厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
建設現場での足場作業は、安全性を確保することが最も重要です。安全性を確保するためには、法令改正による安全基準の変化などへの理解が欠かせません。
「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」は、通達でおおむね5年ごとに受講することが推奨されていますが、これは最新の法令に準じた安全基準の理解を深め、足場管理の基本への理解を深めることができます。
本記事を通じて、教育内容、受講のメリット、最近の法改正が現場作業にどのような影響を与えるかを詳しく解説します。
労働衛生衛生法第19条の2には、安全衛生管理者等の能力向上教育について規定されています。
労働安全衛生法
(安全管理者等に対する教育等)
第十九条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の教育、講習等の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。
これに関連して、「労働災害の防止のための業務に従事する者に対する能力向上教育に関する指針」(平成18年3月31日付け能力向上教育指針公示 第5号)にて、作業主任者等の能力向上教育が示されています。
作業主任者技能講習の修了証には、運転免許証のような有効期限はありません。そのため能力向上教育を受けなくとも失効しません。しかし、足場の組立て等作業主任者能力向上教育は、建設現場での足場組立て、解体作業を安全に管理するために必要な専門知識を再度理解を深めるための教育です。
労働安全衛生法第14条は、法令で定める危険有害な作業において作業主任者を選任することが義務付けられています。足場の組立てや解体作業は、高所での作業を伴うため、特に高いリスクが伴います。このため、足場作業を安全に実施するためには、知識と経験を有する作業主任者の存在が不可欠です。作業主任者は、作業主任者技能講習を修了した者から選任しなければなりません。
足場の組立て等作業主任者能力向上教育の受講対象者は、過去に足場組立等作業主任者技能講習を修了した人です。技能講習を修了していない人は受講できません。通達においては、「一定期間ごとに」受講することが努力義務として定められています。「一定の期間」としては、「安全衛生教育等推進要綱」に、おおむね5年ごととあります。職長能力向上教育と同様といえます。
それを踏まえて対象者は、次のとおりです。
1.足場組立等作業主任者技能講習を修了してから、おおむね5年経過した人
2.足場組立等能力向上教育を修了してから、おおむね5年経過した人
なお、後述するように足場点検において指名者になる要件として、「足場点検能力向上教育を修了したもの」があります。そのため今後、現場においても能力向上教育修了が求められることが多くなるでしょう。
足場の組立て等作業主任者能力向上教育では、法改正によりプログラムは、最新の足場技術、安全施工方法、災害事例分析、そして関連法令の解説を含む広範囲となっています。
【範囲】
・足場、部材等の特徴
・部材等の選択と管理
最新の足場技術と部材の概要、それらの適切な選択方法、および効果的な管理戦略について学びます。さらに、部材の保管、点検、およびメンテナンスの方法についても詳しく学ぶことで、現場の安全性と効率性を高めることができます。
【範囲】
・足場の強度計算の方法
・組立て等の基本的事項と留意事項
・組立て後の保守管理
足場の安全な組立て、使用、解体に必要な知識と技術に焦点を当てます。足場の安定性を確保するための正しい組立て技術と、使用中及び解体時の安全な作業手順について学びます。
【範囲】
・災害事例とその防止対策
・労働安全衛生法令のうち足場の組立て等に関する条項
過去に発生した足場関連の具体的な事例を通じて、事故が発生した背景、原因、そしてその結果を検討します。さらに、これらの事例から得られる知見を基に、同様の事故を未然に防ぐための対策も学びます。また、足場の安全管理に関連する最新の法令や規制についても学びます。
安全教育センターでは、足場作業主任者能力向上教育を実施しております。受講方法には、大きく3つあります。
1 主催講習を受講
2 出張講習を依頼
3 WEB講習
主催講習はHPの講習予約から日程を確認することができます。出張講習は、企業の依頼を受け、講師を派遣して行う講習です。一度の多くの受講者がいる場合、出張講習が便利です。WEB講習も、ZOOMなどを用いて行う教育です。こちらも企業の依頼を受けて実施します。受講生はPCなどを通じて受講ができるため、会場に足を運ぶ必要はありません。
高所作業における災害の多発を背景に、足場に関する法律が令和5年3月に改正されました。(労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第22号)、「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」(令和5年3月14日付け基安発0314第2号)改正の施行通達)
改正によって、足場の使用、点検、管理に関する基準が厳格化され、作業現場での安全対策の強化が図られています。日常的に行われる点検を強化することで、足場を使う作業者の安全確保を目的としています。
2024年4月に施行された法改正では、一側足場の使用範囲が明確化されました。従来は決まりはありませんでしたが、幅が1m以上あれば本足場を組むことが義務付けられました。一側足場は片側に手すりなどの墜落防止設備がありません。一側足場しか組めないような狭隘な場所はともかく、十分なスペースが有る場所で一側足場を組むことはできなくなりました。
2023年10月1日に施行された改正では、足場の点検者を事前に指名することが義務付けられました。
点検は従来から義務でしたが、点検者までは指定されていませんでした。しかし点検が不十分であれば、大きな事故につながる可能性があります。点検において責任をもたせることが目的と言えます。点検は使用業者だけでなく、元請け、足場の組立業者も行わなければなりません。点検者の要件として、足場組立等作業主任者能力向上教育を修了したものなどが示されています。
足場点検についての法改正の解説は、こちらをご覧ください。
『2023(令和5)年の足場の法改正 主なポイントは一側足場と点検です』
安全教育センターでは、足場組立等作業主任者技能講習とともに、能力向上教育も行っています。技能講習は実施エリアが認可を受けている都道府県に限りますが、能力向上教育は全国に出張講習、WEB教育ができます。
詳しくはこちらのページから御覧ください。