を走ります。
雨の後だと、深い轍が刻まれたガタガタ道です。
そのため、車体も揺れます。運転者は多少の揺れには慣れているでしょうが、長時間乗っていると車酔いすることもあります。
あまりにひどいガタガタになると、運転するのも危険になる可能性もあります。
必要に応じて、整地したり、鉄板養生などを行うことが必要ですね。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | ダンプで運転していたら、轍で車体が揺れ、気持ち悪くなった。 |
対策 | 1.整地する。 2.鉄板養生する。 |
大量の土砂運搬の際には、複数のダンプで行い、可能であれば、運転者の交代要員がいるといいですね。