厚生労働省労働局長登録教習機関
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工事や作業によっては、井戸や地下室などの密閉された場所で作業することがあります。
このような場所で、注意しなければならないのが、酸素欠乏症になることです。
酸素欠乏症、いわゆる酸欠というものは、酸素濃度の低い空気を吸い込むことで、体に悪影響があることです。
通常吸っている空気中には、様々な気体が含まれています。
最も多いの割合を占めているのが、窒素で約78%くらいです。2番目に多いのが酸素です。その割合と約21%です。残りの約1%には二酸化炭素などの気体が含まれています。
この21%の酸素濃度が低下して、一定濃度を下回ると危険作業になります。
安全に作業ができる目安は18%になります。
18%未満になると、安全対策が必要になります。
低濃度の酸素になると、体にどんな症状がでるか。
大体次の通りです。
16%〜14% 血圧上昇、呼吸の増加、めまい、動悸など
14%〜10% 吐き気、頭痛、集中力の低下
10%〜 意識喪失
6%〜 数分で死亡
かなり大雑把ですが、10%以下の空気は一呼吸で、命の危険にさらされます。
酸欠作業は命に関わる症状になるのですが、症状以外で注意しなければならない点が2つあります。
1つ目は、見えないということ。
酸素濃度の高い、低いは目では分かりません。
匂いでも分かりません。
そのため、目で見て、危険を察知することができないのです。そして無防備なまま、低酸素の危険場所に入ってしまい、倒れたりするのです。
酸欠の危険場所としては、安衛令別表第6 酸素欠乏危険場所というのがありますので、こちらを参考にしてください。
共通しているのは、閉鎖された、通気の悪い場所というのがわかります。
なお3の3と9の場所については、酸欠だけでなく、硫化水素が発生している危険があるので十分注意してください。
2つ目も、1つ目に関係しているのですが、目に見えない危険なので、倒れている人を発見した人が救出に向かった所、被害にあうことが多いことです。つまり二次災害が起こりやすいのです。
目に見えないものですので、無防備に危険にさらされるのです。
では、酸欠場所では、どのようにして対処したらよいのでしょうか?
酸欠場所の対策は |
酸欠のおそれがある場所で、まずやらなければならないことは、測定です。
井戸やピットなどの場所では、作業前に酸素濃度や硫化水素などの有毒ガスの濃度を測ります。
測定時の注意点として、作業場の床まで測定器を下ろして、計測することです。
硫化水素は比重が重く、穴の底に溜まります。これらを計測しなければ、入った途端倒れることになります。
測定の結果、酸素濃度が問題なく、有毒ガスも検出されなかったら、問題ありません。
しかし酸素濃度が18%未満なら、対処が必要です。
対処としては、まず換気です。
換気は送風機または排風機を使います。換気は穴の底の空気を入れ替えるようにしましょう。
換気で、内部の空気は入れ替え、再度測定します。ここで問題ないなら、作業開始です。
送風機などは、作業中ずっとかけておきましょう。
換気ができない、または救助など緊急をようするときは、空気呼吸器などの呼吸用保護具を使用します。
保護具を使用するときには、重要なポイントがあります。
防塵マスクや防毒マスクなどのろ過式マスクは使ってはいけません。
これらのマスクは、周りの空気中の有害物を取り除くだけです。周りが酸欠空気だと、そのままの空気を吸い込むことになります。
必ず給気式の呼吸器を使ってください。
給気式には、スキューバダイビングのようにボンベを背負うタイプや外部の空気をマスクまで送るタイプのものがあります。
呼吸用保護具も正しく使わないと、効果はないので注意です。
その他作業時のポイントとしては、作業主任者を配置する、立入禁止とするなどがあります。
また酸欠等の作業を行う作業者は、特別教育を受けなければならないので、必ず受講してくださいね。
私も先日酸欠の特別教育を行いましたよ。
酸欠作業は、命に関わる危険です。
危険を避けるためには、準備が大事なのです。