こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
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第104話「猫井川、オーガから足をつるり」 |
ガタガタ道でのダンプの揺れに気持ち悪くなったりしていた猫井川たちでしたが、必死になって土砂の運搬業者を探した結果、1社見つかりました。
運搬作業から開放された兎耳長は、土砂の仮置き場にショベルカーを持ち込み、場内の整備をすることにしたのでした。
搬入された土砂は無造作に山積みされています。
しかし、まず兎耳長が行ったことは、通路の整備でした。
本人もガタガタ道に揺られ、気持ち悪くなったからですね。
土砂運搬のダンプは常に3台が交互に運搬する体制ができました。
こうして土砂積み込みのロスタイムが少なくなったきたこともあり、作業は順調に進んでいきました。
基礎地盤の掘削作業も一段落し、計画地盤まで掘り下げが終わりました。
「思ったより早く終わったね。」
現場の巡視に来た野虎が猫井川に言いました。
「そうですね。ダンプを増やしたので、順調に進みました。」
「地盤改良はいつから?」
「業者が来れるのが、週明けからです。
明日は現場の養生と墨出しになりますね。」
「そうか、わかった。また予定を出してね。」
「わかりました。明日中に提出します。」
こうして、週明けから地盤改良をすることになったのでした。
週明け、朝から地盤改良の業者も来ていました。
「今日からよろしくお願いします。」
猫井川は挨拶をして、作業の段取りの打ち合わせを行うのでした。
「墨出しはしているので、端から進めていきましょう。」
打ち合わせが終わると、さっそく作業場の端で鎮座していたオーガのエンジンが掛かりました。
ガガガガと大きな音を鳴らして、その巨体を少しずつ動かしていきます。
そして所定の場所に到着すると、合図を受け杭を打ち込んで行くのでした。
試掘も終わっていたので、作業はスムーズです。
グイグイ地中に食いを打ち込み、改良材を充填していきました。
午前中の作業も順調に終わりました。
作業が終わり、お昼休憩になりました。
オーガに乗っていたオペレーターも運転席を下りて、休憩所に向かっていきました。
猫井川も休憩所に向かおうとしましたが、その前に現場の養生をしてから行こうと思い、杭打ちをした場所に向かいました。
杭打ち作業は予定通り進んでいます。そして現場には使っていた工具などは、放置されていますが、荒れているほどではありません。
ふとオーガの運転席を見てみると、そこには鍵が付いたままになっていたのでした。
運転席を離れる時は、鍵を抜くようにとの指導をしていたのに、守られていないようでした。
「全く、朝礼で言ったのに。」
猫井川は軽くため息を付きながら、オーガのキャタピラの上に登り、運転席のドアを開けました。
そして鍵を抜き取り、キャタピラから降りようとして時でした。
ツルリと足を滑らせ、地面に尻もちを付いてしまったのでした。
どうやら、キャタピラの泥に足を滑らせたみたいです。
「いてててて」
と尻を叩きながら起き上がる猫井川。
少し湿り気のある泥で、尻が少し濡れてしまったのでした。
妙にべっとりした感じが気持ち悪く感じますが、このイライラはどこにもぶつける先がありません。
とりあえず、付いたままになっていた鍵にイラッとしながら、やや大股気味に休憩所に向かう猫井川なのでした。
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ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
前回のダンプ運搬のガタガタ問題も解決して、作業は順調に進んでいるようです。
次の段階は、地盤改良です。この工事では基礎杭を打ち込んで地盤を固める方針です。
オーガを使い地盤改良していっていますが、こちらも作業自体は順調のようです。
しかし運転席から離れる際の対応がいまいちでした。
必ず守らなければならないこととしては、エンジンを切ることです。最近はエンジンを切るのはもちろんのこと、鍵を抜くことも指導されている作業場も増えてきています。
ゼネコンの現場では、キーチェーンを取り付け、離席時には必ず鍵を抜くことを指導していたりします。
エンジンを切ることで、無人のまま勝手に動くことは防げます。
さらに鍵を抜いておくと、勝手に動くことを防げるだけでなく、オペレーター以外の作業者が運転することも防げます。
より一層の安全管理のため、離席時には鍵を抜く習慣を身に着けていってもらえればと思います。
とはいうものの、猫井川が滑って転んだのは、本人によるところも多いですけどね。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット |
オーガの運転席に残された鍵を抜こうとしたら、滑って尻餅をついた。 |
対策 |
1.運転席からの離席時には鍵を抜く。
2.キャタピラの上に立つ時は、泥を落としておく。 |
ちなみに、キャタピラとはメーカー名なのですが、履帯などと書くよりイメージがしやすいのではと思い使ってみました。
それはそうと、キャタピラとは本来、「芋虫」という意味なんですね。確かに。