コラム

厚生労働省労働局長登録教習機関
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年々、夏の暑さが厳しさを増しています。昨年も各地で猛暑日が相次いでいました。連日のように気温は35℃を超え、場所によっては40℃に迫ることも珍しくありません。
そして今年もまた、暑い夏が目前に迫っています。同時に、熱中症への警戒も始めなければならない時期でもあります。す。熱中症が重篤化すると、命を落とす危険があります。
特に屋外作業や高温環境での作業が多い建設業や製造業では、常にそのリスクと隣り合わせです。
夏の暑さを変えることはできません。しかし現場で熱中症への対応はできます。熱中症を防止するだけでなく、「気づくのが遅れた」、「適切な対応ができなかった」などにより重篤化を大きくしないことが求められます。
今回の法改正は、重篤化を防ぐことがポイントなのです。
2025(令和7)年4月15日に、熱中症による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則の一部改正が交付されました。
この改正は、2025(令和7)年6月1日より施行されます。
労働安全衛生規則第612条の2が追加されました。
(熱中症を生ずるおそれのある作業) 第六百十二条の二 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない。2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない。 |
法改正では、熱中症の疑いのある人をいち早く発見し、重篤化を防ぐことを事業者に義務付けるいます。
内容について少し詳しく解説します。
以下の3つが、すべての事業者に求められる新たな義務となります:
熱中症の恐れがあることを自覚、または熱中症の疑いがある人を発見した時に報告する体制を整えます。
具体的には、誰に連絡するのかを明確にする必要があります。例えば、次のような体制です。
発見した作業者 → 職長 → 現場所長、会社 などです。
連絡体制を整え全員が把握する必要があります。
熱中症の疑いのある人を発見した場合の手順を整備しなければなりません。具体的には、作業からの離脱、身体の冷却、119通報などの医療機関への搬送等についてをフローやマニュアルを作成します。
上記の体制や手順を、全作業者に周知し、理解してもらわなければなりません。
令和2年から5年の熱中症による死亡事例を見ると、発見の遅れ、医療機関への搬送が遅れたなどの初期対応が適切でなかったために重篤化したケースが多く見られます。
熱中症の発見を見逃さないためには、熱中症の症状などへの理解を深めることが欠かせません。
今回の法改正では、熱中症の重篤化を防ぐことに主眼を置かれています。しかし当然のことながら、熱中症を防止もしなければなりません。
熱中症を予防し、重篤化を防ぐためには、熱中症への理解が何よりも大事です。
熱中症について理解を深めるための教育として次のものがあります。
安全教育センターでは、これらの教育を出張で行っています。またZOOMでの教育も行っております。
お申し込みはこちらからです。
本格的な夏を迎える前に教育を受け、理解を深め、予防に努めていきましょう。
暑さは年々厳しくなっているため、これにあわせて対策もより強化していかなければなりません。法改正は熱中症から命を守るための制度作り、ルールの整備となります。
熱中症の教育も防止のために重要です。
ぜひとも教育や制度作りのご相談などご連絡ください。