厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
今日、(株)HHCの面々は、土木作業現場に来ています。 犬尾沢ガウを筆頭に、兎耳長ピョン、保楠田コン、そして猫井川ニャンがメンバーです。 今回の仕事は、地中に水道管を埋めることです。 2メートルもの深い穴です。 作業の前に、犬尾沢が全員を集めて、作業内容と役割を伝えていきます。 「よーし。 保楠田さん俺と土止めの矢板とか配管の準備とかをお願いします。 「分かってますって。注意しますって。」 先日、振動ローラーを荷降ろしする時に、トラックにぶつけてしまったため、少しバツの悪い猫井川。 「ははは。 猫井川はバックホウに、他の3人は土止め支保工用の矢板の準備に向かいました。 「猫ちゃん、それじゃ掘り方任せたよ。」 保楠田が猫井川に声を掛けて、行きました。 「はい。とりあえず、順に掘っていきます。」 猫井川も保楠田に声をかけ、バックホウに乗り込みました。 バックホウにエンジンを掛けると、ゴウンと唸りを上げました。 猫井川は、車両系荷役運搬機を技能講習を受講してから、何度もバックホウに乗り込んでいます。 動き出すときには、クラッチやペダル、操作レバーなどを確認しながら動かしています。 しかし、今日はバックホウでの掘り方。大役を担っています。 1つ1つのプロセスを丁寧に行いながら、バックホウを掘削場所まで移動させ、まずは一掻き、バケットを土に差し込みました。 土の表面は乾いており、やや固くバケットの爪が少し滑ります。 また同じ場所にバケットを突き立てると、今度は先程よりも深く掘られます。 何度か表面を削る作業を繰り返すと、土は固く乾いた部分から、多少柔らかくなってきました。 猫井川は、バケットいっぱいに土を掘り、バックホウの上部を旋回させ、兎耳長が乗るダンプの荷台に載せました。 掘って、旋回し、ダンプに乗せる。 こうなると兎耳長は、ダンプを運転し、作業場内であらかじめ決めておいた場所に、土を下ろしに行きます。 ダンプが土を下ろしている間、猫井川は土を掘っていきます。 ある程度の深さまで掘ってきたところで、一度深さを確認することになりました。 猫井川は、スタッフと呼ばれる棒状の尺を穴の底にあて、深さを確認します。 「猫ちゃん、深さはどう?」 ふいに後ろから声がかかりました。 「あと50センチくらいですね。 「うん。もう矢板の準備はできたから、穴が掘れたら土止めするよ。 穴を覗き込みながら、保楠田が言います。 「そうですね。1.5メートルに近づいたあたりから、石が出てきました。 そういうと、猫井川は再びバックホウに乗り込みました。 保楠田が穴から離れたことを確認し、猫井川は再びバケットを穴の底に入れました。 先ほどと同じように、石混じりの土を穴の底から持ち出し、ダンプに積込みます。 掘って、旋回し、ダンプに乗せる。 この一連の動きを何度目かを繰り返した時でした。 猫井川は、バックホウを旋回しようとしたところ、バケットの進路の先に保楠田がいるのを見ました。 「なぜそんな所に!?」という疑問と「危ない、ぶつかる!」という危機感が頭を駆け抜けます。 猫井川はとっさに旋回動作を急停止させました。 急停止したおかげで、バックホウはビタっと止まりました。 大丈夫、保楠田にぶつかっていません。 しかし、旋回していたエネルギー、バケットの中の土石にも及びます。 ボト! 飛び出した拳ほどの石が保楠田の足元に落ちます。 「大丈夫ですか? ほっとするどころの気分ではない猫井川は、運転席から叫びました。 「い、いや、スタッフ取ろうとしてね。。。」 保楠田も驚いたのでしょう。やや固まりながら答えました。 「もう、気をつけて・・・ 「こらー!!よく見て操作しろや!!!」 猫井川が何か言おうとした言葉をさえぎり、怒鳴り声が響き渡りました。 犬尾沢です。 犬尾沢が、ちょうど二人の作業を見ている時に、事が起こったのでした。 近づいてくる犬尾沢。吠える犬尾沢 「猫井川!朝気をつけろと行っただろうが!! 今回は保楠田も現行犯で逃れられません。 そうか、朝のはやはり振りだったのだな。。。 怒られながら、そう思ってしまう猫井川なのでした。 |
今回は、保楠田さんが危機一髪でした。
今回のヒヤリハットは、バックホウのバケットに接触しそうになったです。
これは実際にぶつかってしまうという事故も少なくありません。
バックホウなどのショベルカー操作者は、単独で仕事することは少ないです。
ショベルカーで掘削している周りには、穴の底を床均ししたり、今回の作業のように配管を設置するためなど、作業員がいます。
ショベルカーのバケットが動き回る中での、作業ですので、立ち位置が悪いと接触してしまうのです。
ショベルカーのバケットは、大きく重い鉄の固まりです。
ぶつかってしまえば簡単に人は吹っ飛びますし、骨も折れます。頭に当たれば深刻な被害になります。
非常に使う機会の多いショベルカーの周りには、そんな危険があるのです。
ショベルカーとの接触事故を防ぐために、作業範囲には立ち入らないことが原則です。
カラーコーンなどを置き、立入禁止区域を設置するのも、有効な対策でしょう。
近づかなければ、当たらない。
ただ、実際の現場では、厳密に守られているとは限りません。
どうしてもバケットで穴を掘っている付近に、作業者が集まり、何かしらの作業を行っています。
穴を掘っている、すぐ側で深を検測しているなんてことも、よくある光景でしょう。
作業している人たちの感覚としては、慣れているから大丈夫というものでしょう。
確かに慣れもあるでしょうし、ショベルカーが動いているから退避して、何もしないというのでは、仕事にならないというのもあります。
しかし、慣れているからといって、危険はなくならないのです。
このヒヤリハットのように、ベテランが油断してて、バケットにぶつかる事故というのも起きています。
今回の保楠田は、バケットもぶつからず、飛び出した石にもぶつかりませんでした。
もしバスケットボールほどの大きな石が飛び出してきていて、ぶつかっていたら。
どうなるかは、想像できますよね?
ショベルカーだと、大きな石も運べてしまうので、可能性として、あり得ることです。
ショベルカー等の機械の作業範囲には立ち入らない。
また、運転者も周囲の作業者も、しっかり周りに注意することが、この上なく大切ですね。
さて、今回のヒヤリハットをまとめたいと思います。
ヒヤリハット | ショベルカーを旋回したら、人がいて急停止。バケットから落ちた石がぶつかりそうになった。 |
対策 | 1.作業範囲を立入禁止にし、作業員が入らないようにする。 2.運転者も作業員も周囲の状況をよく見る。 |
ショベルカーは、土木工事では最も使用する頻度が多い機械です。
ほぼ毎日のように使うのではないでしょうか。
そのため慣れてきて、危険を忘れてしまいがちです。
しかし油断していると、とても怖い目にあいます。
猫井川も保楠田も、何とか事故は回避できたものの、とても怖い目にはあったようですね。