厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
ある夏の日。
(株)HHCでは、今日は現場の仕事がないので、倉庫の整理を行うことにしました。 現場では職長、社内でも主任の犬尾沢ガウ(36歳)の指示の下、不要品を処分し、工具も取り出しやすいように整理整頓を行っていきます。 「ここからここまでは、兎耳長さんにお願いします。。 犬尾沢による作業分担があり兎長耳ぴょん(58歳)は工具のチェックと、棚に並べていく作業を行っていきます。 「それでは、猫井川やっていこうか!」 汗をかきかき、小一時間。 「保楠田さん、これはどうしましょうか?使います?」 猫井川は、50cm四方の薄い鉄板を持って、保楠田に聞きました。 「ん~、いらないかな。まあ後でまとめて捨てるから、とりあえずそこの缶の上にでも置いておいたら。」 猫井川は、保楠田に言われたとおり、通路の横に置いた、20Lのオイル缶の上に、鉄板を置いておきました。 作業は続いていきます。 「保楠田さん、これはどうしましょう?」 猫井川と保楠田は、どんどん棚から荷物を取出し、不要なものはまとめていきます。 その時、犬尾沢が事務所から、帰ってきました。 「お疲れ様です。すごい荷物!通路が狭いな。」 犬尾沢は、通路の両サイドに積まれた荷物の間を、体を横にしたりしながら近づいてきました。 ザクッ! 変な音がしました。 見てみると、犬尾沢の作業服の右膝の部分が、ざっくり切れています。 どうして切れたのかと調べてみると、通路脇のオイル缶に鉄板が横向けに置かれており、その上にも荷物が積み上がっていました。 「これを置いたのは誰だ!」 作業していた3人が、驚いて見てみると、鉄板を指さしている犬尾沢がいました。 「じ、自分ですけど・・・。でも保楠田さんがそこに置いておけと・・・」 「猫井川!最初に気をつけろと言っただろうが!!!」 大吠えする犬尾沢に、猫井川はしゅんとしてしまいました。 その後は、4人で黙々と作業し、その日の内に倉庫の棚の整理整頓は無事終わりました。 事務所に帰り、猫井川は自分の机に向かうと、缶コーヒーが1本置かれていました。 なるほど。どうやら、ごめんねということらしい。 猫井川は、ちょっと苦いコーヒーを飲み干したのでした。 |
さて、今回も猫井川は、犬尾沢に怒られてしまいました。
保楠田さん、きつねですけど、とんだタヌキです。
それでは、ヒヤリハットとその対策をまとめていきたいと思います。
今回は倉庫内での整理作業時に「鉄板で作業服が切れてヒヤリ」ですね。
家の大掃除の時でも同じだと思いますが、必要なもの不要なものを整理するときに、とにかくタンスだとか引き出しから、一度出してから、仕分けしていきませんか。
必要な物は元に戻しますが、不要になったものは、ひとまず固めておき、ある程度の量になってきたら、袋などに入れて、部屋の外に持って行くという感じではないでしょうか。
1つ1つ仕分けの度に、捨てに行っていたら、効率が悪くなって仕方ありませんよね。
倉庫での整理も同じでように、ひとまず棚から荷物を出し、必要な物を棚に戻す。
不要なものは、邪魔にならないように仮置きしておく方法をとっていました。
仕事で使う道具や材料ですので、荷物1つ1つは、それなりの大きさもあります。
仮置くにしても、結構な量になるので、積めるものは積んだりもするわけです。
鉄板もそうして、オイル缶の上に置かれていたものでした。
工場などでは、通常白線などで作業スペースと通路スペースが区分けされているところが多いです。
HCCの倉庫も同じように通路スペースが区分けされていました。
この通路内には原則として、荷物を置かないようにルール付されているところが多いと思います。 通路に荷物があると、つまづいたりしますからね。
また荷物が通路にはみ出したりしていると、ぶつかったりするので、通路スペースには何もないようにする方がいいです。
倉庫の整理中も通路には物を置かないようにしていましたが、鉄板の角がはみ出してしまっていたようです。
これに運悪く、犬尾沢が引っかかり、作業服が切れてしまったのです。
作業服は夏服で薄いとはいえ、それなりにしっかりしているものですから、鉄板はかなりの切れ味だったようですね。
体に接触していたら、相当の怪我になっていたはずです。
実は、これと同様の怪我がうちの会社であったんです。
その時は、服だけというわけにいかず、無休災害ですが、7針も縫う怪我になってしまいました。
通路からはみ出さないことも重要ですが、鉄板のように切る可能性があるものなどは、横に寝かせるのではなく、縦に置いておくだけでも、事故を防げたかもしれませんね。
今回の対策をまとめてみましょう。
ヒヤリハット | 倉庫整理で、通路脇に鉄板を仮置きしてたら、通行人の作業服を切った。 |
対策 | 1.通路スペースにものは置かない、はみ出さない。 2.溜まった荷物は、こまめに搬出。 3.切断やぶつかる可能性があるものは、置く場所や置き方を考える。 |
何が怪我や事故につながるかは分かりません。
ただ少しだけ、これは危ないかもと考えてみると、どうしたらいいのかという工夫が生まれます。
ちょっと想像して、考えてみるというのは、一番の危険予知なのかもしれませんね。
さて、猫井川と保楠田のコンビは、なかなかいいなーと思いますので、これからもこの2人に活躍してもらいたいものです。