厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第124話「猫井川、U字溝の揺れにガックンする」 |
猫井川は、会社を出ると急いで、鼠川の携帯に電話しました。
プルルルとコールしますが、誰も出ません。 留守番電話になったので、切りました。 「どうしたものか。」 しばらく考え込むと、ふと一度奥さんの父親がやっているスペイン料理店に掛けてみようと思いたちました。 電話帳登録していなかったので、履歴を遡り、番号を探します。 「こんなことになるなら、奥さんの番号を聞いておけばよかった。」 履歴をかなり遡ってようやくお店の番号を探し当てました。 2回ほどコールして、相手が出ました。 「もしもし、猫井川です。鼠川さんの同僚です。鼠川さんが入院したと聞いたのですけど。」 電話に出たのは、どうやらアルバイトのようです。 「はい?はい?」 と要領を得ません。そこで、奥さんの父親に代わってもらい、事情を聞いたのでした。 その話から、どうやら鼠川は自宅で気分が悪くなり、救急車で運ばれたようです。 病院は、会社からほど近い市民病院でした。 病室は4人部屋でした。 「鼠川さん?」 と病室に入っていくと、鼠川は右奥のベッドの上にいました。 「おう、猫井川。 鼠川は、入口に立つ猫井川に気づくと、声を掛けてきました。 「大丈夫ですか? 「すまんな。心配かけて。 大げさなこと、という言葉に奥さんが少しムッとしたようでした。 「何よ、顔が真っ青だったじゃない。」 と、言い争いが始まりそうな気配でしたので、猫井川が声を掛けます。 「寝てなくていいんですか?」 「ああ、検査してもらったら、疲れがあるくらいだったよ。 「そうですか。安心しました。」 「悪かったな。心配かけて。 「現場は順調ですけど・・・」 猫井川はしばらく現場の様子を話しました。 「では、今日は帰ります。 病室を後にしようとするのでした。 「ああ、わざわざありがとうな。 鼠川はいたずらっ子のように言いました。 「そうですね。なんか持ってきますよ。」 奥さんは、鼠川の太もも辺りを、拳で叩くのでした。 病院を出ると、猫井川は犬尾沢に連絡しました。 入院したとはいうものの、鼠川は元気そうでした。 翌日、現場に行くと、保楠田と牛黒が、鼠川の様子について聞いてきました。 「疲れがたまったみたいで、2~3日検査して、退院するらしいですよ。」 「そうか、この前転んだのも、関係してるのかもね。」 様子を聞いて、保楠田たちも一安心したようでした。 その日の作業は、側溝作りです。 U字側溝は、ショベルカーで吊上げて設置していきます。 作業はまず、保楠田が設置場所にを砂をどさっと置きます。 その後ショベルカーに吊具を付け、U字側溝を所定の位置に置いていきます。 作業は2個、3個設置と、順調に進んでいきました。 何個目かを設置しようとしたときです。 側溝を吊り上げ、移動していたショベルカーが、地面のくぼみに足を取られ、ほんのわずか傾いたのでした。 揺れた先には猫井川がいました。 しかし、保楠田はそんな様子に気づきません。 猫井川の若干の焦りは、ショベルカーの騒音に紛れてしまい、表面上は何事もなく仕事は進んでいくのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回は、気づかれにくいヒヤリハットです。
外構工事で水路のために、U字側溝を設置します。
この時、ショベルカーにクランプなどの吊具を使って、設置されることが多いです。
そして荷を吊り上げたまま移動することも少なくないのですが、原則これは禁止です。
ただし、U字側溝が極めて軽いこともあり、実情としては行なわれています。
今回のヒヤリハットのように、移動時にほんの僅かな段差で、荷が揺れることもあります。
もし荷の直ぐ側にいたなら、揺れた時にぶつかってしまうこともあるので、吊り荷作業時は、安全距離を保つことは重要です。
少なくとも吊り荷から2メートルは離れておくと、退避しやすくなります。
揺れを防いだりするためには、介錯ロープを使用しましょう。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | U字側溝を吊上げたまま、移動している時、荷が揺れて、迫ってきた。 |
対策 | 1.荷を吊ったまま移動しない。 2.吊り荷から、安全距離を保つ。 |
ところで、東日本と西日本では、「ショベル」と「スコップ」が指すものはアベコベなんだそうです。
西日本では、「ショベル」は大きなものを指し、「スコップ」は小さいものを指します。東日本では、反対だそうです。
私は西の人間ですので、ショベルが大きいものを指すんだと教えられ、育ってきたと思うのですが、アベコベだと聞いてから、混乱している次第です。