今年の夏(2020年)は、猛暑の予想です。
2020年6月時点
全国的に6月~7月は、平年並みか平年より高い予報となっています。
8月に至っては、東日本と西日本は、晴れの日が増え、平年より高い確率が50%となっています。
グラフのオレンジ色が、暑さを感じさせます。
毎年のようにですが、5月から6月頃より、熱中症の心配がでてきます。
特に今年は、新型コロナウイルス対策として、マスクとともに過ごすことになります。
マスクを着用すると、その分熱がこもり、蒸れたり、不快感が増します。
下手に口元が潤うため、喉の乾きに鈍感になることも懸念されます。
マスクとともに過ごすことが求められる夏の熱中症対策を行いましょう。
特に高齢の方に対しては、本人の注意だけでは十分ではありません。
周りの人も一緒に注意して行くことか重要です。
総務省消防庁の令和元年の年齢区分別の救急搬送人員を見ると、高年齢(65歳以上)の方が、全体の52.0%も占めています。
なお、平成30年のデータですが、熱中症による死亡者割合では、81.5%が65歳以上です。
ところで、今年の全国安全週間のテーマは、「エイジフレンドリー」です。
「人生100年時代」に向けて、60代以上の方にも、引き続き現役で活躍を願う社会となっていきます。
これは高年齢の方ためだけの取り組みではありません。
全ての世代、あらゆる性別や人種、国籍等のバックグラウンドに対してフレンドリーであることだと、私は考えています。
熱中症は、特に高年齢の方にとって、大きな脅威になっていると、上記のデータからは伺えます。
基本的な対策に加え、配慮も必要になりますね。
基本的な配慮とは、次のことです。
仕事の時の対策になりますが、日常生活でも参考になると思います。
主なポイントは、次の通りです。
1.規則正しい生活(特に十分な睡眠は大事です)
2.WBGT値管理
3.こまめな休憩
4.休憩時にはエアコンの効いた部屋などに行く
5.水分・塩分補給
近年は、労働災害としての熱中症も注意が払われ、教育が行われています。
中でも、建設業は屋外作業や体への負担も大きいこともあり、教育が徹底されています。
仕事に限定せずに、高年齢の方の熱中症予防には何が大事でしょうか?
それは、本人の自覚や予防だけでは不十分です。
周囲の方の力が必要です。
それでは、熱中症の原因と症状について簡単にまとめ、高年齢の方へのケアとして、どのようなことができるのかをまとめていきましょう。
熱中症は、環境が高温多湿となることで、体に引き起こされる様々な症状のことをいいます。
暑くなると、体に熱がたまります。
熱がたまると、体内の血管が拡張します。そのため血流が悪くなり、めまいや立ちくらみなどを引き起こします。
これを「熱失神」といいます。
また体内の熱を逃がすために、汗をかきます。
大量の汗をかくことで、水分が排出されます。
この時水分だけを摂ると、体内のミネラルバランス(主に塩分)が崩れ、筋肉に痛みを感じることがあります。
これを「熱けいれん」といいます。
水分補給ととにも、塩飴などを舐めるのは、「熱けいれん」の防止になるわけです。
「熱失神」と「熱けいれん」は、比較的軽症の部類です。
さらに体内に熱がたまると、深刻な症状になります。
頭痛や吐き気などの症状を伴う「熱疲労(熱ひはい)」になると、いち早く休憩させ、病院で診察を受けることが必要になってきます。
「熱疲労」から、さらに症状が悪化したものが「熱射病」です。
これは意識喪失などもあり、重症です。場合によっては、死亡に至ります。
すぐに搬送してもらい、治療を受けなければなりません。
熱中症は、命を脅かすものです。
上記の平成30年の人口動態統計によると、熱中症が原因での死亡者は1,581人です。
ちなみに平成30年も猛暑でした。そのため近年で最も多くなっています。
熱中症が発祥するのは主に6~9月です。ほとんどがたった4ヶ月の間で命を失っておられます。
いかに多いのかということが分かるのではないでしょうか。
では、なぜ高年齢者の熱中症発症が多いのでしょうか。
それには、身体的な特徴が関係しているようです。
簡単にまとめると、
「暑さ」や「脱水」を感じにくく、自覚がないまま症状が悪化しているようです。
そして、どんなに注意されても、エアコンをつけないとか、水を飲まないとか、改善しない頑固さが、症状悪化に拍車をかけてしまいます。
このこと、特に頑ななことについて、私も覚えがあります。
以前、どこかで書いたかもしれませんが、何年か前に祖母とこんなやり取りがありました。
祖母は実家の離れで生活しています。
夏にその部屋に入ったところ、尋常ではなない暑さでした。
