○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、熱き火花の洗礼

blog-821

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第113話「猫井川、熱き火花の洗礼」

猫井川はしばらくの間、牛黒の現場の手伝いに行っていましたが、結局作業の最後まで付き合うことなったのでした。

「猫よ、最後までありがとうな。」

「最初は2、3日の予定だったんですけど、思いの外長いこと来ちゃいましたね。」

「ここは今日で終わりだけど、次はどこ行くんだ?」

「ん〜、まだ分からないでね。帰って犬尾沢さんに聞いてですね。」

「じゃあ、明日は俺の別の現場を手伝ってくれないか。」

「まあ、犬尾沢さんがOKしてくれるならいいですけど。」

「犬尾沢には、俺からも頼んでおくからよ。」

「じゃあ、連絡をお願いします。
 明日はどこですか?」

「ああ、建築の現場なんだけど、倉庫の新築工事だ。
 そこでの作業はもう終わっているんだが、ダメ廻りを直しにな。
 1日あれば終わる内容だ。」

「そうなんですか。何か持っていくものかありますか?」

「そうだな、モルタルを持ってきてくれ。」

「わかりました。」

こうして、もう1日牛黒の現場に行くことになりました。

次の日、トラックにモルタルを載せ、牛黒に言われた現場に向かいました。

現場に着くと、牛黒がすでに到着していました。

「おう、着いたな。
 とりあえず、新規入場受けて来てくれ。」

そう指示を受けると、猫井川は早速新規入場教育を受けてきました。
そうして牛黒のもとに戻ると、牛黒はすでに準備を始めていました。

「戻ってきたな。
 早速だが、建屋内の土間のダメ廻りを直していってくれ。
 溶接もしてるみたいだから、注意してくれな。」

猫井川はモルタルを練ると、土間のヒビなどを塗っていくのでした。

猫井川たちが黙々と作業を続けていた所、鉄骨の上に人影が見えました。
どうやら鉄骨の上で仕事を始める模様です。

猫井川は特に気にも留めていませんでした。

すると上の人は、何の前触れもなく溶接を始めたのです。
下で猫井川が作業をしているのを全く見ていませんでした。

溶接によって火花が落ちてきます。

火花が落ちていく先には、俯き仕事をする猫井川がいました。
目の前に落ちてきた火花に、跳ねのいてしまいました。

「な、なんだぁ!」

尻もちをついてしまったのでした。

その様子を離れた場所で、その様子を見ていた牛黒は大声で怒鳴りました。

「何やってんだよ!
 下見て溶接しろよ!」

溶接をしていた人は作業の手を止めると、そこで始めて下に人がいることに気づいたようでした。

「すいません。」

謝罪を口にすると、溶接の手を止め、その場を離れていったのでした。

「下に人がいるのに、溶接するなんてな。
 なんて奴だ。」

牛黒はぷりぷりと怒りながら、猫井川に近づいてきました。

「お前も大丈夫か?」

そうして猫井川の様子を確認し、また作業に戻りました。

猫井川も作業に戻ろうと思ったのですが、さっき驚いた勢いで、せっかく塗ったモルタルが踏みにじってしまっていて、何だか心の火が消沈した気持ちになるのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回のヒヤリハットは、溶接のヒヤリハットですね。

溶接は、金属同士を接続しますが、作業中は強い光と熱を発し、火花を飛びちらせます。
火花も高熱です。これを浴びてしまうと、熱傷を負います。

鉄骨の組み方などでは、溶接もありますが、この時、上下作業には十分注意が必要です。
下方に人がいるのに、火花など落とすと、問題です。

溶接作業では、上下も含めた周囲に人がいないことを確認することや、他の業者に作業計画を伝えることが大切です。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット 鉄骨の上で溶接したら、下の人に火花が落ちた。
対策 1.上下作業はしない。
2.業者同士で作業場の使用についての連絡調整をしておく。

溶接の火花はかなり熱く十分に熱傷になります。
溶接作業では、周りに人がいないことの確認を確実に行いましょう。

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