入った瞬間、毛穴が広がるのがわかりました。
窓は開けていますが、風もありません。
高温多湿、サウナとまでは言いませんが、風呂場のような感じです。
そのような中で、平然とうちわを片手にテレビを見ていたのです。
エアコンはあるのですが、動いていませんでした。
エアコンをかける、かけないで少し口論となり、その後ギクシャクしました。
しかし命に関わるので、熱中症アラートを買って、部屋に置きました。
こんなのだったかと思います。
アラートは、常時鳴り、電池が切れて、そのままになりました。
うるさかったんでしょうね。
相変わらずエアコンは動かない日も多かったのですが、時々はかけていたようです。
祖母の例は、高齢者の特徴にとても当てはまるのではないでしょうか。
エアコンをかけてもらうにしても、言い方は考えなければなりませんね。
反論として、いやいや私は、暑い昼間には外出してないから、平気だと言われるかもしれません。
とんでもない。
実は、発症場所として、室内が最も多いのです。
発症場所の38.6%は住居です。これは最も多い比率です。
実に約4人に1人は、直射日光を受けない自宅の中で、発祥しているのです。
家にいるから安心・・・ではありません。
では、どのように高年齢者の熱中症を防いでいけばよいでしょうか。
ポイントは周りの方が注意をはらい、サポートしてあげることです。
ポイント1 部屋の温度と湿度を測ろう
とにかく数字を見てもらいましょう。熱中症の危険をお知らせ機能があるとよいですね。
ポイント2 アプリや熱中症計を使おう
私が祖母に贈ったもののように、熱中症危険を知らせるグッズを置くのもおすすめです。
もし、スマホなどをお持ちでしたら、アプリを入れ、プッシュ通知でアラートを出させても良いでしょう。
スマホアプリについては、5年ほど前の記事で、レビューしています。
当時から消えたものもあるのですが、こちらが使えそうです。
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Yahoo!天気(夏場は通知が頻発です。)
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ウェザーニュース(熱中症ページがあります。)
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熱中症警報計・熱中症予報計
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熱中症アラート
当時レビューした、熱中症ナビは、少なくとも現時点では、機能していないようです
アプリの場合、一つ注意事項があります。
アプリでの注意喚起は、あくまでも地域(市区町村)単位です。しかも屋外です。そのためお住まいの場所、しかも室内からは、誤差があります。あくまで、注意が必要となる目安として参考にしてください。
理想はWBGT計とまではいいませんが、室内に熱中症計(アラート機能付き)を置くことですね。
私の家では、今はこれを置いています。仕事で使うには不十分ですが、家では十分です。
値段も手頃ですし。
ポイント3 エアコンを使おう
エアコンの風が嫌いな方もいれば、電気代を理由とされる方もいます。
熱中症での病院代に比べれば、エアコン代はきっと安いなど、説得が必要になるかもしれせまん。
ポイント4 エアコン以外では、風通しをよくし、日差しをさえぎる
エアコンがない、故障している、どうしても使いたくない等がある場合は、せめて部屋を涼しくする方法をとりましょう。
ポイント5 水分補給をとにかくこまめに行う
高齢者の特徴は、のどの渇きを感じにくく、その結果自発的に水分を摂らないことがあります。
水分は、麦茶やかき氷などでも構いません。冷たいものか苦手であれば、常温でも問題ありません。
塩分補給には、塩飴以外にも、梅干しなどでも構いません。
自発的に飲んだりされないので、周囲の方がチェックする必要があります。
喉が渇いたらではなく、30分にコップ半分は飲む等の目安を決めると、わかりやすいかもしれません。
さて、もう一つ大事なことです。
それは、熱中症予防で、命を守るためのことでも、伝え方を工夫しましょう。
私のように一方的に押し付けるような言い方をすると、反発されてしまいます。
こうなると、やってくれません。
きちんと納得してもらうように、丁寧に話すことが必要です。
6月上旬ですが、30℃近くまで気温が上がる日も出てきました。
しかし、まだ梅雨前です。
本格的に高温多湿になるのはこれからです。
熱中症は、あなただけでなく、周りの方とともに乗り切っていきましょう。